コミュ力の高い人は「土日は何をしていますか?」とは聞かない…相手からどんどん話が出てくる"質問フレーズ"
2025年5月20日(火)17時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PeopleImages
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■相手のプライベートに踏み込むには…
飲み会という場は、仕事中にはなかなか話すことのない参加者の人となりやプライベートを深く知る絶好のチャンスです。
一方で、「どこまで踏み込んでいいのか」「こんな質問をしたら失礼にならないか」といった不安を抱える人も多いかもしれません。ビジネスシーンにおいては、せっかくのコミュニケーション機会を活かして距離を縮めたい反面、一歩間違えると逆効果になるリスクもあります。本稿では、緊張の解けてきた飲み会の中盤にプライベートに踏み込むコツをお伝えします。
自然に相手のプライベートへ話を広げるためには、仮説をぶつけながら、趣味の話などに近づけていくといいでしょう。特に入り口としておすすめなのが、「週末の過ごし方」に関する質問です。
■子どもの習い事=「親の関心」というケースは多い
たとえば、「○○さん、めちゃくちゃお忙しいですよね。週末もお仕事なんですか?」とさりげなく振ってみるのです。ここで「さすがに土日は休めているよ。子どもがサッカーをやっていて……」など、家族の話につながればそこを深堀りしていきます。
子どもの習い事やスポーツの話題は、実は親御さん自身が元々好きだったり、興味を持ったりしているケースが多いものです。「○○さんも昔やっていたんですか?」「どういうきっかけでそのスポーツを選んだんですか?」と続けると、相手が熱量を持って話してくれることがよくあります。
相手の好きなことや趣味の話題から一気に距離が近づく場合は多いです。たとえ自分が詳しくない話題でも、相手が興味のあるジャンルなら、率直に「それは面白そうですね」「もっと教えてください」と返していけば、自然と会話は盛り上がりやすくなります。
■要注意の「ダメフレーズ」とNG領域
「土日は何をしていますか?」は唐突すぎる
プライベートに踏み込むときは、何より「段階」を大切にしましょう。いきなり「趣味は何ですか?」「土日は何をしていますか?」と聞くと唐突感がありますし、相手から警戒されたり、引かれたりする原因になるからです。
広くオープンな質問からスタートして、徐々に絞り込むようにしていきます。答えてくれた内容に興味を示しながら追加の質問を投げることで、「もう少し話しても大丈夫かもしれない」という安心感を相手に持ってもらうのがポイントです。
「採用面接のNG領域」は飲み会でも慎重に
ただし、「結婚は? 恋人はいるの?」といった質問は、ハラスメントにつながる恐れがあります。相手との距離感や信頼関係がまだ浅い段階では、ストレートに踏み込むのは避けたほうが無難です。相手が自分から話を振ってくれた場合は別ですが、こちらからしつこく聞くのはリスクが高い行為だと心得ておきましょう。
同様に、「お子さんはまだ?」「ご両親はお元気ですか?」といった家族構成に関する話題も、相手によってはデリケートな問題であることがあります。これらはいずれも「採用面接で聞いてはいけない」とされる領域です。たとえ飲み会の場であっても、慎重になったほうがいいでしょう。
ビジネスの「意思決定」を求めるのは絶対NG
また、「うちの商品、導入してくれませんか?」とか「継続取引をぜひお願いします」といった営業色の強いアプローチをするのも逆効果です。
信頼関係ができていない段階で競合情報や内部情報を根掘り葉掘り聞くのも、一気に相手の気持ちを遠ざけてしまいます。相手からすれば、「この人がプライベートに踏み込んでくるのは、結局ビジネス目的なんだな」と感じてしまうからです。
飲み会はあくまで、リラックスしながら互いの人となりを理解し合うための場。相手に「Yes/No」で判断するような意思決定を求めるのは絶対にやめましょう
■「言われたことを行動に移す」「報告する」
飲み会を通じて距離を縮めるうえで大切なのが、「言われたことを行動に移す」「報告する」ということです。飲み会中におすすめされた映画や書籍、あるいは仕事でのアドバイスなど、相手が話してくれたことを後日きちんと報告するだけで、印象は格段によくなります。
たとえば、「先日の飲み会で教えていただいた本、すぐに読みました。実践してみたら、○○なところがすごく役立ちました!」と伝えるだけでも好感度は大きくアップ。これが積み重なると「この人はちゃんと行動して、しかも報告してくれる人だ」と思ってもらえ、信頼につながります。
ほとんどの人は、飲み会の場で「あの映画いいよ」「今度一緒に行こうよ」という話になっても、実際には行動に移さず、そのままフェードアウトしてしまいがちです。また、実践していても「報告」までできていないという人が多いのではないでしょうか。
