「競わず、張り切らず、頑張りすぎず、のんきにやる」幸せに長寿を全うしたい人に捧げる"タモリの教え"

2025年3月10日(月)16時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Anton_Sokolov

長生きする人は何をしているか。心理学者の内藤誼人さんは「かの文豪シェークスピアは、『のんき者ほど長生きする』といったセリフを残しているが、タモリさんも、あまり勝負するのが好きなタイプではない。人と競り合うようなことは意識的に避けている節がある」という——。

※本稿は、内藤誼人『タモリさんに学ぶ「人生のたたみ方」』(廣済堂出版)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/Anton_Sokolov
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■今よりもっと肩の力を抜いて生きよう


長生きしたいのであれば、何事に対しても張り切りすぎたり、頑張りすぎたりしないようにするのがポイント。


頑張るのはとてもしんどいことですからね。肩の力を思いきり抜いて、ほどほどに頑張っていればよいのです。10割の力で走るとすぐに疲れてしまいますが、3割から4割くらいの力で走っていれば、長い距離をいくことができます。


タモリさんは、いろいろなところで「頑張りすぎないこと」について語っています。おそらくそれがタモリさんにとっての重要な価値観なのでしょう。


「頑張らなくていいんだから。頑張るのはちゃんとした人だから。頑張るから苦しいんでしょ。頑張らないととか、計画立てなきゃいかんというのは、ちゃんとした人です」
(『パピルス』 2008年10月号 p54)
出典=『タモリさんに学ぶ「人生のたたみ方」

何事も完ぺきにやろうとしすぎるのはよくありません。


カナダにあるトリニティ・ウェスタン大学のプレム・フライは65歳から87歳の450名(男性189名、女性261名)に、完ぺき主義を測定するテスト(「自分がやることは何でも完ぺきにこなしたいと思う」などの項目で測定)を受けてもらって、それから6年半後に追跡調査をしました。


その結果、6年半後に生存していた人と、死亡した人には完ぺき主義テストの得点に大きな差があったのです。


当たり前の話ですが、完ぺきにやろうとするとものすごく疲れてしまうのです。それが寿命を縮める結果になることは論を待ちません。


何でもほどほどにやっていればいいのですよ。そんなに張り切らず、頑張りすぎず、のんきにやっていればいいのです。


タモリさんの教え
ほどほどに頑張っていればそれでいい、と考える

■タモリ流・悩みを吹き飛ばすちょっとしたコツ


タモリさんは地層を見る趣味がありますが、地層を見ながら悠久の歴史に思いをはせ、感激するという体験を味わっているようです。


「(数万年前の地層を見ながら)地球の歴史は46億年。それからすると数万年前なんてつい最近だし、そう考えると人間の悩みなんてちっぽけだよねぇ」
(『ステラ』 2018年3月30日号 p29)

別に地層に限らないのですが、壮大なスケールがあるものを見て、震えるような感激を味わうことはとても重要です。タモリさんが指摘するように、小さな悩みなどいっぺんに吹き飛んでしまいますから。


壮大なものを見て胸を熱くすることを、心理学では「オウ」(Awe)体験と呼んでいます。非常に大きな建物や、歴史的な建造物、大きな滝、満天の星などを見ると、読者のみなさんもオウ体験を味わうことができます。


写真=iStock.com/KTV1G1
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/KTV1G1

「うわあ〜、大きい!」
「うわあ〜、すごい!」


そういう感激した気分を味わうと、悩みもどこかに吹き飛びます。東京スカイツリーに登って東京を一望すれば、だれでもオウ体験ができるでしょう。


もちろん、ほかの場所でもかまいません。自分の住んでいる場所の一番高い場所(建物の屋上や山頂)に登れば、素晴らしいオウ体験ができます。


■ヨーロッパのお城の全景やナイアガラの滝でもいい


スタンフォード大学のメラニー・ルッドは、「エッフェル塔に登ってパリを見下ろす」という内容の記事と、「知らない塔に登って平凡な風景を見る」という記事のどちらかを読んでもらい、それから人生の満足度を尋ねてみると、前者のほうが人生満足度は高くなることを報告しています。


