「顔の印象」は訓練次第で変えられる…元国際線CAが教える「柔和で相手に好印象を与える表情」の作り方

2025年4月4日(金)9時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/chachamal

初対面での印象をよくするにはどうすればいいのか。元JAL国際線チーフパーサーの山本洋子さんは「顔の印象を決定づける表情は、訓練で作り上げることができる」という——。

※本稿は、山本洋子『なぜあの人は初対面で信頼されるのか 元JAL国際線チーフパーサーだけが知っている人の心をつかむ極意』(日本能率協会マネジメントセンター)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/chachamal
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■日本人は、相手の目の表情で感情を読み取る


初対面のとき、まず目に入ってくるのが相手の「顔」です。顔を見て、表情を見て、髪型を見て、服装や姿勢などの全体の雰囲気を見て印象が決まります。


つまり、「顔」は印象を決定づける重要なパーツですから、初対面の相手に好印象を与える「顔」を作らないといけないのです。


人は美しいものや整っているものに目がいきます。大勢人がいても、イケメンや美人に目が留まるのもある意味自然なことです。


しかし、それだけで信頼されるということはありません。


さらに、ここで言う「顔の印象をよくする」ということは、顔の造形を変えるということではありません。


顔の中でも、一番相手に印象として残るのは、「目」です。


日本人は、相手の目の表情で感情を読み取ります。


「目が笑っていない」とか「目が怖い」「目は口ほどにものを言う」など、「目」の表情を表した言い回しや格言は多くあります。


目で相手の感情を読み取るため、サングラスなどで目を隠している相手には、不安や恐れを感じることがあります。


■目が笑っている状態は「口元」から作る


余談になりますが、欧米人は「口元」で相手の感情を読み取ると言われています。


コミュニケーションを取る際に、相手がサングラスで目を隠した状態でも、口元が見えていれば問題はないのです。


逆に口元を隠すことに抵抗を感じるそうですので、コロナ禍が収束するにつれて諸外国がいち早くマスクを解禁にした理由も納得できますね。


では、顔の印象、とりわけ目の印象をよくするにはどうすればよいのでしょうか。


相手に好印象を与えるのは、やはり「目が笑っている」ことです。


目が笑っている状態を作るのは、実は口元にポイントがあります。


鏡の前で、口元を隠して、目だけを出した状態にしてみてください。


その状態で目が笑っているように見せるには、口元も緩んだ状態、つまり口角が上がり、口元が笑った状態になっているはず。目だけで笑うのは難しいものです。


目が優しく笑みを浮かべた状態でいると、相手は安心し、親近感を抱きます。


特に初対面では、「この人と話がしたい」と思うはずです。


逆に、射るように相手を凝視し、威圧的な目つきをすると、相手は委縮し、初対面から良好な人間関係を築くことが難しくなります。


このように、目の印象が変われば、顔の印象は劇的に変わります。


■訓練しなければ「好印象を与える表情」は作れない


とはいえ、実際に相手に好印象を抱かせる表情を作ることは難しいものです。


なぜなら、今の表情を自分では見ることができないからです。


常に鏡を見ながら人と話すわけにはいきませんから、今の自分の表情が、相手にどう映っているかを意識する必要があります。


私が教官をつとめた客室乗務員の訓練でも、実際の動きをビデオ撮影し、自分の姿かたちがお客様にどう映っているかを客観的に観る訓練がなされていましたが、ビデオに映る自分の表情があまりにも怖いと落ち込む訓練生もいるほどです。


顔の印象を決定づける表情は、訓練で作り上げることができます。逆に言うと、訓練しなければ柔和で相手に好印象を与える表情を作ることは難しいのです。


ポイントは、口角を上げ、口元を緩めること。そうすると目尻が下がり、目の表情が優しくなることで、自然な笑みの表情になります。


初対面で、誰もが最初に見る「顔」、とりわけ「目」の表情が豊かであれば、あなたの印象も大きく変わります。一度、鏡で目の表情を練習してみてはいかがでしょうか?


