「面接官から高評価!」フェルミ推定で面接官が納得する切り口の作り方【就活生保存版】

2024年12月24日(火)6時0分 ダイヤモンドオンライン

「面接官から高評価!」フェルミ推定で面接官が納得する切り口の作り方【就活生保存版】

近年、就活市場で人気が高まるコンサル業界。採用試験に臨む就活生や転職者から大きな支持を集める本がある。『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』だ。大手コンサルティングファームで出題された入社試験を取り上げ、実践的な問題解決思考をトレーニングする1冊だ。本稿では本書から一部を抜粋して紹介する。

Photo: Adobe Stock

フェルミ推定で求められる「切り口」の考え方

 フェルミ推定では、推定対象を具体的に想像して、何を起点に推定を行っていくのか、推定における切り口や場合分けをどうするのかを自分で考えなければなりません。

 一般的に面接官から具体的な指示がなされることはなく、皆さんから推定方法を提示していくことになります。

「切り口」とは何か?

 たとえば、「日本で1ヵ月間に購入されるチョコレートの個数は?」と聞かれたら、どのように推定するでしょうか。

 回答者の多くは、人口を起点として

「日本の人口×1人あたりの1ヵ月間のチョコレート平均購入数」

 で答えを導き出そうとするでしょう。

 しかし、日本国内にはチョコレートをよく食べる人もいれば苦手な人もおり、ましてや乳児はチョコレートを食べられないなど、様々なケースが存在します。

 全ての人が同じ行動や思考をするわけではないため、より解像度の高い推定を行うには人口を行動や性質が似通った「まとまり」に分け、個別に検討する必要があります

 この全体を何らかの「まとまり」に分ける際に着目する観点を本書では「切り口」と呼んでいます。

 筋の良い切り口で推定を行うことで、聞き手にとって納得感があり、自分なりの独自性を盛り込んだ回答を導き出せるようになるため、切り口の選定はフェルミ推定の選考突破における肝と言えます。

覚えておきたい切り口①:人口

 日本の総人口起点は、様々な問題で活用できる切り口の1つです。

 次の図を覚えておくとスムーズに検討を進めることができます。上下どちらの図を使用しても問題ありません。

世代ごとの人口を切り口にする方法

覚えておきたい切り口②:属性(学生/社会人/専業主婦・主夫)

 自由に使えるお金や日々の活動が異なる学生や専業主婦/主夫、社会人(労働者)の各属性に分類する方法を紹介します。

 この分類方法は、腕時計スマホアプリなどの個人所有の商品やサービスについて推定する際に活用できます

属性を切り口にする方法

 なお、社会人と労働者、専業主婦・主夫の人口は次の手順で算出できます。

■社会人、労働者

 21歳から60歳までの人口は6000万人です。

 この年齢層には学生が含まれますが、61歳以上の社会人もいるため、社会人の総数(専業主婦・主夫を含む)を6000万人としても数字は大きく乖離しないでしょう。

 なお労働者の人口は、社会人の総数から専業主婦・主夫を差し引いて、

 6000万人−600万人=5400万人

 となります。

■専業主婦・主夫

 21歳から60歳までの6000万人のうち60%が結婚しており、そのうちの30%の世帯に専業主婦または主夫がいます。

 パートナーは就業者であることに注意して最後に50%を乗ずると、

 6000万人×60%×30%×50%=540万人(≒600万人)

 と算出できます。

覚えておきたい切り口③:世帯数、世帯人数

 次は、人口を世帯数に分解する方法です。

 この方法は、新聞ウォーターサーバーといった家庭単位で利用している商品やサービスについて推定する際に活用できます

 行動が異なると考えられる単身層・ファミリー層への分解や、必要に応じて若年・老年の世帯主、子どもの有り無しで世帯数を分類していくことができます。

 おおまかな数字感や推定方法に加えて、日本全体の世帯数(5000万世帯)や単身世帯率(30%)は覚えておくと便利です。

世帯数を切り口にする方法

覚えておきたい切り口④:都市部と地方部(人口、面積)

 次は、日本全国を都市部と地方部に分解する考え方です。

 次の表は地域特性(大都市圏、都市部、地方部)ごとの面積と人口を示したものです。

都市部と地方部を切り口にする方法

 これを基に、

・全国の面積は40万㎢

・都市部(大都市圏+地方都市)は面積が全国の約半分

・特に大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)は日本全国の5%の面積に40%の人口が密集している

 などと覚えておくことで、地方都市を含んだ都心部、大都市圏の生活に関する肌感覚が養えます。

 この方法は、車の数電車の乗車人数などの交通手段に関する推定の際や、コンビニやスーパーの数などの地域によって分布特性の異なるものの推計に活用できます

覚えておきたい切り口⑤:大企業と中小企業

 企業向けの商品やサービスに関する需要を考えるような際には、大企業と中小企業に分けて検討すると良い場合があります。

 たとえば、自動販売機を設置するか否かは、大企業と中小企業では導入している割合や台数が大きく異なるでしょう。

 企業数などの正確な数値は総務省と経済産業省が発表している経済センサス活動調査を確認するとよいですが、たとえば、

・日本の大企業の数は全体の約0.3%、その大企業に所属する従業員数は社会人全体の30%

・日本の大企業は1万社で平均従業員は1000名、中小企業は400万社で平均従業員は10名

 などと大企業と中小企業を分けて押さえておきましょう。

覚えておきたい切り口⑥:店舗の営業時間、キャパシティ(レジ・席数)

 実際のフェルミ推定問題では、カフェやレストランなどの1日の店舗売上を推定する問題も頻出します。

 その際、周囲の人口規模から該当する店舗に来店する人を推計するアプローチ(「需要起点」と呼ぶこともあります)が適さない問題も多く存在します。

 そのような時に便利なのが、店舗が時間あたり何名程度のお客様に対応できるかという席数やレジ起点での切り口です(「供給起点」と呼ぶこともあります)。

 営業時間ごとに来店客数の場合分けを行えば、より解像度の高い推定ができます。

【席数起点での切り口】 店舗(飲食店など)の売上 =1日の客数×客単価 =席数×埋まっている席の割合×1時間当たりの回転数×営業時間×客単価 ※回転数とは、お客様が1時間で何回入れ替わるかを示す。

【レジ起点での切り口】 1日の売上 =1日の利用客数×客単価 =1時間あたりのレジのキャパシティ×レジ稼働率×営業時間×客単価 =レジの台数×1時間あたりのレジ対応客数×レジ稼働率×営業時間×客単価

 以上の切り口を頭に入れたうえで、推定対象に合わせて適したものを活用してみてください。

 なお、意味のある切り口を用いることはもちろん重要ですが、細かく場合分けをすると計算が複雑になり、時間が足りなくなってしまいます。

 時間を意識して、要点を押さえたシンプルな場合分けを検討し、計算のしやすさにも工夫しましょう。

(本稿は『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』から一部を抜粋・編集したものです)

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