「私の人生はなんとすばらしいのだろう」「生まれ変わっても、また同じ人生を歩みたいものだ」と自分の人生満足度を高めたいのなら、一番簡単なのはオウ体験をすること。どこかスケールの大きい名所などを訪れてみれば、だれでもすぐにオウ体験ができます。


出かけるのが面倒くさいというのなら、インターネットでオウ体験ができそうな画像を眺めてみるだけでもいいかもしれません。


ヨーロッパのお城の全景であるとか、ナイアガラの滝であるとか、エジプトのピラミッドであるとか、有名な画家の絵画であるとか、何でもかまわないと思います。タモリさんは地層ですが、オウ体験ができるのなら、読者のみなさんの好きなものを選んでください。


タモリさんの教え
壮大なものを見ると、悩みがちっぽけなものになる

■つまらない張り合いはやめて、のんきに生きよう


心理学では、いつでも忙しくせかせかしている、人とすぐに競争しようとする、といった傾向のある人を「タイプA」と呼んでいます。こういう人は、虚血性心臓疾患になりやすいということもわかっています。


カナダにあるクイーンズ大学のキャリル・マクウェンは、200組の夫婦にタイプAかどうかを判定するテストを受けてもらう一方で、結婚満足感などを教えてもらいました。


その結果、タイプAの人ほど、結婚に不満を感じやすく、また離婚したいという気持ちが強いことがわかりました。


人と競うのが好きなタイプAの人は、配偶者ともよくぶつかります。相手をバカにしたり、悪口を言ったりすることが多いこともマクウェンはあきらかにしています。


競争的で、人とガンガンぶつかるタイプではいけません。


かの文豪シェークスピアは、「のんき者ほど長生きする」といったセリフを残しているそうです。出典はちょっとよくわかりませんが。人と争わず、できる限りのんきでいたほうがいいのですよ。


タモリさんも、あまり勝負するのが好きなタイプではありません。人と競り合うようなことは意識的に避けているのですね。


「SMAP×SMAP」(フジ系)の人気コーナー「ビストロスマップ」の最終回にゲストとして出演したタモリさんのエピソードをご紹介します。


「2チームに分かれての料理対決で、勝者を決めるのが恒例となっていますが、タモリは『最終回だから、判定はいいでしょ。人生で判定なんか、どうでもいいことだ』と決着をつけなかったんです」
(『週刊大衆』 2017年5月8日号 p72)

番組的には、おいしさに関して勝敗や優劣をつけてもらいたかったのでしょうが、タモリさんはそういうことをしませんでした。


■心の柔軟性は高まり、イライラしなくなり、長生きできる


人とぶつかり合いそうになったら、「あなたの勝ちでいいですよ」と勝負の土俵から降りて、相手にさっさと白旗を上げてください。ムキになって張り合ったりしても、いいことは何もありません。心臓がキリキリして、発作を起こしやすくなるのが関の山ですから。



内藤誼人『タモリさんに学ぶ「人生のたたみ方」』(廣済堂出版)

自動車の運転をするとき、性格が豹変する人もいると思うのですが、のんきに運転するのがポイントです。少しくらい飛ばしたって、目的地に到達する時間はそんなに変わりませんよ。


自分の車の前にいきなり割り込んでくる人がいても、気にしない、気にしない。「ささ、どうぞ!」という感じで、快く前を譲ってあげてください。そのほうが交通事故に遭うリスクも相当に減らせます。


のんきであればあるほど、心の柔軟性は高まり、イライラしなくなり、長生きができます。つまらない張り合いはやめて、のんきに生きていきましょう。


タモリさんの教え
人と競り合いそうになったら、さっさと白旗を上げる

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内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。立正大学客員教授。有限会社アンギルド代表。社会心理学の知見をベースに、心理学の応用に力を注ぎ、ビジネスを中心とした実践的なアドバイスに定評がある。『心理学BEST100』(総合法令出版)、『人も自分も操れる!暗示大全』(すばる舎)、『気にしない習慣』(明日香出版社)、『人に好かれる最強の心理学』(青春出版社)など、著書多数。
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(心理学者 内藤 誼人)

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