勉強しない子の机には大抵コレがある…東大合格率上位校で指導の片づけ達人「頭のいい子の引き出しは違う」
2025年3月31日(月)8時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Olga Demina
写真=iStock.com/Olga Demina
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Olga Demina
■子供部屋を片づけたら成績が伸びた!
いざ勉強しようと思っても、どこに何があるのかわからない。必要なものが見つからないから、やる気にならない……。子供が勉強しない理由の一つに、部屋が散らかっているということがあるようです。大抵は、勉強机にしても必要ないものがたくさん積みあがり、ぐちゃぐちゃになっているんですよね。
例えば、過去に相談を受けた小学生2人のお母さん。中学受験に向けて塾通いしていたけど、全く成績が伸びず、塾を辞める辞めないで親子喧嘩が絶えなかったらしいのですが、勉強机の周りを片付けたところ、偏差値が30台から60台にあがってびっくり。塾の先生から電話がかかってきたそうです。その後、無事に志望校に合格されました。
そのほかにも、子供部屋を片づけたあと「自分から勉強するようになった!」「成績が伸びた!」「行きたい学校に合格した!」、そんな話をたくさん聞きます。
なぜ部屋を片づけたら、勉強するようになるのでしょうか? それは子供が“自己管理”できるようになるからです。
自己管理とは、自分の感情や行動をコントロールして、目標を達成すること。
時間管理や健康管理もそうですが、片づけも自己管理の基本中の基本です。自己管理能力が高まれば、子供の成績アップにつながります。
私は、現在東大現役合格率の高さで話題の神奈川の超進学男子校・聖光学院の生徒さんへ向けて「時間術」「整理術」に関するセミナーを開催していますが、これは保護者と学校の先生から「ぜひ生徒向けに、片付けのセミナーを」と言っていただいたのが始まり。生徒からの申し込みが100名を超えるなど、いかに「自己管理」が重要か、興味・関心の高さが伺えます。
■片づけの前の……2ステップ
では具体的に、子供部屋は、どのように片づけていけばよいのでしょうか。片づける前に、以下の2つのステップをふまえることが大切です。このステップを踏むことで片付けを「自分ゴト化」させます。
ステップ1:「メリット」「デメリット」を書き出す
まずは子供自身に、片付いた理想の部屋をイメージしてもらいます。そのうえで、「片付いた部屋のメリット」「散らかった部屋のデメリット」それぞれを考えてもらい、紙に書き出してもらうのです。
まずは、片付いてすっきりした部屋、そこで過ごす自分を浮かべたあとに、どんなメリットがありそうか聞いてみましょう。「必要なものがすぐに取り出せる」「集中して勉強ができる」「次の日の準備が早くなる」、そうなると「忘れ物がなくなるから、学校でも快適な学習環境が整う」などが出てくるでしょう。
一方、散らかった部屋(今)のデメリットも聞きましょう。「必要なものが見つからない」「お母さんに怒られる」「自分も気分が悪くなる」「やる気が削がれる」「学校の準備がうまく整わない」、そうなると「忘れ物が増えて、先生や友だちに迷惑をかける」、「学校に行くのがいやになる」などが出てくるかもしれません。
そんなふうに、片付いた部屋と散らかった部屋で過ごす自分を比較することで、4月から「どちらがいいか」を考えさせ、子供自身が「片づけたい!」と思うようにマインドをセットします。
ステップ2:必要なものだけ残す
次に、必要なものと不要なものを分けていきます。
例を挙げると、これまで使用した教科書やテスト用紙は、次の学年で必要そうであれば残すけれど、それ以外のものは処分します。すべてとってある家庭もありますが、そうすると何がいちばん必要かわからなくなるので、取捨選択が必要です。
また勉強関連のものだけでなく、習い事の道具やゲーム、おもちゃも「要」「不要」に分けて、不要なものは処分しましょう。
■「要」「不要」の見極めが難しいものは?
