ボロボロになったガンダムが美しい…「機動戦士ガンダム」アイキャッチで感じる寂しさ

2025年2月7日(金)7時0分 ABEMA TIMES

 ああ、これで物語が終わるんだな……そんな寂しさを感じる演出といえるだろう。アニメ「機動戦士ガンダム」では第12話から第42話まで、ガンダムがビームサーベルを振り下ろすアイキャッチが使われている。しかし、最終話でガンダムが倒れた後のアイキャッチからは、ガンダムの姿がなくなっていた。

【映像】ガンダムの居ない”アイキャッチ”(12分22秒ごろ〜)

 ガンダムの「ラストシューティング」は、アニメに詳しくなくてもその光景だけは知っているという人も多いほど有名なシーンだ。地球連邦軍とジオン公国軍による宇宙要塞ア・バオア・クーでの最終決戦で、ガンダムはシャア・アズナブル(CV:池田秀一)の乗るジオングと戦い、その胴体を破壊した。しかし、ガンダムも頭部を撃ち抜かれてしまった。

 普通ならここで“終わった”と諦めてしまう場面だ。しかし、アムロ・レイ(CV:古谷徹)は違った。「まだだ、たかがメインカメラをやられただけだ!」と、頭部を失いながらも、胴体だけのガンダムで頭部だけのジオングを追い続けた。

 シャアを追ってア・バオア・クーの内部へ突入したアムロは、近くでシャアが待ち構えていることを感じ取った。アムロはガンダムを自動操縦に切り替えコックピットを降りると、ガンダムを自走させ、吹き抜けたポイントでおもむろに上空に向かってビームライフルを撃たせた。

 アムロの予想通り、ジオングは吹き抜け上部で待ち構えていた。ガンダムの放ったビームライフルは見事にジオングの頭部を撃ち抜いて爆破した。しかし、ガンダムもジオングのビーム砲を受け、右腕と右脚が溶けるように破壊され、崩れ落ちるように倒れた。

 もしこれが単純な「正義と悪」の戦いであれば、ガンダムは最後まで倒れることはなかったかもしれない。第36話でスレッガー・ロウ中尉(CV:玄田哲章)が「悲しいけどこれ戦争なのよね」という名言を残したように、「機動戦士ガンダム」は異なる正義と正義のぶつかり合いであり、単純な勧善懲悪ではないのだ。

 ガンダムは単なる戦争兵器の一つにしかすぎなかった。しかし、アムロが主人公である以上、その彼が操るガンダムが最後に倒れてしまうという結末は衝撃的だった。冒頭で示したとおり、この後のアイキャッチからガンダムが消えたのは、ガンダムの役目が終わり人間同士の戦いに移行したことを表していたのかもしれない。ガンダム不在のアイキャッチは、物語の終焉とともに言い知れぬ寂しさを残す演出だった。

 アニメ「機動戦士ガンダム」は1979年4月から1980年1月まで放送されたサンライズ制作のロボットアニメで、富野由悠季監督が手掛けた作品。“リアルロボットアニメ”という新ジャンルを開拓し、以後のアニメに多大な影響を与えた。放送当時の視聴率は振るわなかったものの、再放送や劇場版の公開で人気が急上昇すると、「ガンプラ」ブームも生まれるなど空前のヒットに。現在に至るまで数多くのシリーズやスピンオフなどの派生作品が制作され、高い人気を誇る。

(C)創通・サンライズ

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