「少しは働いたら?」と言われるが…30歳ニートYouTuberが「働くのが嫌いなわけじゃない」と弁明する理由

2024年3月11日(月)14時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/FeelPic

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もう働きたくないと思ったら、どうすればいいのか。3人組のYouTubeグループ「ニートと居候とたかさき」(チャンネル登録者数28万人)のメンバーで、4年間「ニート」として働かずに暮らしている野尻さんは「働くか働かないか。それをいつでも自由に選択できるのがニートのいいところ。ニートとして暮らしていたら、いつの間にかYouTubeチャンネルが始まっていた」という——。(第1回/全3回)

※本稿は、ニートと居候とたかさき『嫌なこと全部逃げてみた アラサー男3人のがんばらない日常』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。


■毎日ゲーム三昧の30歳ニート生活


ニート……野尻
居候……南
たかさき……たかさき

皆さんこんにちは。野尻です。僕は今、「ニート」として生活しています。


多趣味なのでやることがたくさんあって、まる一日ゲームをしたり、友達とゴルフに行ったり、彼女の「しも」と過ごしたり……。ひたすら、自分の好きなこと・興味があることをして過ごしています。日によっては、家から一歩も出ないこともあるかな。やることはたくさんあるけど、もちろん暇な時間もあります。


写真=iStock.com/FeelPic
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/FeelPic

もっとも時間をかけているのは、ゲーム。3人1組で銃撃戦をする「Apex」をやっています。オンラインで会話しながらできるので、ゲーム中は友人と遊んでいる感覚ですね。YouTubeでゲームチャンネルも持っているので、たまに配信もしています。


それから、人がめっちゃ好きなので友達とご飯に行くこともけっこう多いです。


■ニートでいる一番のメリットはすべて自分で判断できること


ニートのいいところは、挙げきれないくらいあるんですけど……。


一番は「時間がある」こと。そして「自分で選択できる」こと。


働いていると、思い通りにいかないことがたくさんあると思います。でもニートは自由に使える時間があるし、すべて自分の意思で判断できます。


たとえば、行きたい誘いは100%行けるし、逆に行きたくないのに参加必須、みたいなこともありません! 誰にも干渉されず、すべてが自分しだいです。


■進学校でただひとりフリーターという進路を選んだ


高校卒業後は、大学に進学せずフリーターになりました。


けっこう進学校だったので、進学しなかったのは僕ひとりだけ。進学しなかった理由は、先の進路を想像できなかったから。「○○になりたいから専門学校に行きたい」とか言う人いますけど、それが理解できなかったんです。普通に学生生活を過ごしていて、どこでそんな希望が生まれるの? 僕的には、10代でやりたいことがあるほうが「すごい」と思います。


先の進路を考えられなかったので、大学受験のシーズンが始まっても僕はまったく勉強をしませんでした。結果、下から数えたほうが早いような成績に。「今更勉強しても間に合わないな」と思ったので、卒業後はフリーターになると決意しました。


「大学には行かない」と打ち明けたとき、親に言われたのは「自分で選んだ道ならいいんじゃない? 応援するよ」という言葉。僕には兄と姉がいて、ふたりとも進学していません。だから親は「3人目くらいは進学してほしい」と思っていたようですが、結果的に気持ちよく送り出してもらいました。


ただ、学校とは少し揉めました。


進学校だったので、高校としては「受験しない子」を出したくなかったようです。それで、担任・教頭・学年主任vs.僕の面談が設けられました。


面談では、「これからどうしていくんだ」、「どうするつもりなんだ」とばかり聞かれ、僕の意見を聞いてくれる人はひとりもいませんでした。全員が真っ向から否定するスタンスだったので、「これはダメだ!」と僕はシャットダウン。


