車の相互認証の枠組み創設をアメリカに提案、「非関税障壁」見直し策…赤沢経済再生相23日渡米
2025年5月21日(水)1時7分 読売新聞
赤沢経済再生相
米国との関税交渉を巡り、政府が自動車の安全基準に関する相互認証の枠組みの創設を米側に提案していることが20日、わかった。米側が主張する米国車の日本への輸出を巡る「非関税障壁」見直しの一環だ。3回目となる閣僚協議は、米東部時間23日(日本時間24日)にワシントンで開かれる見通しで、自動車の関税引き下げが最大の焦点になる。
複数の政府関係者が明らかにした。日米両国で安全基準のルールを再点検し、同等の水準のものがあれば相互に審査の省略を認められないか検討している。日米の安全基準は異なっており、現在、米国車を輸出する場合は日本の型式認証を別途取得しなければならないためだ。
日本からの対米輸出額の約3割を占める自動車を巡り、これまでの交渉では、米側は応じていないが、日本側は米政府が25%を上乗せする形で課した自動車関税を交渉対象とし、関税撤廃を強く求めている。
日米両政府は、閣僚協議に先立つ事務レベルの協議をワシントンで19日から開始した。これまでの外務、経済産業両省に加え、自動車の安全基準を担当する国土交通省幹部も参加し、交渉を本格化させている。
米側は自動車の関税見直しの条件として「非関税障壁」の撤廃を求めており、政府は交渉カードとして安全認証の相互性に着目した。2016年の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の日米自動車協議でも、ルームミラーに関する基準など七つの試験で米側の性能試験が日本の認証手続きに使用できることを確認した。
協議に向け赤沢経済再生相は23日に渡米する予定だ。石破首相は20日、首相官邸で赤沢氏と会談した。赤沢氏は記者会見で、「米国に一連の関税措置の見直しを強く求めていく立場に変わりはない」と強調した。
これまでの協議では、日本はトウモロコシの輸入拡大や造船分野での協力を交渉カードとして提示した。新たな材料を示し、米側の譲歩を引き出したい考えだ。