写真=iStock.com/Satoshi-K
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Satoshi-K

■日本語は口角を下げやすい言語


初対面で信頼を得るためには、実際にどういうポイントを意識すればよいのでしょうか? ここでは、七つのポイントをお伝えします。


まず一つは、「目」です。これはすでにお伝えしましたが、初対面では、柔和で穏やかな優しい視線を送るよう意識してください。


二つ目は、「眉」です。


意外に思われるかもしれませんが、眉には感情が表れます。目は意思を、眉は感情を表すと言われるように、特にネガティブな感情が出やすいのです。


昔の修行僧が眉を剃り落したのは煩悩を消すためと言われていますし、プロとしての姿勢を表すために、客室乗務員も眉はしっかりと強めに描くよう指導されています。


三つ目は、「口角」です。


特に日本語の発音は口輪筋を使う「e」の発音が少ないため口輪筋が衰えてきます。


そのため、意識をしないと段々と口角が下がってくるのです。


口角が上がっていると、それだけで顔の印象は若々しく溌溂と見えます。


昔ながらの訓練法ですが、奥歯で割りばしをくわえる、口を閉じた状態で舌を歯茎にそって回すなど、口輪筋を鍛えることが効果的です。


■自分では気づきにくい「顎」の位置


四つ目は、「顎」です。


これは自分では気づかないことが多いのですが、普段の姿勢で顎が上がっていると、不遜な態度ととられてしまうことがあります。


顎が上がると、相手を見るときの目線が上から見下ろす感じになりますし、後ろ姿も不遜な感じになりますので、注意が必要です。


逆に顎の位置が下がると、相手を見るときの目線が上目遣いになり、自信がなさそうに見えたり、相手を疑っているような感じに見えたりします。


姿勢を正し、顔をまっすぐに相手に向けたときの顎の位置が正しい位置です。


五つ目は、「髪型」です。


上半身の中でも髪は目立つパーツです。面積が大きいため、目につきやすいのです。


顔のパーツは変えられませんが、髪型は自分で変えることができます。


お辞儀の習慣がある日本人にとって、お辞儀の度にバサッと髪が顔にかかるような髪型は清潔感に欠いてしまいます。髪をかき上げたり、常に触っていないと崩れてくるようなヘアスタイルはビジネスシーンではおすすめできません。


また、前髪が目にかかり、表情が見えづらいような髪型も、よい第一印象を与えることができません。


少々の寝ぐせはご愛嬌ですが、朝起きて慌てて出てきたように感じさせる寝ぐせは、プロとしての姿勢が問われます。時間をかけて整えましょう。


■丁寧で落ち着いた所作は信頼感を生み出す


六つ目は、「姿勢」です。



山本洋子『なぜあの人は初対面で信頼されるのか 元JAL国際線チーフパーサーだけが知っている人の心をつかむ極意』(日本能率協会マネジメントセンター)

背中を丸め、ひざを曲げ、とぼとぼと歩いている姿には、魅力は感じません。


堂々と胸を張り、背筋がまっすぐ伸びた姿勢のよい人は、健康的で自信が感じられます。姿勢がよい人は存在感があり、人目を引きます。


猫背を自覚している人は、意識して姿勢を正す努力が必要です。


最後の七つ目は、「所作」です。


動作は機敏なのですが、どこかバタバタ落ち着かない印象を与える人がいます。


例えば、オフィスでバタバタと忙しなく歩く人、会話中に大げさなジェスチャーで雑な印象を与える人など、所作が雑で落ち着きがないと、印象も悪くなりがちです。


丁寧で落ち着いた所作には信頼感があります。歩くとき、ものを渡すときなどの立ち居振る舞いを見直してみるといいかもしれません。


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山本 洋子(やまもと・ようこ)
CCI代表取締役
人財育成コンサルタント、キャリアコンサルタント。元JAL国際線チーフパーサー、客室マネージャー。奈良県生駒市出身。1985年JAL入社。25年間の在籍で総飛行時間は2万を超え、JAL国際線チーフパーサーとしてファーストクラスを担当。海部元首相や天皇陛下特別便乗務に選抜される経歴を持つ。各界の著名人をはじめとした国内外のVIPに接してきた。その間、客室訓練部にて教官として約1000人の新人CAを育成し、CA採用面接官も務める。管理職客室マネージャー昇格後は、CAの指導育成と人事考課等のマネジメントを行う。退職後は外資系保険会社にて7年間コンサルティング営業に従事。CAと保険セールスレディでは、世間の扱われ方が全く違い、経験のない営業職に戸惑いながらも、初月トップの成績をたたき出す。航空会社で培ったおもてなし力と、リーダーシップ力、保険会社で学んだお客様から信頼されるコミュニケーション力を武器に2018年「株式会社CCI」を設立。現在はビジネスマナー研修をはじめとした企業研修や講演で全国を飛び回る。
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(CCI代表取締役 山本 洋子)

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