母乳の神秘にせまり、赤ちゃんのすこやかな成長をサポートする 70年以上続く雪印ビーンスタークの母乳研究とは?

2024年4月2日(火)11時0分 PR TIMES STORY

 雪印メグミルクグループの雪印ビーンスターク株式会社は、育児用粉乳「すこやかM1」をはじめ、赤ちゃんのすこやかな成長を願い、さまざまな商品を開発してきました。

 その背景として、雪印乳業時代の1951年から、70年以上にわたり続いてきた「母乳研究」の歴史があります。お母さんの母乳に含まれるさまざまな成分を分析し、そのはたらきと赤ちゃんの発育に及ぼす影響について明らかにするとともに、その成果を赤ちゃんのすこやかな発育をサポートする商品開発に活かしています。

 すべては赤ちゃんとご家族の笑顔ために。雪印ビーンスタークの原点とも言える母乳研究について、現在に至る歴史とともにお伝えします。

〇代用乳の歴史と母乳研究

〜日本人の母乳に近い育児用粉乳をめざして〜

・母乳研究のはじまり

江戸時代まで日本には牛乳を飲む習慣がなかったので、母乳の代わりに牛乳を使うこともありませんでした。母乳が足りない時は乳母を雇うか、もらい乳で赤ちゃんを育てていました。もらい乳もできない時はお米をすりつぶした粉をお湯に溶かしてあげていましたが、栄養的に母乳の代わりとなるものではありませんでした。

明治時代後半に、欧米から牛乳を希釈して糖質を添加する「人工栄養法」が紹介されてから、牛乳や他の動物の乳を赤ちゃんにあげる考え方が広まったとされています。しかし一般家庭に冷蔵庫がなかった時代ですので、牛乳より保存性の高い加糖練乳を希釈して使用するのが一般的だったようです。1917年に日本初の育児用粉乳が発売されましたが、加糖練乳も広く使われ続けたようです。



戦中から戦後にかけて育児用粉乳を含む乳製品は政府統制品となり、自由に製造販売することができませんでしたが、1950年にこの統制が解除され、1951年には厚生省が「乳及び乳製品の成分規格に関する省令(乳等省令)」を公布し、調製粉乳(育児用粉乳)の規格が設定されました。このとき、雪印乳業は初の育児用粉乳「ビタミルク」を発売しました。

 初代「ビタミルク」は、全脂粉乳70%に糖質30%を加えたものでした。数種類のビタミンとミネラルも添加していましたが、母乳の成分組成とは大きく異なるものでした。



1959年に乳等省令が改正され、調製粉乳とは別に「特殊調製粉乳」の規格が設定され、「母乳化」のための牛乳成分の変換ができるようになりました。この年に発売した雪印ネオビタミルクは、ホエイたんぱく質を増強してたんぱく質組成を母乳に近づけた、日本で最初の育児用粉乳でした。

当時は日本人の母乳データがほとんどなかったので、欧米のデータを参考としましたが、その頃すでに、人種や食習慣によって母乳の成分は異なると言われていました。日本の食生活は欧米と違いますから、欧米人の母乳が必ずしも日本人の赤ちゃんに合うとは限りません。日本人の赤ちゃんに適した育児用粉乳を作るには、まず、日本人の母乳を深く知ることが必要だと考えました。

そして本格的に母乳研究がスタートしました。


雪印ビーンスターク㈱商品開発部 シーズ研究グループ 日暮聡志


・第1回 全国母乳調査(1960年〜)

第1回は小規模ではありましたが、日本ではじめての本格的な母乳調査でした。

札幌・東京・大阪・の3都市の619名の方にご協力いただき、26項目の成分(たんぱく質、脂質、糖質、ミネラル・ビタミン等)を分析しました。その結果、母乳成分の泌乳期(分娩後日数)による変化や、必須脂肪酸であるリノール酸やαリノレン酸が、欧米人よりも多いことなどを明らかにしました。これが、育児用粉乳を日本人の母乳に近づける第一歩となりました。


・第2回 全国母乳調査(1989年〜)

第2回は、高度経済成長期を経て日本人の食生活も生活習慣も大きく変わったことから、母乳成分も変化しているのではないか?という疑問からスタートしました。調査地域も北海道から沖縄までの全国に拡大し、延べ2434名にご協力いただき、2727検体の母乳を収集し、約180項目にわたり成分を分析しました。

第2回の結果を第1回と比較すると、食生活の変化が母乳成分に影響していることが明らかになりました。たとえば、母乳中のたんぱく質の濃度が約14%増えていました。国民栄養調査の結果によると、1960年からの30年間に日本人のたんぱく質摂取量は15%増えていますので、たんぱく質摂取量が母乳のたんぱく質に影響したと考えられます。

また、シアル酸やヌクレオチドなど、母乳に特徴的な成分の機能について研究し、赤ちゃんの発育における重要性を明らかにしました。

・第3回 全国母乳調査(2015年〜)

第2回から約30年後、第3回の調査を開始しました。

これは現在も進行中で、述べ1210名にご協力いただき、5000検体以上を収集し、分析を行っています。第1回、第2回では、母乳に含まれる成分の含量を知ることが主要な目的でしたが、今回の調査では母乳成分と社会生活要因やお母さんの生活習慣、赤ちゃんの発育・発達などとの関連性も調べています。




