無人化で姿を消した懐かしの「駅スタンプ」がデジタルで復刻…JR四国が企画、アプリでスタンプラリー
2025年4月24日(木)7時45分 読売新聞
JR徳島駅の券売機横に設置されたタグ。スマホをかざすとデジタルスタンプがもらえる(徳島市で)
JR四国の駅などに設置され、駅の無人化のために一部で姿を消した「駅スタンプ」が、デジタルで復刻された。徳島県内では、これまでに板野駅など7駅で実施。同社は専用のアプリを使ったスタンプラリーを企画しており、鉄道利用を促すきっかけとして活用している。(徳永翔太)
同社などによると、駅スタンプは丸や四角の枠内に、駅が所在する地域の特産品や名所、路線名、駅名を記載。昭和の頃に描かれた懐かしい絵柄が特徴だ。
1970年、旧国鉄が個人旅行を促そうと始めたキャンペーン「ディスカバー・ジャパン」の一環として全国の駅に設置。現在は私鉄や駅近くの道の駅、地元の観光案内所も含めて4000〜5000か所に置かれているという。
駅スタンプを収集する愛好家は「押し鉄」と呼ばれ、全国を巡る人も。自身も押し鉄で、駅スタンプに関する著書もある高松市在住の鉄道カメラマン坪内政美さん(50)は、「地域の魅力が詰まったスタンプは駅の顔。実際に手で押すと駅に到達したという満足感がある」と集める楽しさを語る。
県内では当初、約30駅にスタンプが置いてあったが、老朽化や駅の無人化に伴って管理する人員がいなくなったことから徐々に廃止され、昨年3月にはダイヤ改正に合わせ、石井駅や佐古駅など5駅で撤去。同社によると、今年3月現在、スタンプが置いてあるのは県内では徳島駅や阿南駅など11駅にとどまるという。
一方、同社にはスタンプの復活を願う声も届いており、愛好家の期待に応え、SNSでの展開による新たな誘客手段として活用しようと、廃止分を含めたスタンプのデジタル化に着手。県内では、フジの花と遍路を描いた石井駅や椎宮八幡神社(徳島市佐古山町)の鳥居をデザインした佐古駅、ブドウ狩りの様子を表現した学駅などが復刻され、大歩危駅など6駅もデジタル化された。
さらにグループ会社「ジェイアール東日本企画」と連携し、昨年9月、スマートフォンをかざすとデジタルスタンプを収集できるアプリ「エキタグ」を本格的に導入。予讃線や土讃線に整備し、今年3月20日には高徳線12駅、鳴門線2駅、徳島線6駅の計20か所に設置した。今年度中には、牟岐線でも利用できるようにする方針。
8月31日までは導入記念として、徳島線の佐古、石井、鴨島、学、穴吹、貞光各駅の全スタンプを集めると、通常は配布しない「キハ185系」のスタンプがもらえるスタンプラリーも開催している。
エキタグでは、駅や記念の写真にスタンプを入れることができる機能もある。JR四国の担当者は「過去になくなってしまったものをデジタルで手軽に残せるようになった。鉄道旅行の楽しみとして集めてほしい」としている。