ニュージーランドには「雨水」で流すトイレがある? 飲食店のトイレより公衆トイレのほうが清潔な理由
2024年12月29日(日)21時25分 All About
南半球に位置するニュージーランドは、これからが夏本番。真夏のクリスマスに登場する、サーフィンをするサンタクロースを思い浮かべる人もいるかもしれません。そんなニュージーランドのトイレ事情を現地在住のライターがお届けします。
ニュージーランドのトイレ事情。日本との違いは?
ニュージーランドのトイレは日本と比較しても、清潔感にそれほど大きな違いはない印象です。むしろ駅や空港やイベント会場のトイレなど、利用者が多い施設では掃除が行き届いている印象があります。公共のトイレでも、トイレットペーパーが切れていて困った経験はほとんどなく、周囲の人も同意見でした。ただし、日本とトイレ事情がまったく同じというわけでもありません。大きな違いは、個室のドアの下部に、防犯のため隙間があることと、欧米人仕様で高さがあること。また、公共のトイレでは便器がステンレス製で、便座がないケースもあります。海外ではトイレが有料の場所がありますが、ニュージーランドでは基本的にトイレは無料で使えます。意外と(?)清潔な公共のトイレ
ニュージーランドでは、駅や街中、公園、ビーチ、自然保護区、高速道路などに公共のトイレが設置されています。郊外では小さな商店が集まる、ちょっとしたショッピングスポットの近くに公共のトイレがあるほか、ガソリンスタンドでトイレを借りることもできます。使用中かどうかは、緑と赤の点滅するランプで識別が可能です。緑が光っていたら空いているサインで、個室に入って鍵をかけたら、外のランプが赤に変わる仕組みになっています。公共のトイレは市が管理しているため比較的清潔ですが、1日のうちで使用時間が決まっており、夜間は鍵がかかって使えない点が日本との違いです。ビーチ近くのトイレには、更衣室やシャワーも
公共のトイレの便器はステンレス製で、便座がない場合も少なくありません。トイレの建物自体もステンレスで作られていることも多く、建物のデザイン性が高かったり、ニュージーランドの植物や鳥がプリントされていたりすることもあり、日本のトイレのイメージとは異なります。またビーチ近くのトイレには、着替えのための更衣室やシャワーが用意されているケースがあり、ニュージーランドらしさを感じる場面です。清潔で安心なショッピングモールやデパートのトイレ
ショッピングモールやデパートのトイレは、公共のトイレ、飲食店のトイレと比べて最もきれいで清潔度も高いです。その理由はやはり、こまめに掃除されているためで、利用者は多いものの掃除の回数も多く、清潔に保たれるようです。トイレットペーパーは日本のものとは異なり、巨大な巻きのペーパーが2つ入るホルダーにセットされています。巨大な巻きのおかげで紙が切れている場面に遭遇することはなく、片方が使い終わっていても、もう一方が残っており、両方が切れる前に掃除が入って、ペーパーの補給がされているようです。便器は基本的に日本と同じく陶器製ですが、ウォシュレットが設置されていることはありません。洗面台のそばに、手を拭くための使い捨ての紙とハンドドライヤーが用意されています。このハンドドライヤーは掃除機で有名なダイソン製であることが多く、パワーもあります。
郊外の飲食店のトイレは「雨水」を利用している?
レストランやカフェのトイレは、意外かもしれませんが比較的、清潔さに欠けることが多いです。理由はおそらく、利用客の多さのわりに、人手が足りず掃除の頻度があまり高くないためでしょう。飲食店のトイレは日本のトイレと似ていることが多く、便器は陶器でできており、ホルダーもペーパーもほぼ同じようなものが置かれています。ただし、壁紙、照明、小物、香りなどが統一感のある個性的なセンスで整えられ、余裕のあるスペースに全身が映る大きな鏡があるなど、思わず長時間過ごしてしまうようなカフェやレストランのトイレに時々出会います。
また、郊外の飲食店のトイレは雨水を利用しているケースがあり、飲用に適さないとの注意書きが貼られていたことがありました。
日本と違い、ニュージーランドではトイレットペーパーが高価
家庭のトイレは基本的にシャワールーム内にあって、洗面台やシャワーブースと同じスペースに並んでいるスタイルです。便器は陶器製ですが、一般的に家庭のトイレでウォシュレットを目にすることはありません。日本と違い、ニュージーランドでは紙製品が全般的に高価で、トイレットペーパーもかなり高い印象があります。一方で、日本ではあまり売られていない、紙が3層になったトリプル巻きのペーパーを庶民的なスーパーでも見かけることがあります。
この記事の筆者:森野みどり プロフィール
ニュージーランド在住のライター。現地のオーガニックショップ勤務を経て、2019年にフリーランスライターとして活動を開始。「@DIME」「Life Hugger」など複数メディアで執筆を行う。IELTS7.0を取得した英語力で海外の情報を収集し、現地のライフスタイル、気候変動、環境問題を主軸に執筆中。
(文:森野 みどり)