ポムポムプリン・ラブライブ!…キャラと一緒に街PR、「聖地移住」にも発展

2025年5月19日(月)17時6分 読売新聞

ふるさと納税の返礼品として開かれた、ポムポムプリン(奥左)が登場するイベントには38人が集まった(3月8日、石川県小松市で)=同市提供

 良い街も知られなければ交流人口を増やせない——。そんな地方の課題をクリアしようと、強い求心力があるキャラクターやアニメとタイアップした取り組みが、石川、富山両県で展開されている。単にキャラクター頼みのPR力の補強だけでなく、新たな手法での観光客誘致や商品の開発にも積極的に取り組み、成果が出始めている。(宮崎乃亜)

ポムポムプリン

 石川県小松市は2020年からサンリオのキャラクター「ポムポムプリン」と連携したまちづくりを進める。担当デザイナーが同市出身という縁だった。22年には観光客誘致や行政サービスのPRを担う「小松もう大好き!隊長」になった。

 駅の関連施設の装飾をはじめ、市内の至る所にポムポムプリンが使われ「聖地」と化した。パン店や菓子店をはじめ、関連商品の開発やイベントが展開され、地域経済の一助となっている。

 同市のパン店「パンの朝顔」では、3月にポムポムプリンの形をした蒸しパンの販売を始めた。SNSを中心に話題となり、幅広い世代の客が買い求めに来るという。店長の吉野麻子さん(43)は「このパンが市に立ち寄るきっかけになったらうれしい」と期待を込めた。パンはふるさと納税の返礼品にも採用された。

 効果は観光にも波及し、「聖地移住」にも発展した。管理栄養士の日高圭子さんはポムポムプリン好きが高じて、23年に東京から同市に移住。キャラクターとの連携継続に確信を持てたのが理由の一つだ。現在は夫が住む東京との2拠点生活を送る。日高さんは「あちこちでポムポムプリンを見かけ、その度に幸せになれる」と言う。移住後に食の豊かさや、東京への接続が円滑なことなど、市の長所に気づいたという。

清掃にファン参加

 富山県南砺市では、同市を舞台にしたアニメ「true tears」が2008年に放送されると、作中に登場した場所にファンが押し寄せてきた。聖地巡礼、アニメツーリズム——。とにかく観光客は急増した。作品は同市に本社を置くアニメ制作会社「P.A.WORKS」が制作していた。

 この成功を受けて、市は同社の協力を取り付けた。13年にはオリジナルショートアニメ「恋旅〜True Tours Nanto〜」が制作された。市内各所で繰り広げられるラブストーリーで、前・後編に分かれ、後編は同市を訪れるとアプリで視聴できる仕組みにした。

 さらに市は、アニメに登場した場所を紹介するサイト「アニ旅 なんと」で、「サクラクエスト」など同社が制作した南砺市を舞台にした3作品関連のモデルコースを公開し、観光客増加につなげた。市交流観光まちづくり課の担当者は「サクラクエストの聖地『桜ヶ池』の清掃活動にファンが参加してくれた。想定外の効果を感じた」と話している。

金沢市もアニメ連携

 すでに高い知名度を誇る金沢市も連携に乗り出している。アニメなどで人気の「ラブライブ!」シリーズから、市内にある設定の架空の高校で活動する「蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ」によるPRが行われている。市内の加賀友禅会館で25日まで、加賀友禅とのコラボイベントを開催。7月にはサッカーJ3のツエーゲン金沢の試合日にスタジアムで声優のトークショーを予定している。

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