外車、特にアメ車が売れない訳

2025年5月10日(土)15時17分 財経新聞

Photo:アメ車と言えばフルサイズだ、手先の不器用なアメリカ人の造ったコンパクトカーにはアラが目立つ。 ©sawahajime

 トランプ関税で世間が騒がしい。殊に、米国車(アメ車)が日本で売れないのは「非関税障壁」だと騒ぎ立てている。

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●何故アメ車が売れないのか?
 アメ車が売れないのは、日本の国情に合った、魅力的な車が無いから売れないだけの事だ。

 先ず、自国向けの左ハンドル仕様だけしか準備されていない。

 最近でこそ小型化して来たが、図体がデカくて、燃費が悪くて、故障が多くて維持費がかかるからだ。

●サイズのデカさと燃費の悪さ
 普段から大きな車の方が好きだったので、ハワイ観光とかでは、リンカーン・タウンカーとかに平気で乗っていた。

 あちらでは道も広く、パーキングスペースも広い。

 ガソリン価格も安いし、日常の維持費では無いのであまり気にせずにデカい「アメ車」を楽しんでいた。

 物好きな筆者は、「蛇女(COBRA Girl)」さんの愛車であるコブラも、余裕があれば国内で乗って見たいと思うが、「燃費が2km/Liter」と聞くと、尻込みしてしまう。

 おまけに「ハイオク仕様」だ。

 筆者が年少の頃、父親が乗るアメ車は、後席で友達と取っ組み合いしてふざけた位に広くて快適だったが、燃費の悪さをこぼしていたのが思い出される。

 穴の開いたバケツにガソリンを入れて歩いても、もう少し距離が稼げるとか〜。

●右ハンドルの設定が無い
 米国の右側通行・左ハンドルに対して、日本は左側通行・右ハンドルだ。

 国土が広く、駐車場ひとつ取っても、「COMPACT」と書いてあるパーキングスペースでも、国産車の大柄な車が余裕で駐車できる。

 全長5mクラスの、リンカーン・タウンカー級の大型車を基準にしているから、日本国内の駐車スペースは、米国の「コンパクト」表記のスペースよりも小さく狭い。

 ETCが普及して楽になったが、有人徴収する有料道路では、幅広い車のハンドルと逆側まで身を乗り出して料金の受け渡しをする。

 一旦車を降りて、支払いに行く場面もあった。

●売れてる外車はそれなりに努力している
 一口に外車と言っても、国内で売れている外車は、それなりに日本市場に適合する様な努力をしている。

 右ハンドル仕様の設定なんて、当然の如く行っている。

 昔は運転手付きの場合は、歩道側から降りて、直ぐに後部ドアを開けられるから便利だとか言われた時期もあったが〜。

 やはり日本国内で使うには、右ハンドルが使い易いに決まっている。

 先日は、ハイエースの一番デカい車種よりも一回り以上も大きなFIATのバンを見かけたが、右ハンドル仕様であった。

 左側通行の英国圏向けかも知れないが、欧米のメーカーはそれなりに努力をしている。

 余談ながら、右ハンドルの外車でも、方向指示器のレバーは左側に付いているケースが殆どだ。

 娘夫婦は右ハンドルの外車を保有しているが、この車も方向指示器はステアリングコラムの左側にある。

 筆者は、エアコンが普及する以前、運転席の窓を開けて、ドアに肘をかけての走行中に、方向指示器を操作するには、ドア側の方が都合が良かったからだろうと勝手に解釈している。

●耐久性の問題
 昔、マツダが身分不相応な「5チャンネル体制」とか言って、フォード車を扱う「オートラマ」を展開した。

 「カペラ」をベースにした「テルスター」や、「ファミリア」をベースにした「レーザー」と、専売車種の「フェスティバ」と、イタリアの「ランチア」そして一部アメ車の「フォード」を販売した。

 従来からのアメ車ユーザーは、出先でトラブルを起こしたら、ディーラーに連絡して故障車は現場に置いて目的地に行く。

 ディーラーは故障車を引き取って修理し、ユーザーに整備した車をどこに届けるかを訊ねて指定場所に納車するのが当然の流れだった。

 しかし、国産車ユーザーがオートラマでアメ車を初めて購入すると、国産高級車並みの価格だから、普通の国産車よりも「出来が良い筈」と考えているので、大衆車並みにトラブルが発生すると、怒り心頭だった。

 「アメ車なんてそんなもの」と割り切らなければ乗っていられない。

 また、10数年前になるが、米国日本法人で社用車としてルノーカングーを使っていた際、当時は提携先の日産がルノーの整備していたので車検に出したら、6万キロ程度だったのにタイミングチェーンの交換が必要と言われた。

 当時の国産車は、10万キロが目安だったので、何故だと聞いたら「7万キロで交換の規定です」と言われて呆れた。

 外車は「故障を楽しむ」位で無いと乗っていられないと言われたが、耐久性もそんなレベルだったのだ。

 トランプ氏も、クルマ先進国である日本にアメ車を売り込もうとシャカリキになるよりも、米国メーカーに対して「米国国内で日本車に負けない車を造れ!」と発破をかけるのが先決だろう。

財経新聞

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