労働人口が伸びる新興国に投資するピクテ「iTrust新興国株式」、新NISA成長投資枠で優秀ファンド賞受賞

2024年3月29日(金)14時48分 サーチナ

「iTrust新興国株式」について、ピクテ・ジャパンの代表取締役社長 萩野琢英氏(写真:右)に、ウエルスアドバイザー代表取締役社長の朝倉智也(写真:左)がインタビューを行った。

写真を拡大

 今年スタートした新NISA「成長投資枠」の運用にふさわしいアクティブファンドを表彰する新しいアワード「新NISA成長投資枠WA優秀ファンド賞」が始まった。投資信託の第三者評価機関であるウエルスアドバイザーが1312本の対象ファンドの中から20本を選定し、2023年12月29日に第1回の受賞ファンドを発表した。「国際株式型(グローバル)部門」にて受賞した「iTrust新興国株式(愛称:働きざかり〜労働人口増加国限定〜)」について、同ファンドを設定運用しているピクテ・ジャパンの代表取締役社長 萩野琢英氏(写真:右)に、ウエルスアドバイザー代表取締役社長の朝倉智也(写真:左)がインタビューを行った。

朝倉 当ファンドは、中期となる3年評価としてトータルリターン、シャープレシオとも類似ファンドに対し、トップレシオの成績を収めております。萩野社長から改めてこのファンドの特徴をお話しいただきたいと思います。

萩野氏 ピクテは1980年代後半からもう新興国の株式チームを作った数少ない運用会社です。ピクテはプライベートバンクの会社として、富裕層の方々から新興国への投資、しかも分散して投資を行いたいというニーズをいただいていました。現在では、ピクテではアクティブ運用チームがあり、株と債券を含めて総勢60名近い体制となっています。

 「新興国の株式の成長はどこから来ているか」という点においては、「潜在成長率の大きな比重を占める労働人口の伸び」、それが一番であるというチームとの対話の中で、この商品が作られたという経緯があります。

朝倉 新興国ファンドですが、中身を拝見させていただくと、「中国」が除かれているというのは、やはり働きざかり、成長を享受するということで、外れたということでしょうか。この1年、3年の成果は、まさにパフォーマンスのかい離が出ており、非常に先見性があるファンドだと思います。

萩野氏 まず初めに、先進国は労働人口が伸びているところはどんどん減り、日本などは完全に減少に転じています。そのため、日本株を投資先として考えた場合、労働人口は減っている国の株となります。そのため、分散投資の観点からすると、労働人口が伸びているエリアに投資することは重要で、それを探すと新興国しかないのです。その中でも、中国、台湾、韓国、ロシアは、すべて労働人口が減っているので、投資対象とはなりません。

朝倉 われわれが評価させていただいたのはこの1年間のパフォーマンスだけではなくて、3年などを見ても類似ファンド分類の中でも上位数%に入っております。まさに今おっしゃったのが、当ファンドのパフォーマンスの要因だと思いますが、もう少し掘り下げていただけますでしょうか。

萩野氏 投資している対象はインドのみならず、インドネシア、ブラジル、南アフリカ、中近東の国々等の労働人口が伸びている国です。それぞれの国の成長力が高いのです。労働人口の伸び率、伸びている国の新興国の成長率は、普通の伸びていない国に比べて倍近い成長率です。それは人口が伸びているので経済が拡大しているという、新興国特有の強みを持っています。

 もう一つの特徴は、相対的にバリュエーションが安いものをピックアップしている点です。例えば日本では、インドが注目されがちで、なかなか他に目が向きづらい状況です。そうするとその他の国では見過ごされている銘柄が結構あるのです。そこを上手にピックアップすると、面白いポートフォリオを作ることができます。

朝倉 それがまたアクティブの強みですね。新興国のインデックスファンドというと中国が約3割は入っている状況ですから、過去のトラックレコードを見るとそれが足を引っ張っており、新興国というとパフォーマンスが悪いのではないかという、そんな結果がインデックスでは出ていますからね。

萩野氏 インデックスで新興国を円ベースで見ると過去3年でほぼフラットであり、100が100と少し増えたぐらいだと思いますが、このiTrustの新興国は、タイミングによりますが1.4倍から1.5倍と伸びています。その大きな差は何かというと、まさしく中国が入っていなかったことが挙げられます。韓国も実はそれほどパフォーマンスが良くなく、その要因の一つは世界経済の影響を受けたというのもありますが、やはり労働人口が減少に転じていることだと思います。日本も1990年代の頃から成長率は落ちていきましたが、その狭間に入ってきている可能性がある国を除外したものが、投資対象になっています。

朝倉 個人投資家では分からない、選択ができないですよね。さきほどの通り、インドというとみんなインドに着目しますが、もっと違う国が見られていない。それは個人ではできないことなので、やはりファンドとして御社のような企業に委託をしていくのが一番いいですよね。

萩野氏 私はピクテに入社し約24年、さまざまな富裕層や、世界・ヨーロッパの方々とお付き合いして本当に感じるのは、彼らは「非効率性」を見に行くのです。新興国のマーケットは「非効率的」なものが満載です。この投資対象を選別する考え方を打ち出すことができたのは、ピクテならではの特徴だと思います。

朝倉 まさに新興国ならではの重要性ということでしょうか。先進国、特に世界の株式の時価総額ではアメリカが引っ張ってきましたから、パッシブを買っていれば良いという風潮がありました。これからは少しずつ変わってくると思いますが。新興国はまさにインデックスからアクティブへ、そしてアクティブの中でも御社がこのように銘柄や地域をセレクトしたというのは、しっかりとアルファが出てきたということですね。

萩野氏 成長力があるのに加えて、バリュエーションが安いのです。ポートフォリオの平均PERが10倍以下程度となっています。

朝倉 それは安いですね。

萩野氏 今、大体米国で20倍近いかと思います。新興国はその半分以下です。そこも一つ魅力的なポイントです。長期間にわたり調整はされてくると思いますが、だからこそ長期の投資対象としては面白いエリアだと思います。

朝倉 そういった意味では新興国として、十把一絡げに見るのではなくて、こうしたいいファンドがあるよということも、今回のアワード評価として、クローズアップさせていただきました。まさに栄えある1回目の受賞ファンドであるということだと思います。

 投資家の方にもぜひこのような考え方やファンドにも目を向けていただきたいと思います。最後に投資家へのメッセージをぜひお願いします。

萩野氏 今後、日本の投資家の方が考えなければいけないのは、全体の資産の8割程度を運用しないと資産が保全できないのではないかということです。物価上昇率が今までの25年とは変わってきて、おそらく2、3%、かなり高い水準です。そうすると現金を持っていることはどんどん劣化に繋がります。また、もう一つ重要なのが、10年単位で投資することです。1、2年のトレーディングでなく10年単位です。その際に重要なことは、安くて、成長力が10年後も期待できるところを選んでほしいと思います。労働人口の伸び率というのは10年後も期待できます。だからこそ長期投資に非常に適した商品だと、われわれは思っています。

サーチナ

「投資」をもっと詳しく

「投資」のニュース

「投資」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