今すぐ捨てていいか見極めが難しいものは、箱を一つ決めて、そこに入るものだけとっておく! とするのがおすすめ。日付シールを貼って「半年だけ」など、期限を決めるとよいでしょう。
要不要の仕分けが終わったら、いよいよ部屋の片づけです。
子供部屋を片づける際のポイントは、次の5つとなります。
■勉強効率があがる! 片付けのコツ5つ
ポイント①利き手を考慮する
右利きの子は右側、左利きの子は左側に、よく使うものを置いたほうが取り出しやすく、しまいやすいですよね。
よく使う教科書や参考書、ペン立てなどは、その子の利き手に合わせた場所に収納を。デスクライトも同様に、右利きの子は左側、左利きの子は右側から照らすようにしましょう。
ポイント②ゴールデンゾーンを意識する
人の体の、あごから膝までがゴールデンゾーンと呼ばれており、この高さにあるものは取ったり戻したりしやすいといわれています。
よく子供がランドセルをほったらかしにしている……と嘆く親御さんがいらっしゃいますが、よくよく聞くと、ランドセルをしまう場所がいすの下や棚の上など、ゴールデンゾーンから外れていることがほとんど。
それでは、子供はしまいにくく、定位置に戻す癖がつきづらくなります。子供がしゃがんだり、背伸びしなくても置けるゴールデンゾーンを意識した高さに、ランドセル置き場を決められるとよいでしょう。
ポイント③紙類は立ててしまう
片づかない部屋の典型例は、紙が積み重なって高〜くなっていること。平らにおいていい紙は、プリンターの用紙だけです。基本は立ててしまうを徹底しましょう。立てずにしまうと、一番上の紙以外は何なのかがわからなくなってしまうからです。
子供のプリントやテストが積み重なっていると、見返しもできません。紙類は、クリアファイルに分類し、立ててしまうのが鉄則です。
ポイント④誘惑は「視界の外」に
勉強に集中できる机周りにするには、子供が机に向かったときに、視界に気の散るものが入らないようにすること。
図書館に行くと、なぜ勉強がはかどるのでしょうか。それは周りに気の散るものがないからです。机に向かったときに、ゲームやおもちゃが見えると、やはり気になります。
勉強に関係ないものは、背後にしまっておきましょう。
ポイント⑤学習机の引き出しは空っぽに
学習机には、たいてい浅くて広い引き出しがついています。この引き出しの用途をご存じですか? この引き出しは、作業中のものをいったんしまうためのものなのです。
私が子供たちに徹底していたのは、寝る前に机の上をきれいにし、翌日の準備までしなさいということ。
朝起きてから、準備するとバタバタして忘れ物をするし、学校から帰って机の上がグチャグチャだと、勉強する気になりません。でも、ときにはやりかけのこともあります。
そんなときには、この引き出しにいったん入れておく。片づけて、区切りをつけるという意識が大事なのです。だから、この引き出しは、いつも空にしておきましょう。
■親が絶対にしてはいけないこと
子供部屋の片づけは、あくまでも子供主体で行うようにしてください。子供自身が片づければ、どこに何を片づけたか把握できて、それが管理能力向上につながります。
写真=iStock.com/窓のそばの学習デスク
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/窓のそばの学習デスク
とはいえ、最初は親のサポートが必要。その際に絶対にやってはいけないのは「いる」「いらない」の判断を親がすることです。間違えても勝手に捨てちゃダメですよ。
一方でよくあるのが、子供が捨てているものに対して、「それ高かったのに」「まだ使える」なんて、いらないアドバイスをすること。失敗も経験です。子供自身が「あのとき捨てちゃって失敗した」と思えば、次は考えると思うんです。
ですから親は言いたいことがあっても、ぐっと我慢して、本人がそれでいいならいいんじゃない、とそこで一回終わらせましょう。
また、片づけを怒るツールにするのもNGです。
一度片づけても、すぐに散らかることはよくあること。そこで親は、つい子どもに「結局、あなたは三日坊主よね」なんて言ってしまいがち。そうではなく「2日続いたからOK」と、前向きな言葉をかけるようにしましょう。片づけを怒るツールにすると、片づけが嫌いになるだけ。できたことにフォーカスして、褒めてあげてください。
そして子供の片づけを習慣化するには、何よりもまず親が片づけることです。
親が片づけていれば、子供も興味を示し、それが家全体に派生します。とはいえ、子供は自分からいきなりはやらないので、まずは一緒にやろうという声がけからスタート。
片づけを始めたら、子供のやりたいようにやらせる。ぜひ春のうちに親子でトライしてみてください。
----------
西崎 彩智(にしざき・さち)
お片づけ習慣化コンサルタント Homeport代表
1967年生まれ、岡山県出身。大学卒業後、住宅メーカーのインテリアコーディネータとして従事。結婚し、20年専業主婦を経験したが離婚。その後はヨガスタジオの店長としてスタジオに通う多くの女性のさまざまな相談に応じる。2015年、得意の片づけを生かして起業。お片づけ習慣化講座「家庭力アッププロジェクト」修了生は全国で3000名を上回る。
----------
(お片づけ習慣化コンサルタント Homeport代表 西崎 彩智)