「勉強になります」よりも効果大…マウント人間がグサッとくる「こんなことも知らないの?」への最強の切り返し
2025年3月4日(火)16時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo
※本稿は、心理コーチとよかわ『マウント取る人 消す魔法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
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■マウントを取る人を、頭のなかから消す方法
「マウント取る人 消す魔法」のやり方を紹介しましょう。今回も、簡単過ぎて驚かないでくださいね。
マウントを取る人を消す魔法、それは、「マウントを取ってきた相手を観客席から眺めてエールを送る」ことです。たったこれだけで、マウントを取る人は消えてしまいます。
「えぇ? 観客席? エール? どういうことやねん?」と思った人も安心してください。順を追って説明していきますからね。
誰かからマウントを取られてイライラしたり傷ついたりしたら、まず、「あっ、マウント劇場のはじまりや!」と考えてください。
そして大事なのは、あなた自身がその劇の登場人物にならないことです。相手のマウント劇場の登場人物は、マウントを取ってきたその人だけです。イメージとしては、ひとり舞台ですね。舞台には、その人しか登場人物はいません。では、あなたがどこにいるかといえば、それは観客席です。
そうですね、2階の観客席から舞台を眺め下ろしているようなイメージがいいですね。観客席の椅子の背もたれに悠々ともたれかかったあなたは、こう考えます、「マウント劇場、頑張ってはりますなぁ。ええことですわ」。以上が「マウント取る人 消す魔法」です。
■「メタ認知」でイライラが落ち着く
「えっ、それで終わり? そんなんでマウントを取る人が消えてくれるわけ?」と思いました? 大丈夫です、ちゃんと消えます。
「舞台」や「観客席」云々(うんぬん)は、もちろんあなたの頭のなかのイメージですよ。マウントを取られて嫌な思いをしたら、すかさず頭のなかでこのマウント劇場をイメージしてください。それだけで、マウントを取ってきた相手の存在はあなたの頭のなかですでに限りなく小さくなっています。
なぜなら、この時点で、もうメタ認知ができているからです。「メタ認知ってなんやったっけ?」と思った人もいますよね。少しだけおさらいしておきましょうか。
マンションの2階や3階から1階を見るイメージでものごとを捉えること、言い換えると、一歩引いてものごとを見ることを、「客観的に見る」「メタ認知」と呼ぶのでした。
つまり、マウント劇場の2階の観客席から舞台を眺め下ろすイメージができれば、メタ認知ができているのです。
そして、このような脳の使い方は、トカゲ脳(※)から人間脳へと脳の活動の場所を移すことでもありましたよね。激しく興奮していた頭のなかが鎮まり、トカゲから人間に進化できるのでした。つまり、イライラが自然と収まるのです。
[※トカゲ脳=爬虫類脳。トカゲ脳は相手にイライラしたり腹が立ったりして、人間としての冷静な脳ではなくなっている状態のこと。人間モードに戻るためにはメタ認知や抽象化が必要。本書(『マウント取る人 消す魔法』)の第2章参照]
■脳内のスポットライトを自分に当てよう
また、「エールを送る」という点も、実はポイントです。
前回の記事でも、相手の幸せやゴールを考えているうちに、自然と脳が自分自身を主語にして考えてくれるとお伝えしましたよね。ここでも同じように、相手にエールを向けているつもりでも、脳はあなた自身にエールを送っていると認識してくれます。
つまり、脳内のスポットライトがあなた自身にフォーカスすることで、自分のことに対して濃度が濃い状態になるのです。
すると、自分の欲や幸せに集中した、自分専用のトカゲになれますので、もはやマウントを取ってきた相手のことは脳内からすっかり消え失せ、どうでもよくなります。
「マウントを取られたときの気持ちの整え方はわかったけど、実際になんて返事すればいいん? 無視できないときもあるやん?」と思う人もいますよね。任せてください。具体的な切り返し方もばっちし用意してありますからね。
ただし、最初にこれだけは覚えておいてください。「なんのために切り返すのか」がいかに大事であるか、ということです。正直、マウントを取ってきた相手への切り返しはいくらでもバリエーションがあります。ですが、実のところ、どんな言葉を返すかはどうでもいいんです。
大事なのは、「なにを目的に、その言葉を相手に伝えるのか」です。相手をなだめてその場をしのいで済ませるのか、あるいは向き合って話し合うのか、それはあなたが「どうしたいのか」「どんな人生を送りたいのか」次第です。