この面談で話の中心にいるのは僕のはずなのに、まともに話し合うことができない。自分の意見も聞いてほしいけど、先生たちは一方的にバーッと否定するばかり。


「話してもムダだ!」と思い、この面談が「受験しない」決定打になりました。


■働くも働かないも自分で選択して決められる


高校卒業後、すぐに同級生だったたかさきともうひとりの仲いい友達とルームシェアをスタート。しばらくフリーターをしていましたが、あるとき「もういいかな」と思い、後先考えずにニートになりました。


その後は「そろそろ働きたいな」と思ったらフリーターに戻り、「もういいかな」と思ったらニートに戻り……の繰り返し。2019年頃からは、ニートを続けています。


それ以降は、もちろん働いていません。ニートになって、もう4年以上経ちます。


働くか働かないか。それをいつでも自由に選択できるのも、ニートのいいところ。ニートとして暮らしていたら、いつの間にかYouTubeチャンネル『ニートと居候とたかさき』が始まっていました。「カメラまわすから普通に生活しといて」と言われ、今に至ります。


正直、まだ許可してないし、チャンネル登録もしていません。


■働くのが嫌だからニートをしているわけではない


僕は、働くのが嫌いだからニートをしているわけではありません。


フリーター時代は居酒屋やレストラン、バーなど、主に飲食のアルバイトをしていました。お酒やコーヒー、紅茶などの専門知識が身に付くので、勉強しているみたいで楽しかったのを覚えています。


高校時代には、引っ越しのアルバイトをやったことがあります。ただ、まったく力がないので、夕方になると荷物を持てなくなっちゃうんですよ。


ちっちゃい段ボールを運ぶことしかできなくて、それが申し訳なくて辞めました。


最後にやったのは、ホテルでのアルバイトだったと思います。


働くことは、正直言って「好き」なほうです。フリーター時代は、「めちゃめちゃ楽しい!」と思いながら、やりがいを持って働いていました。


“意識高い”っていうとアレですけど、どのアルバイト先にも必ずひとりはいる「ちゃんとしてるフリーターアルバイト」って感じです。お店的に、めちゃくちゃ助かる存在だったと思います。


■まわりの友達が出世してもまったく焦りはない


「働いていないのに、なんでお金があるの?」と疑問に思われるかもしれません。


でも僕は、まわりが大学に通っている間、ずっとアルバイトをしていました。18歳からフリーターをしていたし、働けば働くほど稼げたのです。「貯金をしよう」という気はまったくありませんでしたが、そんなに物欲もないので自然とお金が貯まりました。


ニートになってからは、フリーター時代に貯めたお金を取り崩して暮らしています。YouTubeを始めてからはその収入がありますが、それ以前から毎月ちゃんと家賃を払っています。


まわりの友達は大学を卒業し、就職し、どんどん出世していきます。近くにいるたかさきも、仕事をがんばって成果を出しています。素直に「すごい」と思います。


でも、まったく焦りはありません。というか、焦りがあったらニートやってません。


ただ、フリーター時代は同年代が就職でアルバイトを辞めることに寂しさは感じていました。


同年代がいなくなったので、必然的に年下とばかり遊んでいましたね。


だから、「あいつ、いつまでいるんだよ」と煙たがられていたかもしれません。


■「家では絶対に勉強したくない」その一心で毎日塾通い


そんな、焦らず自由に生きている僕が人生で一番がんばったことは、高校受験です。


中学3年の夏、そろそろ志望校を決めないといけない時期です。僕はまったく高校の情報を知らず、進学先について何も考えていませんでした。


千葉県の高校一覧が載っている冊子があったので「開いたところに書いてある高校に行くわ」と言い、パッと開いたページにあったのが僕の出身高校。その場にいた友人が同じところを志望していたので、一緒に目指すことになりました。


適当に決めたので、志望校の立地や学力、校風など、なんにも知りません。受験勉強を始めてから、実はけっこう難易度が高いことを知りました。


写真=iStock.com/taka4332
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/taka4332

