スペクトラム社のデジタイザカードを、イルカの発するソナークリック音のマウスクリックへの変換に応用

2025年4月10日(木)13時40分 PR TIMES

イルカが水中スクリーン上のマウスカーソルを動かすことで意思を伝達

デジタイザなどの計測機器メーカであるスペクトラム・インスツルメンテーション社(本社ドイツ・グロースハンスドルフ/以下、スペクトラム社)は、イルカのソナー行動で発するクリック音を拾うプロジェクトにスペクトラム社のデジタイザカードが使用されていることを発表しました。イルカは驚くほど正確な反響定位能力を持ち、獲物を探す際に海中の狭い領域に意識を集中させることができます。フロリダ州キーズにあるDolphin Research Center(DRC)では、15個の水中マイクアレイを使用してイルカがソナーとして発するクリック音を拾うプロジェクトを進めています。信号は、スペクトラム社の16チャンネルデジタイザシステムで捉え、カスタムAIプログラムによって処理されます。さまざまな信号から、イルカがソナーを通じて焦点を当てている位置を特定することができます。2025年末には、このシステムを使って、イルカが水中スクリーン上のカーソルを操作できるようにする第二段階に進む予定です。第二段階では、イルカがカーソルを動かし、その結果を視覚的に確認できるようになります。

[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/95734/31/95734-31-80e4d3dbf0a43526b7b264f3ce25561f-1500x977.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]水中マイク、デジタイザ、カスタム開発されたAIを組み合わせることで、イルカがソナーとして発するクリック音の焦点位置を特定
Dolphin Research CenterのITディレクターであるJesse Fox氏は、次のように述べています。「このプロジェクトに情熱を注いでいるのは、コミュニケーションの可能性を大きく広げられるからです。現在、イルカが刺激、つまり『質問』に対してどのように反応するかを客観的に測定する方法は限られています。この新しいシステムの背景にある構想は、ボタンを押す行為であり、数年前から存在していましたが、今回のシステムはより高度なレベルです。イルカが、リアルタイムでカーソルを操作することが実現すれば、動物の認知やイルカへの理解という、まったく新しい領域が切り拓かれることでしょう。2025年末までに、この段階に到達することを目標としています。その際に私が最初にやりたいのは、イルカが遊べるお絵かきプログラムを作ることです」

このプロジェクトでは最近、使用していたデジタイザカードを変更しました。これまで使用していたカードは多くのデータを収集してしまうことによるバッファリングの問題が発生し、リアルタイムでのデータ処理が妨げられていました。Jesse Fox氏は次のようにも述べています。「スペクトラム社のカードは、反響定位の情報を正確に特定するために必要かつ適切な量のデータを捉えられます。特に重要なのは、AIが解析するために十分な環境音も収集できる点です。カードの制御にはスペクトラム社のSBench 6ソフトウェアを使用していますが、セットアップも操作も非常に簡単です」

[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/95734/31/95734-31-e3bafa4d5d1cff31bdb6b18c111f55da-1500x1266.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]2枚のM2p.5913デジタイザカードは、わずか2つのPCIeスロットから16チャンネルのデータ取得を実現します。スペクトラム社のM2p.59xxシリーズの全24種類のモデルは、サンプリングレート5〜125 MS/s、カードあたり1〜8チャンネル、分解能16 bitに対応しています。
プロジェクトで使用している2枚のスペクトラム社製M2p.5913デジタイザカード(それぞれサンプリングレート5 MS/s、8チャンネル、分解能16 bit)は、スペクトラム社のStar-Hubモジュールを介して完全に同期・接続されています。これにより、15個の水中マイクアレイからの信号を処理し、イルカが反響定位で焦点を当てた位置を正確に特定することが可能になります。ADCカードに搭載された大容量メモリは、バッファリングを生じさせることなく、データの収集および処理を実行できます。1週間あたり8 TB以上のデータが生成される見込みで、それらのデータはGoogle Driveにアップロードされ、AIによる分析や学習に活用されます。

問題は、人間はイルカにカーソルの動かし方を教えることができない点です。しかしながら、幸いなことに、イルカは驚くほど好奇心が強いため、特定の場所で反響定位を行うよう促すことが可能です。イルカにソナー行動を促し、自ら試させ、その結果がどうなるかを学ばせることを計画しています。特に若いオスのイルカはこうした学習を得意としており、スクリーン上のカーソルの動かし方を自ら習得できる見込みです。また、イルカは互いに学び合う習性をもつため、この新しく習得したスキルはやがて他のイルカたちに伝わっていくことになるでしょう。

最初にお絵かきプログラムを開発した後、イルカを楽しませ、生活環境を豊かにするための、さまざまなゲームを作ることを計画しています。Jesse Fox氏は次のように述べています。「イルカは私たちとよく似ているようで、実際には異なります。このプロジェクトによって、イルカがどう考えているのかをより深く理解できるようになるでしょう」また、イルカにもさまざまな興味や意欲がありますが、人間と同じように個体差があることも付け加えました。その一例として、「2頭のイルカがほぼ同時に鼻でボタンを押すと、魚がもらえる」という実験があります。2頭がこの実験を理解した後、1頭のイルカは自主的に実験への参加をやめてしまいました。そのイルカのモチベーションは、魚ではなく人間からの称賛だったのです。「やはりスターには拍手が必要なのです」とJesse Fox氏は述べています。


Dolphin Research Centerについて
Dolphin Research Centerは、1984年にフロリダ州のグラッシーキーに設立されました。センターで最初に飼育されたイルカは、1963年公開の映画、『フリッパー』で主演を務めました。その子孫のイルカたちは今もセンターの繁殖プログラムを通じてここで飼育されています。さらに、保護されて野生に戻ることができなかったイルカたちも生活しています。イルカにとって安全な場所となるよう、外敵の侵入を防ぐ特別な脱着式フェンスを設置したセンターのそばにあるラグーンでイルカは暮らしています。詳細についてはhttps://dolphins.org をご覧ください。

スペクトラム・インスツルメンテーション社(Spectrum Instrumentation)について
1989年に創業したスペクトラム社(CEO 兼 創業者Gisela Hassler)は、モジュラー設計を利用することでデジタイザ製品および波形発生器製品をPCカード(PCIeおよびPXIe)やスタンドアローンのEthernetユニット(LXI)として幅広く生み出しています。スペクトラム社は35年間に、トップブランドの業界リーダーやほとんどすべての一流大学を含む、世界中のお客様に製品をご利用いただいています。当社はドイツのハンブルク近郊に本社を構えており、5年保証と設計エンジニアやローカルパートナーによる優れたサポートを提供しております。スペクトラム社の詳細については、https://www.spectrum-instrumentation.com をご確認ください。

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