あなたが自分の人生に集中するのが大事なのであって、うまい返し方をしたり、相手を打ちまかしたりすることが大事なのではありません。
あわよくば返り討ちにしてやろうと考えはじめてしまうと、マウント劇場が成立しません。あなたまでもが劇の登場人物の一員になってしまうからです。「なんて切り返したら効果的かいな?」と考えた瞬間、戦いのゴングが高らかに鳴ってしまうのです。
■「なんて切り返そう?」とは考えない
マウントを取る人間は、人間モードではなくトカゲモードになっています。
不安からくる「身を守りたい」という欲求に駆られている状態であり、爬虫類脳に支配されているのです。そのような相手にまともに向き合うことは、あなた自身もトカゲモードになることを意味します。これでは意味がありませんよね。
そんなわけで、マウントを取ってきた相手への切り返しに心を砕く必要はありません。下手をすると、劇の登場人物になってしまいますからね。もっともいいのは、その場からなるべく早く立ち去ること。それが難しければ、機械的に定型文を返すだけで十分です。
そうはいっても、なんと返せばいいのか思いつかない人もいますよね。大丈夫です。マウントタイプ別の切り返し方をばっちし用意しておきました。相手がマウントしてきたら、この通りに返してみてください。そして、さっさとその場から離れちゃってください。
■マウントタイプ別! 切り返しフレーズ
マウントタイプを3つに分け、それぞれの強さとマウント例、切り返し用の定型文を用意しました。あなたにマウントを取ってくる相手に合わせて使ってください。
マウントタイプ1 ストレス発散型[相手の強さ レベル★]
〈マウント例〉
・「うちの子、○○幼稚舎なの。もう九九がいえるのよ」
・「店員なのに、商品のこともよくわかっていないのか。どんな教育をしているんだ、この店は!」
〈切り返し例〉
・「そうなんですね、凄いですね!」
・「承知しました、気をつけます」
・「勉強になります」
「マウント」という言葉で、もっとも連想しやすいタイプです。あからさまな自慢や八つ当たり、理不尽なクレーム、説教などでマウントを取ってきます。
写真=iStock.com/koumaru
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特徴は、不特定多数の人に対して発動するところです。知り合いのみならず、店員やタクシーの運転手、駅員など、自分が偉そうにできる相手なら誰にでも発動します。それこそ、大声で怒鳴る人もいます。
このタイプのマウントはシンプルなので見破りやすく、マウントレベルとしてはたいしたことがありません。いってしまえば、理論武装をしていない、弱いトカゲさん(人間としての冷静な脳ではなくなっている状態)です。日頃のストレスや鬱憤を晴らすために自慢したり攻撃したりして、相手の優位に立とうとしているのです。
このタイプに出くわしたら、隙を見てさっさと逃げるのが一番です。波風を立てずに速やかに離れられるよう、切り返しも下手(したて)に出ておくのが無難です。
なお、相手が大声を出すなどしている場合は、相手の目をまともに見るとますます興奮させてしまいます。動物と目が合うと攻撃してくるのと一緒ですね。なので、相手の眉間のあたりを見るようにしましょう。
また、人間は息を吸っているときに体が緩んで無防備になりやすいので、相手がまくしたてているタイミングに合わせて息をゆっくり吐くようにすると、ダメージを最小限に抑えることができます。
■悲劇の主人公型に効果的なフレーズ
マウントタイプ2 悲劇の主人公型[相手の強さ レベル★★]
〈マウント例〉
・「○○さんが嫌がらせをしてきて、まったく仕事が進まなくて困っています」
・「○○社にいたのに、こんなことも知らないの? 意外とできないんだね」
〈切り返し例〉
・「そんなふうに思っていたんですね」
・「そういう考え方なんですね」
・「それってつまりどういうことなんですか?」
このタイプのマウントは、特定の相手に対して発動します。パワハラや嫌がらせに近いイメージですね。
特徴は、演技力があることです。さもあなたが悪いかのようにいったり振る舞ったりして、悲劇の主人公になり切って周囲を味方につけることも少なくありません。大袈裟にいったり、嘘をついたりすることもあります。まわりを巻き込みがちな点ではかなり厄介でしょう。
マウントタイプ1に比べるとレベルの高いトカゲさんではありますが、冷静に対応しましょう。無理に誤解を解こうとしたり言い繕ったりすると、それこそ相手の思うつぼです。
相手はあなたを貶めることやまわりに同調して共感してもらうことで自尊心を満たしています。ここは淡々と、「そんなふうに思っていたんですね」「そういう考え方なんですね」といって、放っておきましょう。
