随意契約の備蓄米、店頭で5キロ2160円を想定…小泉農相「最優先課題はコメの価格の安定」
2025年5月26日(月)14時0分 読売新聞
随意契約での備蓄米の売り渡しについて述べる小泉農相(26日午前、東京都千代田区で)=須藤菜々子撮影
随意契約の手続き開始
農林水産省は26日、政府備蓄米の放出を巡り、価格がつり上がる要因とされていた従来の一般競争入札に代わり、政府が価格を設定して売り渡す随意契約に変更し、手続きを開始した。8月までに消費者に提供される分について、毎日先着順で申し込みを受け付け、随時、契約する。まずは30万トンを放出し、必要があれば追加も検討する。政府は6月初旬をめどに、備蓄米を5キロ・グラムあたり2000円程度でスーパーなどの店頭に並べることを目指す。
小泉農相は26日、省内で行われた会議で「一層のスピード感と危機感を持って、国民のみなさまの不安を
随意契約の対象となる30万トンの内訳は、2022年産が20万トン、21年産が10万トン。参加できるのは、これまでの入札では大手集荷業者としてきたが、今回は1万トン以上のコメを扱える大手小売業者50社程度とする。これまでは放出したコメと同量を政府が買い戻すことを条件としてきたが、今後は買い戻し条件はつけない。
政府から小売業者への売り渡し価格は、玄米60キロ・グラムあたりの税抜きで22年産が1万1010円、21年産が1万80円となる。店頭での販売価格は、一般的な経費を入れても税抜きで2000円程度、税込みでは2160円程度となることを想定している。
23日には楽天グループの三木谷浩史会長兼社長が小泉氏と面会し、備蓄米の随意契約に応じる意向を示しており、政府はネット販売の活用も検討している。備蓄米の受け渡しは業者が希望する場所とし、その際の輸送費用は国が負担する。
農水省によると、今月5〜11日に全国のスーパーで販売されたコメ5キロ・グラムあたりの平均価格は前週より54円高い4268円だった。前年同期の2倍超の水準が続いており、価格の引き下げが急務となっている。
石破首相は21日の党首討論で「コメは3000円台でなければならない。一日でも早くその価格を実現する」とし、コメ価格の引き下げに最優先で取り組む考えを示した。政府は備蓄米の店頭価格の低下を促し、流通するコメ全体の価格引き下げにつなげる考えだ。
農水省は26日、コメの価格高騰に対応するため、「米対策集中対応チーム」を発足させた。事務次官をトップとする約40人の体制とし、人的支援を強化する。
農水省によると、3月中に落札された備蓄米約21万トンのうち、先月27日時点でスーパーなどの小売業者や外食・中食業者に届いたのは10・5%の2万2379トンにとどまる。消費者が手にする小売りに限ると7・1%の1万4998トンで、消費者の手元にいかに迅速に届けるかが課題となっている。