2023年の紅葉調査結果 見頃時期は高温影響で遅く、鮮やかさは欠ける傾向に

2023年12月13日(水)14時0分 ウェザーニュース

2023/12/13 14:19 ウェザーニュース

沖縄を除く全国のウェザーニュースアプリのユーザーに、今年の紅葉の見頃時期と鮮やかさがどうだったかを伺いました。

■ポイント■

・見頃時期は約72%が「遅かった」と回答
・鮮やかさは約45%が「例年より劣る」と回答、昨年より20%増加
・高温と少雨が影響か

1)見頃時期は「遅かった」が約72%

2022年・2023年 見頃時期のアンケート調査結果

紅葉の見頃時期がどうだったかについて、2022年と2023年のユーザー調査の結果を比較してみると、今年は全国の7割以上が「遅かった」と回答し、昨年に比べて大幅に増加していました。
 
エリア別にみても、全エリアで「遅かった」という回答が最も多くなっています。

名所への取材結果では、北日本や東日本が「遅かった」

2023年 名所への取材結果

ウェザーニュースが毎年行っている全国の紅葉名所への取材結果だと、約54%が「普通(=平年並)」、約37%が「遅かった」という結果となりました。昨年と比べると「遅かった」の割合が大きく増加しています。
エリア別にみると、北海道は「早かった」の回答がなく「遅かった」が70%弱という結果になっています。東北や関東甲信、北陸、近畿では「遅かった」の割合が40%前後とかなり多くなりました。
ユーザー調査の結果と比較すると、「普通(=平年並)」と「遅かった」の割合に極端な差は見られませんが、「遅かった」の割合が昨年の倍以上になっている点は同じでした。

色づき時期の高温が影響か

最低気温の平年差平均の推移(北海道・東北・関東・近畿・四国)

葉の色づきを左右する大きな要因は「冷え込み」です。木によって個体差はありますが、最低気温が約8℃以下になると紅葉が始まると言われています。
9月は暖かい空気に覆われたため各エリアで平年よりも高く、特に北日本は5℃以上高くなりました。北海道は10月に入っても平年並になることがありませんでした。ユーザー調査・名所への取材共に北日本の「遅かった」の割合が多かったのは、この高温の影響が考えられます。
10月は度々流れ込んだ寒気の影響で、東日本や西日本では平年を下回りましたが、11月上旬には再び平年を大きく上回っています。紅葉は色付き始めてから順調に気温が下がっても、見頃になるまでには1週間程かかるため、この時期の高温は平年11月中旬に見頃となる木々に影響します。11月中旬に見頃となるのは名所の数が最も多い近畿や関東の平野部で、「遅かった」の割合が大きくなったのは高温の影響とみて良さそうです。

2)紅葉の鮮やかさは「例年より劣る」

2023年 鮮やかさのアンケート調査結果

今年は「例年より劣る」の割合がかなり多く、各地で40〜50%にのぼっています。特に中国、四国は「劣る」の割合が最も多くなりました。
鮮やかな紅葉になるためには、秋に適度な日差しと雨があり、気温がしっかりと下がることが必要です。また、夏の天候は葉の育ち具合や痛み具合を左右し、色付きの良さに影響を与えます。

降水量が少なかったのが要因の可能性

2023年 夏、秋の天候

夏(8月)の天候をみると、北日本や北陸、関東では降水量が少なくなっています。夏頃にアプリユーザーに行った「葉っぱ調査」でも、特に北日本や北陸は葉の状態があまり良くない結果になっていました。
一方、東海や西日本太平洋側は台風6号・台風7号の影響で降水量が多くなっています。同調査で、特に四国は昨年よりも葉の状態が良くなっていました。取材班によると、西日本の標高の高い山では昨年よりも葉の量が多く、石鎚山や吉野山など鮮やかな紅葉となった名所もありました。
次に秋(9〜11月)の天候をみると、東日本や西日本で降水量が少なくなっています。今年の秋は高気圧に覆われて晴れた日が多く、特に西日本では水不足に陥いるほどで、葉には長時間紫外線が当たっていたことが考えられます。
色付く時期が早い北日本や北陸は夏の少雨が、色付く時期が遅い東日本や西日本(特にアプリユーザーからの報告数が増える平野部)は秋の少雨が影響したとみています。

今年は「紅葉する前に枯れた」「赤が弱い」傾向

アプリユーザー、名所への取材共に、「茶色い、枯れている」「色付く前に/色付くとすぐ落ちてしまう」「赤が弱い」「色付きにばらつき(個体差)がある」という声が多く寄せられました。高温と少雨によって葉の状態が悪くなり、「枯れる」「落ちてしまう」といった現象が発生した可能性があります。
また、葉が赤くなるには「アントシアニン」という赤色の色素が作られなければなりませんが、これは気温がしっかりと下がる必要があります。高温傾向だったことが影響していそうです。

樹木医 和田博幸さんによるコメント

この結果を受けて、公益財団法人日本花の会の樹木医、和田博幸さんに解説して頂きました。
「今年の紅葉が遅くなったりくすんでいたりというのは、梅雨時から夏にかけての少雨と猛暑が影響していると考えられます。落葉樹の葉が正常の大きさに成長せず、例年よりもやや小さい葉が目に付きます。特に樹冠の上位(木のてっぺんの方)の葉が小さく、紅葉しても迫力にやや欠けていました。
さらに11月になっても9月の頃の陽気が続いたことが、紅葉の色づきを遅らせていました。気温が下がるのが遅れたことで、樹冠の上位が紅葉し、中ほどから下の枝が紅葉していないイロハモミジが目立っていました。「まばら」と感じられた方が多かったのは、このようなイロハモミジがあったからだと思います。
これらのことは市街地などでより多く見られていました。ビルが密集し、ヒートアイランド現象のある市街地での紅葉の見栄えが劣っていたようです。」(和田さん)
紅葉の時期や色づき具合は夏〜秋の天気が大きく影響しているようです。同様に春に見頃となる桜も、冬の気温などが時期や見栄えに影響を与えるといいます。来年の桜、紅葉の様子を引き続きみなさんと追っていきたいと思います。
出典・参考
平均気温の平年差、日照時間の平年比:気象庁HPより
写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)

ウェザーニュース

「紅葉」をもっと詳しく

「紅葉」のニュース

「紅葉」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