実のところ、この切り返しはかなり強力です。なぜなら、「人の数だけ真実がある」ことを言い換えた言葉なので、相手が言い返しにくいからです。同時に、「見透かされている……?」と動揺させる心理効果も期待できますので、トカゲさんはそれ以上ものをいいにくくなるでしょう。
■「それってつまりどういうことなんですか?」で撃退
また、「それってつまりどういうことなんですか?」も、トカゲさんが返答に困りやすくなるのでおすすめです。
トカゲさんも、まさかそのように切り返されるとは思ってもいないので、動揺した挙句、「だ、だから、○○さんが嫌がらせをしてきて困ってるっていってるんですってば」など、さっきと同じことを繰り返しがちです。
なお、この切り返しは相手と向き合う感が少し強くなるので、パートナー、家族、親族など、これからも関係を続けないといけない相手に対して使うといいでしょう。
相手が「つまりどういうことか」を考えるうちに人間モードに戻り、「なんや、ちょっと大人げないことしてもうたかも……」と我に返ってくれたら理想的ですね。
一度で撃退できるとは限りませんが、何度も同じ切り返しをしているうちに、まわりの人がマウントトカゲの正体に気づいて冷静になっていきます。そうなるとトカゲさんは都合も居心地も悪くなり、マウントのターゲットを別の人に切り替えてくれるはずです。
■「大きい仕事をしている」と語る相手の場合
マウントタイプ3 演技力MAX型[相手の強さ レベル★★★]
〈マウント例〉
・「SDGsの観点からいえば歓送迎会なんてものは社会の毒でしかなくて、いまこの瞬間にも数多の資源がウンタラカンタラ」
・「AIの台頭によって我が社の生き残りはDXがもたらすインタラクティブな未来の実現にかかっています。そういうドラスティックな施策とコミュニケーションをASAPでローンチするのがウンタラカンタラ」
〈切り返し例〉
・「そうなんですね、凄いですね!」
・「いま、どれくらい進んでいるんですか? 今年の予定とか聞いてもいいですか?」
正義や大義名分を笠に着て、ハリウッド俳優ばりの演技力でマウントを取ってくるのがこのタイプです。一見、主張していることは間違っていないので「あ、これ、マウントや」と気づくのが難しいかもしれません。そのような意味では、最強のトカゲさんといえるでしょう。
社会体制、政治、SDGs、貧困、課題解決、社会の流れなどをテーマにところかまわず演説を炸裂(さくれつ)させるのが特徴で、本物の社会活動家との違いは、「空気を読まない」「実際にたいして行動していない」ところにあります。
正義や大義名分を重ね着しまくった最強エリマキマウントトカゲさんは、「いま、その話って必要?」とつっこみたくなるようなシチュエーションで、ゴールのない話を饒舌(じょうぜつ)に喋(しゃべ)りまくります。
横文字やカタカナ語、難しい用語を多用しがちな傾向もあります。まわりはうんざりしつつ、なんとなくその話を聞き続けることになります。
■「数字は?」「目標は?」と具体的に聞くのがコツ
このようなトカゲさんには、「そうなんですね、凄いですね」といったん下手に出ておいて、隙を見て逃げるのが一番です。
心理コーチとよかわ『マウント取る人 消す魔法』(KADOKAWA)
しかし、飲み会の場や会議中などはそうもいきませんよね? そこで、あえて向き合うのもひとつの手です。「達成率はどれくらいですか?」「いつ頃、実現しそうですか?」「最近はどんなことをされましたか?」など、トカゲさんの活動内容や貢献度を具体的に聞くのがポイントです。
というのも、このタイプのトカゲさんは「具体的なこと」や「数字」がとても苦手です。やるべきことから目を逸らし続けてきた結果、自分に自信がないからこそ、正義や大義名分を笠に着ているわけです。
具体的な話に言が及ぶと、トカゲさんは内心うろたえます。だって、人に説明できるほどのことをしていないから当然ですよね。多少は活動していたとしても、口に出してみるとその規模の小ささに気づいて自分で恥入ってくれます。そうなれば、トカゲさんはすっかりおとなしくなるでしょう。
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心理コーチとよかわ(しんりこーち・とよかわ)
心理コーチ
手取り5万円の高卒フリーターから未経験でIT業界に入り、デジタルマーケティング業界、海外での新規事業開発などを経験する。シリコンバレーで認知科学と出会い、帰国後に起業。上場企業のDX人材育成に従事したことをきっかけにコーチング業界の道へと進む。コーチングの世界的権威に認められその伝統を受け継ぎ、コーチングにおける各種世界ライセンスを保持する。2022年に開設したYouTubeチャンネル「心理コーチとよかわ」では、主に人間関係の悩みを解決するコンテンツを配信し人気を集めている。
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(心理コーチ 心理コーチとよかわ)