6708億円の赤字でリストラ策公表の日産、7工場閉鎖は「国内の完成車工場も検討対象」とエスピノーサ社長

2025年5月13日(火)22時50分 読売新聞

記者会見に臨む日産自動車のイバン・エスピノーサ社長(13日午後、横浜市で)=浦上太介撮影

 経営再建中の日産自動車は13日、2027年度までに日本を含む世界で7工場を閉鎖し、連結従業員の15%にあたる2万人を削減するリストラ策を公表した。同日公表した25年3月期連結決算は最終利益が6708億円の赤字(前期は4266億円の黒字)で、比較可能な1986年3月期以降、過去3番目の赤字額となった。26年3月期の業績予想では、米国の関税措置の影響が営業利益を最大4500億円押し下げる見通しで、業績をさらに悪化させる懸念もある。

 「Re日産」として発表した新たな経営再建計画では、世界に17ある完成車工場のうち、7工場を閉鎖し、計10工場に集約する。具体的な工場名は明かさなかったが、イバン・エスピノーサ社長は13日の記者会見で、「国内の完成車工場も検討対象に入っている」と明言した。子会社の工場も含めて国内には神奈川、福岡、栃木の3県に計五つあり、稼働率は低迷している。

 閉鎖する7工場には、すでに明らかになっているアルゼンチンでの車両生産の終了や、仏ルノーに売却したインドでの生産撤退が含まれている。これにより、中国を除く世界での年間の生産能力は300万台から250万台に削減される。

 27年度までの人員削減は、発表済みの9000人から2万人に上乗せした。内訳は車両生産に従事する生産部門で65%、営業や人事などの一般管理部門で18%、研究開発部門で17%。日産の連結従業員数は24年3月期で13万3580人に上り、国内従業員も対象となる。

 完成車工場とは別に、エンジンなど部品工場の閉鎖も進める。車種間での部品共通化を進め、35年度までに使用する部品種類の7割を削減するとともに、開発期間も短縮。一連のリストラ策で計5000億円のコスト削減を図る。

 25年3月期は、先月の業績予想で示した最大7500億円の赤字より赤字額は縮小したが、過去最悪だった00年3月期(6843億円)に迫る規模だ。世界的な販売減に伴って生産拠点などの資産価値を見直し、約5000億円の減損損失を計上したことが響いた。売上高は0・4%減の12兆6332億円だった。

 26年3月期の業績予想は、リストラ費用や米関税の影響が不透明として最終利益、営業利益ともに未定とした。年間の米関税の影響を営業利益ベースで最大4500億円の減益要因とした一方で、米国での増産などで足元の3か月で影響の3割を軽減できると説明した。

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