上海モーターショー開幕、トヨタ新型EVを公開「スマホと同じ使い勝手」…中国メーカーはAI搭載
2025年4月23日(水)20時28分 読売新聞
上海モーターショーで新型車「bz7」などを発表したトヨタ(23日)=大原一郎撮影
【上海=照沼亮介、田村美穂】世界最大級の自動車展示会「上海モーターショー」が23日、中国・上海市で開幕した。群雄割拠の中国メーカーは自動運転技術やAI(人工知能)を搭載した次世代車を次々に披露し、電気自動車(EV)化で大きく出遅れた日系各社も新型モデルで巻き返しを図る。
生産・販売台数がともに年3000万台を超えて世界一となる中国市場は、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)など新エネルギー車の販売が全体の4割を占める。通信など異業種の参入も相次ぐ。
中国自動車大手・吉利汽車は、特定の条件下でシステムが運転する「レベル3」の新型EVを発表した。中国EV最大手BYDも、運転支援機能を搭載した新型5車種を公表。全長5メートルを超える高級スポーツ用多目的車(SUV)も含めて30以上の車種を展示し、中国市場におけるEVの広がりを改めて印象づけた。
車に快適さや便利さを求める現地の消費者に対して、新たなアイデアも提案された。NIO(上海蔚来汽車)は映画のストーリーに合わせて車体を揺らす新EVを発表。車内でカラオケができるモデルを発表したメーカーも複数あった。
ただ、中国では自動運転車への懸念も広がる。
中国スマートフォン大手・小米科技(シャオミ)のEV「SU7」が3月末、中国の高速道路で事故を起こし、乗っていた3人の女性が死亡した。昨年3月に発売された新モデルだったが、同社は今回のショーでの新型の公表を見送った。
守勢が続く日本勢では、トヨタ自動車が新型EV「bZ7」などを公開。現地法人の幹部は発表会で「スマホと同じ使い勝手をクルマの中でも実現する」とアピールした。
中国の新興企業・ディープシークのAIを搭載するモデルも、ホンダや独自動車大手BMWが検討を進めている。ロイター通信によると、BMWのオリバー・ツィプセ最高経営責任者(CEO)は、年内にも販売する中国市場向けモデルに搭載すると述べた。
中国市場は「価格競争が激化」(東風日産幹部)する中でも、トランプ米大統領の関税で影響を受ける日系メーカーには重要市場だ。マツダの毛籠勝弘社長は23日、報道陣に「数年前は日系に一定のブランドイメージがあったが、新エネ車は中国が素晴らしいと中国の消費者は考えている。中国独自の取り組みを進めないといけない」と述べた。
今回のショーは世界26か国・地域から部品メーカーを含めて約1000社が参加。5月2日まで。