ウィーワークの破綻で不動産市況への影響は?

2023年11月11日(土)9時40分 財経新聞

(c) 123rf

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●ウィーワークが破綻
 ソフトバンクグループが出資する米国シェアオフィス大手のウィーワークが、米連邦破産法第11条を申請し、破綻した。

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 2020年のコロナ禍以降、オフィス需要が落ち込み、利用者が減少。解約が相次いだことで大きな打撃を受けた。

 ウィーワークの破綻が商業用不動産全体のリース契約などに大きな影響を及ぼす恐れもあり、不動産市況全体への影響はあるのだろうか?

●ウィーワークとは?ソフトバンクとの関係は?
 ウィーワークは2010年に創業され、ニューヨークに本社を置く、起業家向けのコワーキングスペースを提供する企業である。全世界39カ国で750拠点以上(2022年12月時点)を展開している。日本では2018年に東京に拠点を置いた。

 マイクロソフトやレッドブルなどが顧客として紹介されている。個人やフリーランスも契約可能で、自宅以外の仕事場や福利厚生の充実などに定評がある。

 ソフトバンクGは傘下のファンドを通じて、これまで合計で100億ドル(約1兆5000億円)超出資している。

 孫正義社長はウィーワークについて今年6月に株主総会で、「すべて私の責任であり、私の人生の汚点だ」と陳謝していた。

●不動産市況への影響は?
 米国ではコロナ禍以降、在宅ワークが定着しており、コロナ収束後も続いている。

 オフィスの空室率は20%近くで、数十年ぶりの高水準となっている。今後も回復の見込みはなく、家賃も値下げせざるを得なくなり、商業用不動産の所有者にとって、厳しい状態が続くことになりそうだ。

 ウィーワークの破綻を受けて、S&P500REIT指数は下落したが、微減に留まった。ウィーワークの破綻は拙速な事業拡大によるものという捉え方もあり、“ウィーワークショック”というようなパニックには発展し無さそうだ。

 ニューヨークやサンフランシスコの大都市における全オフィスのうち、ウィーワークの物件比率は1%にも満たず、大都市への影響も軽微なものである。

 しかし今年のS&P500 REIT指数で見ると、年初から6%以上も下落しており、その象徴的な出来事としてウィーワークの破綻と考えれば、シェアオフィス需要の回復が待たれる。

財経新聞

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