重要物資工場、緊急時は国が買収へ…半導体や抗菌薬など12物資の生産維持や技術流出防止

2024年12月23日(月)5時0分 読売新聞

首相官邸

 政府は緊急時に供給が滞れば、社会経済に大きな影響を及ぼす物資について、製造企業の同意を得たうえで、工場を一時的に買収する仕組みを導入する方向で調整に入った。国が設備を取得することで採算性を度外視した増産や、生産能力の維持、技術流出の防止を実現したい考えだ。

 経済安全保障推進法では、国民生活に不可欠で、国外に過度に依存している「特定重要物資」として、半導体や蓄電池、抗菌薬など12物資を指定し、国が安定供給のために財政支援を行っている。

 新制度では、12物資の一部について、感染拡大や原材料の輸入停止、外国への技術流出などの緊急事態が生じた場合、さらに「特別特定重要物資」に指定し、国が製造企業の工場を買い取ることを検討している。

 企業は物資の需要が急増しても、将来的な需要の収束を見越し、設備投資に慎重になることもあるが、国が設備を取得・所有することで製造に全力を挙げることができる。

 中国によるレアメタル(希少金属)の輸出規制のように、原材料の輸入がうまくいかなくなる事態では、企業が工場の稼働を止めて設備を処分し、生産能力が失われてしまう懸念もあるが、国の関与によってその維持が可能になる。

 日本企業の買収を通じ、他国が日本の技術の獲得を狙うケースでも、国が対抗して買収に乗り出すことで技術の保全を図る。

 特別特定重要物資の考えは経済安保推進法に規定されているが、国の買収などの具体策は盛り込まれていない。政府は24日の有識者会議(座長=青木節子慶大教授)で新制度の素案を示し、その議論を踏まえて基本指針を定める方針だ。

 素案は、国の買収について「サプライチェーン(供給網)への介入強度が特に高い」とし、「抑制的に発動する必要がある」とした。

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