単語帳を暗記している人は大抵伸びない…第二言語習得論の専門家が教える「やってはいけない」英語勉強法
2025年3月29日(土)8時15分 プレジデント社
出典=『英語が日本語みたいに出てくる頭のつくり方』(日本実業出版社)
※本稿は、川﨑あゆみ『英語が日本語みたいに出てくる頭のつくり方』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
■こんなに努力してきたのに英語が話せない…
私は「第二言語習得論」を研究し続けながら、その科学的根拠をもとに「グロバリ」という英語スクールを主宰していますが、ここに相談に来られるのは、すでに英語学習に必死に取り組み、努力をされてきた方ばかりです。
これまでに英語コーチングスクールに4校通い、毎日3時間の勉強を続けてきた人。オンライン英会話を何年も続けてきた人。
さまざまな英語アプリや教材を買って10年以上も英語学習にたくさんのお金をかけてきた人。TOEICで990点を取るくらい勉強をしてきた人……。しかし、相談に来られた際に、みなさんが口をそろえて言うのです。
「こんなに努力してきたのに、英語が話せない。聞き取れない。どうしていいのかわからない」
じつは、日本でこれまで広く信じられてきた「英語学習法」には、科学的根拠のないものが多くあります。これらの迷信を信じて学習を続けた結果、多くの人が「一生懸命英語を学習しても話せない」「聞き取れるようにならない」「最適な学習法が見つからずいつまでもさまよっている」といった絶望を感じています。
出典=『英語が日本語みたいに出てくる頭のつくり方』(日本実業出版社)
出典=『英語が日本語みたいに出てくる頭のつくり方』
■英語の正しい学び方
そこで、よくある迷信(図表1)と、それに対する真実(図表2)をお伝えします。
「迷信」に、正しいと思い込んでいたり、実際に試してみたことがある方法があっても大丈夫です。「英語の正しい学び方」を知り実践すれば、これまでの努力が成果に変わります。無駄になることは決してありません。
本稿でこれからお伝えしていくのは、これまでの迷信をくつがえす、最大効率で英語習得を進めるための、科学的根拠にもとづいた英語学習の「真実」です。真実、つまり第二言語習得論をベースにした「英語の正しい学び方」を取り入れれば、英語力は劇的にアップします。英語を自由にスラスラ話せるようになるのです。
もう「どの単語帳がいいの?」「どの文法書を使えばいいの?」「どうすれば話せるようになるの?」といった迷いもなくなります。これは決して魔法の方法ではなく、英語学習の原理原則(真実)に基づいたものです。
ぜひ、英語学習の「真実」をベースに学習をはじめてください。
〈まとめ〉
これまでのよくある英語学習法には、科学的根拠のないものが多くある。
英語学習の「真実」を知ることで英語力は劇的にアップする。
■英語ができる人とできない人の差
本記事では、私が専門とする「第二言語習得論」という学問をベースに、これまで10年以上の指導経験を通じて、膨大な量の研究結果から導き出した、日本人に最も効果がある学び方のエッセンスをぎゅっと詰め込んでいます。
「第二言語習得論」という言葉の響きは、少し難しそうでハードルが高く感じるかもしれません。しかし、この学問をベースに学習を進めると、遠回りすることなく、英語力が劇的にアップします。
第二言語習得論は効果的に言語を習得する方法を研究している「第二言語習得論」は、その名のとおり、日本人にとっての英語をはじめ母語ではない第二言語をどのように習得するかを科学的に探求する学問分野です。1960年代後半から1970年代初頭にはじまった学問で、現在、世界中で研究が盛んに行われています。
母語は、幼少期に自然と話しはじめ、基本的にはどんな人でも日常の会話が難なくできるようになります。一方で、英語のような第二言語になると、スムーズに習得できる人と、そうでない人の間に大きな差が生まれます。
この差に着目しているのが、第二言語習得論です。研究者たちは、第二言語の習得がどのように進むのか、どうすれば習得を効果的にできるのかを日々研究しています。
出典=『英語が日本語みたいに出てくる頭のつくり方』
■英語習得の最短ルート
たとえば、文法はどのように学ぶと効果的だと思いますか?
川﨑あゆみ『英語が日本語みたいに出てくる頭のつくり方』(日本実業出版社)
具体的な研究として、あるグループは「文法の説明」を中心に指導を受け、もう一方は「物語のような文脈の中で文法を学ぶ」形式の授業を受けました(※)。
この2つのグループの文法の理解力を測ったところ、「文脈の中で文法を学ぶ」形式のほうが、長期的な効果が高いことがわかりました。これは、自然なコミュニケーション(会話や読解など)の中で文法を使うことで、記憶に定着しやすくなるためです。
第二言語習得論は、言語学や心理学、教育学、神経科学、脳科学、社会学、文化人類学、コミュニケーション学など、さまざまな分野の知見を基に発展してきました。そうして最短で効果的かつ効率的に英語を身につける方法や理論が、すでに多くの研究で明らかになりつつありますまずは、この第二言語習得論をベースとした「英語の正しい学び方」を理解することが、英語学習のスタート地点です。
※注釈:Long(1991)やEllis et al.(2001)の研究では、文法を文脈の中で学ぶことが長期的な定着を促すと示唆しています。文法を実践から切り離して学ぶより、身近なコミュニケーションと結びつける学び方が効果的です。(用語リスト D-1〜4参照)
● 英語が話せる感覚がつかめる
● 英語が絶対に通じるという感覚が得られる
● 結果が出やすいから学習法に迷わない
● 最短距離で、望む未来が手に入る
科学的に立証された「正しい学び方」で学習することで、効率的・効果的に英語力をアップさせましょう。
〈まとめ〉
第二言語習得論は「どうすれば効果的に言語を習得できるか」を研究している。
----------
川﨑 あゆみ(かわさき・あゆみ)
英語講師
最速英語習得の専門家・グロバリ代表。講師歴10年以上、延べ5000名以上に英語を指導。英語力ゼロで、アメリカで自信を喪失した自身の経験から、日本人が英語を効率よく習得し英語でも人生でも成功できる方法を求め、10年以上かけて、独自の「グロバリメソッド」を開発。
----------
(英語講師 川﨑 あゆみ)