現在も赤ちゃんの発育や発達に関する追跡情報などを集めている最中ではあるのですが、母乳の分析を段階的に実施しており、いくつか興味深い研究成果が得られています。

たとえば、超低温環境で保管していた第2回の母乳と第3回で収集した母乳のビタミンD濃度を対象とした研究では、30年前と比較して現代の母乳中のビタミンD濃度が下がっており、その傾向は夏場で特に顕著であることが分かりました。体内のビタミンDは、魚介類やきのこなどの食事から摂取されるものと、紫外線を浴びることで皮膚で作られるものにより補給されます。今回の結果は、魚介類の摂取量の低下や紫外線を避けるようになった生活スタイルの定着などの時代変化を反映したものであると考えています。

オステオポンチン(以下、OPN)という成分については、日本・中国・韓国・デンマークの4か国間の国際共同研究に参画しました。OPNは体内の色々な組織に存在していますが、母乳で特に高い濃度で存在し、赤ちゃんの免疫に働きかける機能を持つと考えられています。

共同研究の結果、母乳中のOPN濃度は国によって違いがあることが明らかになりました。800検体を超えた多国間での母乳とOPNに関する共同研究は、世界初の取り組みでした。


雪印ビーンスターク(株)商品開発部 菅原牧裕


他にも、母乳中のDHAの濃度がお母さんの食生活に関連していることを明らかにしました。DHAは魚に多く含まれますので、魚を多く食べる日本人は他の国と比較して母乳中の濃度が高いことは古くから知られていました。一方、ビタミンDにも関連するのですが、日本人の魚介類の摂取量は減り続けているので、母乳中DHAの濃度にも影響していることが懸念されます。第3回の母乳の脂肪酸組成を分析したところ、DHA濃度は過去に報告されている値と比べて低い値になってはいたのですが、それでも他の国と比較すると高い水準にあることがわかりました。食生活との関連で特徴的だったのは、DHAを含有するサプリメントの摂取習慣があるお母さんで母乳中のDHA濃度が高かったことです。魚を日々の献立に取り入れるのが難しかったり、魚がそもそも苦手だったりする方にとっては、サプリメントの継続的な摂取がDHAの補給に有効であることを支持する知見となりました。

このように、時代の変化とともに変化する母乳の組成を把握し、赤ちゃんに必要な栄養素を見極め、半世紀以上にわたり育児用粉乳を作り続けています。

〇母乳研究への想いと苦悩

〜次世代へつなぐ研究者のバトン〜


母乳研究の方法として、全国のお母さんたちにお声がけし、授乳が終わったあとの母乳を搾乳・ご提供いただいています。

2か月に一度送ってもらう必要がありますので、ご協力いただく皆様には感謝の念に耐えません。ご提供いただいた母乳は、研究所で大切に保管しています。



母乳の保管にも、細心の注意を払っています。

マイナス80度の冷凍庫で管理し、中には30年前のサンプルもあります。



過去には、停電になってしまい、母乳を守るために休日に駆けつけたこともあります。



実は、第2回はクール便が利用可能になった時期で、冷凍した母乳をそのまま送っていただけたのは助かりました。

母乳は適切な処理をしなければ成分が変わってしまいますから、できるだけ成分に影響しない素材の容器を使うなど、細心の注意を払っています。

成分を分析するキットも、施設や物によって誤差がでてしまうので、各国の研究所と同じものを使うようにしています。



 全国規模の母乳調査は約30年スパンで行っていますので、引き継ぎにも最善の注意を払います。研究者である私たちが、お母さんたちからいただいたバトンを次世代へとしっかり繋げるよう、心して研究に取り組んでいます。

〇雪印ビーンスタークが目指す未来

〜赤ちゃんのすこやかな成長を願って〜


 かつては母乳と育児用粉乳の位置付けが曖昧でしたが、多様な生活スタイルのご家庭が増える中で、社会的にもより一層、母乳に近い育児用粉乳が求められるようになっています。

 継続中とお伝えした第3回の調査ですが、現在は母乳の成分分析だけに留まらず、母乳成分とお母さんの生活スタイルと赤ちゃんの発育・発達との関連性などを、継続して調べています。育児ストレスが多いほど、母乳での育児に負担がかかっているということも分かってきました。



 私たちが育児用粉乳を作るうえでは、目標はつねに『母乳』です。社会的要因や環境の変化によって、お母さんや赤ちゃんの状況も変化し続けています。そうした中で、その時代に合った育児用粉乳を追い求める限り、研究の手を止めることはありません。

 生まれたばかりの赤ちゃんは、母乳か育児用粉乳からしか栄養を採ることができません。

私たちが作った育児用粉乳に赤ちゃんの未来が託されている。赤ちゃんひとりひとりの命を預かっている。そのような気持ちで、責任をもって研究を続けています。

 また、雪印ビーンスタークでは、すこやかな1000日※1という取り組みも行っています。赤ちゃんをお腹に授かってから2歳になるまで、ご家族に寄り添う情報発信や、社内の栄養士による子育て相談、サポートなどを進めています。

時代が変わっても、一人ひとりの赤ちゃんを大切に、すこやかにすくすくと成長できるように。そう願いながら、今後も研究・開発に取り組んでいきたいと思います。

 雪印ビーンスタークは、長年培った母乳研究をベースに、これからも赤ちゃんとご家族を笑顔にする商品をお届けしてまいります。





※1 すこやかな1000日

雪印ビーンスタークは、ママのお腹に赤ちゃんを授かってから2歳のお誕生日を迎えるまでを、人生最初の”すこやかな1000日”として、とても大切な期間と考えています。この1000日間を、赤ちゃんとご家族に寄り添った商品の開発、安心安全の商品作り、栄養士による栄養相談や子育て相談等でサポートします。


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