結局、模試では一度も合格判定を出せないまま受験本番を迎えることに。受かってよかったです。


僕は、家は「息抜きをする場所」と決めています。


家では絶対に勉強したくなかったので、毎日塾に行きました。家では息抜きに徹する分、塾ではめちゃくちゃ勉強する日々。


親からは勉強している姿が見えないので、「大丈夫?」とだいぶ心配されましたが、無事に合格。人生でもっともがんばった時期でした。


それだけがんばれた理由は、「勉強が楽しい」と思えたから。


入り口は「友人と同じ高校に行きたい」という気持ちだったけど、やっていくうちに勉強自体が楽しくなったのです。その延長線上に「高校合格」という分かりやすい目標があったので、そこを目指していた感覚。本当に努力していたと思うけど、苦しさより楽しさのほうが大きかったです。


■「後で何が起きても後悔しない」と先に決めておく


勉強をがんばり始めたのは、中3の秋以降です。


普通は、夏休みくらいから本格的に受験勉強を始めると思います。部活を引退し、それ以降が受験期本番というイメージ。だけど僕は、夏休みはめちゃくちゃ遊びたかったのです。


まわりの友人は当然、夏期講習に通っていました。でも僕は、夏休みは「遊ぶこと」を選びました。そして、思う存分遊びました。


結果的に志望校に受かることができましたが、仮に落ちていても、僕の性格的に夏休みに勉強しなかったことを悔やんではいないと思います。


なぜなら、「夏休みは遊ぶ」と決めたのは自分だから。


「勉強しなきゃ」、「でも遊びたい」。


……こんなふうに、複数の選択肢から自分の行動を決めないといけないことって、よくあると思います。


一般的には、勉強するほうが正しい選択ですよね。もし遊ぶことを選んで受験に失敗したら、みんなは「後悔するだろう」と思うでしょう。


でも、「後々何が起きても後悔しない」と先に決めれば、後悔はしません。


自分で判断したことなら後悔しない。これが僕の信条です。


■どんなアドバイスをされても行動を起こすのは自分


僕は人の話を聞くのが好きです。



ニートと居候とたかさき『嫌なこと全部逃げてみた アラサー男3人のがんばらない日常』(KADOKAWA)

感情的にならないタイプなので、「人間味がない」と言われることが多々あります。それもあってか、感情的な人の話を聞くことは特に楽しい。悪口とか、恋愛関係とか、人間味を感じる話は特に面白いなと思います。たかさきは感情豊かなので、話を聞いていて面白いです。


10人いたら、10通りの考え方があるじゃないですか? 同じテーマでも人によって意見が異なったりして、興味深いです。


でも、聞いた話を自分に取り入れるかは別問題。


僕の場合、話を聞いても「こういう人なんだな」と相手の情報がアップデートされていくだけ。「自分にも取り入れよう」と自分が変化することはなく、ただ、「新しい一面が見られて面白かったな」と思う程度です。


ニートということもあって、僕は人から意見をもらうこともよくあります。善意でアドバイスをくれる人もいるし、中には悪意を持って言葉をぶつけてくる人も。


でも、そういうのを踏まえて最終的に行動を起こすのは自分。


意見をもらうと「自分が変わらなきゃ」と思ってしまう人もいますが、僕は「自分はどうしたいのか」が一番大事だと思う。自分が納得できないことをやったり、やめたりする必要はありません。


もらった意見や考え方、聞いた話は「まわりの声」として置いておいて、必要なときに必要だと思うものだけ引き出すくらいがいいんです。全部を自分の中に入れないほうが、心穏やかに生きられると思います。


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ニートと居候とたかさき
YouTuber
元芸人で現クリエイターのたかさき、たかさきと高校の同級生でニートの野尻、解散したコンビの相方の家で居候をする芸人(仮)の南、3人のルームシェア生活を毎日配信する。
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(YouTuber ニートと居候とたかさき)

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