ブチ切れ回答拒否、驚きの密会場所…国民・山尾志桜里氏(50)は4年前の「議員パス不正利用問題」をなぜ説明しないのか
2025年5月20日(火)7時0分 文春オンライン
たとえば一般企業で「あの件どうなった」と尋ねられているのにずっと答えない人がいたら? 当然だが職責を問われるだろう。ところが政治家の場合は公の場での説明を求められているのに長い間とぼけている人をよく見る。
政治資金パーティー券購入問題のその後
5月14日、裏金問題をめぐり下村博文氏がSNSで「事実を正直に誠実に申し述べたい」と投稿した。安倍派の元幹部だ。しかし自民は衆院予算委員会への参考人招致は不要だと反対した。何か言われたら困るのだろうか。
一方で下村氏も「事実を正直に誠実に」と言うなら文科相時の「加計学園からの政治資金パーティー券購入問題」についての説明はどうなったのだろう。
2017年に報道されたあと会見を開いて否定したが、「下村の釈明は矛盾や疑問が多く、まったく疑惑は晴れていない。おまけに会見以降、当人は関連取材にいっさい応えず、口をつぐんでいる」(森功「加計学園問題のキーマン、下村博文を追及せよ」2017年12月19日・文春オンライン)。
下村氏は当時の会見で「疑問の点があれば、都議選が終わったあとに丁寧にお答えします」と述べたものの説明していない。一体いつの都議選なのだ、もしかして今年か?
説明不足と言えば甘利明氏もいる。2016年に経済再生担当相を辞任するきっかけとなった現金授受問題に関してきちんと説明していないとずっと言われている。
さて、そんな下村&甘利と同類に思えるのが山尾志桜里氏だ。5月14日、国民民主党から夏の参院選の公認候補として発表されたが、山尾氏には前回の議員時代から公の場で説明していない案件がある。「議員パスの不適切使用問題」だ。

山尾議員は国会議員に与えられている公務用のJR無料パスを、人に会いに行く時や買い物などのプライベートでも公私混同で使用していた。議員パスの原資は税金であるからこれも「政治とカネ」問題と言っていい。くわしくは文春が報じた記事を読んでほしい。
「山尾志桜里議員 『議員パス』を使って“不倫報道”倉持弁護士と密会」(2021年4月28日・週刊文春)
山尾氏は一連の疑惑質問にブチ切れ回答拒否
記事では神戸学院大学の上脇博之教授が次のように指摘している。
「議員パスを使用できるのは公務出張などの職務の遂行に資する時のみです。マッサージや買い物、交際相手との面会など、私的に使用すべきではありません。使用に際し、疑義が生じた場合には、公人としてきちんと説明責任を尽くすべきです」
当然ながら一般紙も報道して大きな問題となった。
「山尾志桜里・衆院議員、国民が厳重注意処分…JR無料パスを私的利用」(2021年4月28日・読売新聞オンライン)
山尾氏はこの件についてXではコメントしたが公の場では説明をしなかった。当時の雰囲気がよくわかる記事がこちらだ。報道から約2週間後のものだ。
「『説明、逃げた!』山尾志桜里氏が一連の疑惑質問にブチ切れ回答拒否」(2021年5月14日・東スポWEB)
山尾議員は国会内での会合後に記者達から「議員パス不正利用に関して、直接的な説明がされていないですけども」とか「説明されたほうがいいんじゃないでしょうか」と問われると、
《「まったく場が違いますので、失礼します!」とブチ切れ。そのまま会場を後にした。マスコミ各社は文春の報道後、山尾氏の国会事務所に電話で取材を申し込むが、応答がなくお手上げ状態が続いていた。》(2021年5月14日・東スポWEBより引用)
議員パス不正利用問題について答えてくれるのかについては期待が持てそうにない、と呆れて記事は終わっている。下村&甘利に負けない対応である。そして約1か月後、山尾氏は次期衆院選の不出馬を発表した。理由は「政治家とは別の立場で新しくスタートしたい」「今回の任期を政治家としての一区切りとしたい」(自身の動画で)。
玉木氏の驚きの不倫現場
その2か月後に朝日新聞に登場した際、不出馬の理由には「国会議員がJRを無料で利用できる『特殊乗車券』の私的利用やプライベートに関する週刊誌報道が背景にあったのでは」と質問されると「それが理由ではない」と答えている。「このまま国会議員や野党としての仕事を漫然と続けても、これ以上自分の成長や社会貢献は望めないと感じたからだ」という。
しかし山尾不出馬を聞いたとき「このまま説明せずに逃げ切るため」「ほとぼりを冷ますため」と感じた方も多いはずだ。あれから4年経ち、今回参院選に出馬することになった。
山尾氏からすると人々が何かを忘れる期間は「4年」という判断なのだろうか? だが説明しない期間が4年加算されただけだ。記録は更新中である。もし議員に返り咲いたとしても、自身の「政治とカネ」と「公私混同」を公の場で説明しない人から今後どんな説得力が生まれるというのだろう。山尾氏と言えば最近は緊急事態条項について発言しているがまずご自分の緊急事態について説明したらどうか。ずっと非常ベルが鳴ってますよ。
あと、議員パス不正使用発覚の前から山尾氏には疑問に思っていたこともある。民進党時代に幹事長内定が流れた直後に出た密会報道だ。驚いたのは2人の密会場所が「カジュアルな雰囲気の店内」と書かれたイタリアンレストランだったこと。
いかにも「撮ってください」という場所ではないか。政治家の危機管理としてどうなのかと疑問だった。この感じ、最近も既視感があると思ったら同じく国民民主党の玉木雄一郎氏だ。不倫現場が撮られたが、昨年の衆院選投開票直後でいわば“玉木氏史上”もっとも世間から注目されていた時だった。場所も新宿のワインバーでいかにも見つかりやすそう。その迂闊さ、軽さに驚いた。
こんな感覚で本当に生活や危機管理を論じられるのかと思ったが、今回山尾志桜里氏を出馬させることでいよいよ認識が問われるのではないか。
というわけで今回は下村博文、甘利明、山尾志桜里氏について振り返った。忘れたら国民の負けである。
◆◆◆
文春オンラインで好評連載のプチ鹿島さんの政治コラムが一冊の本になりました。タイトルは『 お笑い公文書2025 裏ガネ地獄変 プチ鹿島政治コラム集2』 。
(プチ鹿島)