伊丹十三監督全10作を東京・大阪で4K上映 のん「心ときめきます」
2025年1月30日(木)10時0分 マイナビニュース
伊丹十三監督全10作品の4Kデジタルリマスター版を上映する「日本映画専門チャンネルpresents 伊丹十三4K映画祭」が、2月21日からTOHOシネマズ 日比谷・梅田で開催される。
この企画では、映画監督デビュー作となった『お葬式』(84年)を皮切りに、『タンポポ』(85年)、『マルサの女』(87年)から『マルタイの女』(97年)まで、全10作品を4K最高画質で1週間ずつ上映する。
身近なテーマを独自の感性と日本社会への洞察を散りばめながら、鋭い切り口で描いてきた伊丹映画。配信サービスでは観ることができず、劇場で観る機会も限られている貴重な作品となっている。
2月22日には、TOHOシネマズ 日比谷スクリーン12での『お葬式』上映後に、伊丹映画全10作品に出演する宮本信子が、映画『ラストマイル』(24年)、ドラマ『海に眠るダイヤモンド』(24年)などの塚原あゆ子監督とともに登壇。伊丹映画の魅力について語るほか、『海に眠るダイヤモンド』の撮影秘話も披露される。チケットは、2月14日24時発売。
また日本映画専門チャンネルでは、伊丹映画全10作品を4K最高画質で、5月に一挙放送する。
今回の特集上映を受け、日本映画界で活躍する監督たちがコメントを寄せた。
○■岩井俊二
伊丹十三さんはかつて、とある映画をプラモデルのようだと語っておられたが、そんな伊丹さん自身が作る映画は、まるで極上のマジックのようで、お葬式でも脱税でもスーパーマーケットでもなんでも映画に変えてしまうそのこと自体もマジックだったが、どの作品の、どこをどう分解して、細かく切り取ってみても、タネも仕掛けもまるでわからぬばかりか、そのカケラのひとつひとつがどこまでも見事に映画なのであった。
○■周防正行
伊丹十三が活躍した時代、映画は映画館で観るから映画だった。その後のフィルムからデジタルへの移行は、視聴形態だけではなく、どう作るかということについても大きな変化をもたらした。伊丹十三はフィルムで育った映画人であり、同時にテレビを含むあらゆるジャンルを横断する表現者だった。伊丹映画を劇場で観る楽しさは、改めて「映画とは何か」という問いを突きつけられることだ。ぜひ、二十世紀最後の映画を味わってほしい。
○■山崎貴
伊丹映画は時代のレンズだったと思います。その時代ごとの社会問題をあぶり出し、それをドキュメンタリーではなく、とびきり上等のエンターテイメントとして観客に届けるという誰も出来ないことを飄々とやってのけたのが伊丹映画の素晴らしさだったと思います。
絶対誰もエンタメに出来るとは思わない場所からとんでもない原石を掘り出して皆に届ける…凄いのはその磨き上げた宝石が今もなお全く輝きを失っていないということです。
○■奥山大史
いつか映画を撮ってみたいと思い始めた頃、伊丹十三監督の映画を観ては、その映画を撮る過程について記された本を読む、というのを繰り返していた時期があります。
「映画というのは現実を映すのではなく、フレームのなかに現実を作り出すのだ」
「百の演技指導も、一のうってつけの配役には敵わない」
「美的感覚とは、嫌悪の集積である」
そんな言葉たちに触れながら観終えた10作からは、あまりにも多くのことを教えてもらいました。
やっとスクリーンで観られる。楽しみでなりません。
○■のん
伊丹十三監督の作品は、画作りが本当にかっこいい。衣装、美術、ヘアメイク、全てのディティールがおしゃれで、配置される構図は伊丹監督の描いたイラストのようにチャーミングでユーモラス。 しかし私は伊丹作品を、DVD映像でしか観たことがない…!あの、日本社会に息づくスリルが閉じ込められた数々の傑作達を映画館のスクリーンで観られるなんて、心ときめきます。
上映スケジュールは、以下の通り。
『お葬式』2月21日〜27日
『タンポポ』2月28日〜3月6日
『マルサの女』3月7日〜13日
『マルサの女2』3月14日〜20日
『あげまん』3月21日〜27日
『ミンボーの女』3月28日〜4月3日
『大病人』4月4日〜10日
『静かな生活』4月11日〜17日
『スーパーの女』4月18日〜24日
『マルタイの女』4月25日〜5月1日