いわき信組が預金者に無断で口座開設、架空融資し資金を流用…組織的に10年以上繰り返す

2025年5月19日(月)20時37分 読売新聞

財務省

 いわき信用組合(本多洋八理事長・福島県いわき市)が、預金者名義の口座を無断でつくり、その口座に融資した資金を不正に流用していたことが関係者への取材でわかった。大口融資先への貸し付けが焦げついていたのを隠すため返済を肩代わりしていたとみられる。弁護士らによる第三者委員会が調べており、監督する財務省福島財務事務所は「調査を踏まえ必要な対応を行う」としている。

 複数の関係者によると、架空融資は10年以上前に始まり、幹部を含む多数の職員が関与して組織的に行われていた。預金者に無断で印鑑や書類を偽造して口座を開設する手口で行われ、1口座あたり主に数百万〜数千万円を融資し、これを特定の大口融資先からの返済金に回していた。

 しかし、大口融資先の返済金に充てたのは一時期で、その後は不正が発覚するのを免れるため、新たな偽造口座の開設と融資を繰り返していたという。

 この不正を巡っては、一部の組合員が、架空融資の証拠の保全を福島地裁いわき支部に申し立てていた。保全が認められた同信組作成の一覧表には、2024年秋時点で偽造口座数は87、架空融資額は計17億円と記されていた。ただ、偽造口座は他にもあり、総額はさらに膨らむとみられる。

 同信組は昨年11月、旧経営陣が大口融資先に10億円超を迂回うかい融資する不正があったと発表。第三者委が詳細を調べる過程で、今回の不正が明らかになった。委員長の新妻弘道弁護士は取材に「詳細は後日発表するので、現段階で話すことはできない」とした。

 東日本大震災の被災を受けて、同信組は12年1月に金融庁と上部組織の全国信用協同組合連合会(全信組連)から200億円の公的資金の注入を受けた。昨年11月の不正判明による経営悪化に備え、今年3月には全信組連から50億円の支援も受けていた。

 同信組はいわき市を中心に15店舗を展開している。24年9月末時点の預金残高は2110億円、貸出金残高は1239億円で、自己資本比率は18・71%と国内基準の4%を上回っている。

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