だからこそ、きちんと行動して結果を報告する人は目立ちますし、相手の心に残りやすいのです。
撮影=プレジデントオンライン編集部
会食専門家のyuuuさん。飲み会で「言われたことを行動に移す」、そして「報告する」ことが大切だという - 撮影=プレジデントオンライン編集部
■とにかく「Facebook」を交換する
飲み会を“次につなげる”ために有効なのが「Facebook」です。Facebookは若者の利用率が低下していますが、40代以上にとってはいまでもアクティブなSNSです。投稿への「いいね」やコメントで相手との距離を縮めることができます。
実際の飲み会では、次の流れで「友達リクエスト」を送るのがよいでしょう。まず会の中盤でプライベートに踏み込んだ話を聞く中で、相手の趣味や好きなことの写真を見せてもらうのです。
そして、「本当にすてきな写真ですね! こういった写真はFacebookとかにもあげられているんですか?」と聞いてみます。もし答えがYesであれば、「僭越ですが、友達リクエストをさせていただいてもよろしいでしょうか。もっと○○さんのことを知りたくて!」と言ってFacebookを交換します。
■どれだけ偉くなっても「いいね」は嬉しい
Facebook交換のメリットは、相手のパーソナリティが非常によくわかること。そして、積極的な「いいね」によって相手のマインドシェアを高められることにあります。
yuuu『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』(ダイヤモンド社)
1.まずは「いいね」で存在をアピール
相手にとっては、自分の投稿に誰が反応しているかが気になるものです。どれだけ偉くなっても、SNSでリアクションをくれる人はかわいいのです。まずは軽い「いいね」から始め、投稿を読んでいることをアピールしましょう。
2.次にコメントで交流を深める
内容次第ではコメントを残すのもいいです。相手に興味関心をもって質問を投げたり、共感したりすることで、会話が自然に生まれてきます。
「ワインが好き」と書かれていたら、「私もワイン好きなんです。おすすめがあれば教えてください!」とコメントしてみる。そうすると、相手も「この人はワイン好きなんだな」と覚えてくれたり、さらに話題を膨らませてくれたりする可能性が高まります。
3.個別メッセージへと展開し、次の機会につなぐ
コメントのやりとりで盛り上がったら、個別メッセージを送るのも手です。「最近、山梨のワイン祭りに行ってきたんですよ。○○さんの投稿を思い出して、もしよかったら今度一緒にいかがですか?」といった形で、具体的な提案にもつなげやすくなります。
ポイントは焦らず段階を踏むこと。最初からプライベートな誘いをするのではなく、共通の話題で一度きちんと盛り上がってから誘うのがベストです。
■「自然な踏み込み方」で相手の心をつかむ
飲み会の最大の魅力は、お互いが少しリラックスした状態でコミュニケーションをとれることです。ただし、いくら非日常な空間だからといって、いきなり相手のプライベートに土足で踏み込むのはNG。まずは仮説をぶつけながら、趣味の話などに近づけていくのが鉄則です。
一度の会食をきっかけに、その後の人間関係が劇的に変わる可能性もあります。相手の立場や状況を尊重しつつ、失礼のない範囲で「もう一歩踏み込んだ質問をしてみる」というバランス感覚を身に付けることが大切です。
ビジネスにおいて結果を出すには、「行動」が不可欠。飲み会で出た情報やアドバイスを翌日にでもすぐ試し、そして報告する。こうした習慣こそが、会食の場を大きなチャンスへ変えてくれます。丁寧な配慮と行動力を武器に、飲み会を単なる宴席から「人間関係を深める場」に変えていただければ幸いです。
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yuuu(ユウ)
会食専門家・幹事研修講師
京都大学大学院修了後、非体育会系・アルコールに弱いにもかかわらず、新卒で電通に入社。入社当時は競合代理店である「博報堂の回し者」と社内で揶揄されるほどの落ちこぼれであったが、先輩の言葉をきっかけに会食に全力で取り組むように。最大28回会食/月に及ぶ苦戦苦闘の末に、すべての会食・食事会を誰もが成功に導くことができる、徹底的に実務に即した体系的な会食ノウハウ=「会食メソッド」を独自に生み出す。その後、自らセッティングした会食をきっかけに、念願のスタートアップ企業に就職。「会食メソッド」の一部を公開したnoteは大きな反響を呼び、noteでは異例の約30万PVを達成。X(旧Twitter)フォロワー数4万1500人(2025年5月時点)。著書に『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』(ダイヤモンド社)がある。
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(会食専門家・幹事研修講師 yuuu 構成=プレジデントオンライン編集部)