親しい隣人が、同居する息子夫婦によって精神科に入院させられた。一気に老け込んだ彼女の未来を憂いて

2024年2月7日(水)12時30分 婦人公論.jp


隣人がそこまで踏み込んでいいものだろうかと躊躇して……(写真はイメージ。写真提供:photoAC)

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半年ぶりに会えたけど


「シズちゃんが墓参りのために入院先から戻ってくる」と彼女の娘さんから伝えられた。シズちゃんは私の隣人で、引っ越してきた時真っ先に打ち解けてくれた人。以来親しく付き合ってきた。

米作農家だった夫を早くに亡くし、息子と娘の2人を育て上げた彼女。娘のほうは隣町に嫁ぎ、結婚して跡を継いだ長男夫婦と同居となった。

お昼頃、シズちゃんは娘夫婦に両側から支えられてわが家を訪れた。会わなかった半年の間にかなり老け込み、小柄な体がいっそう縮まっている。玄関先で私に抱きつこうとしてよろめく。最後に会った時はまだ足腰はしっかりしていたのに。

彼女はせきを切ったように語り始めた。入院したのは精神科だったと、私はこの時初めて知った。針やハサミが持ち込めず、大好きな手芸ができないと嘆くのだった。

隣人のピンチを憂える


シズちゃんに突然うつの症状が出たため、息子夫婦に精神科へ連れていかれ、そのまま入院となったという。嫁姑の関係が悪いと聞いてはいたが、まさかこんなことになるとは。娘さんは「義姉が強引に……」と悔しげに口にした。

だが、娘さんの家庭にも高齢者がいて、引き取ることはできないそうだ。「息子夫婦と話し合えば」と言いかけて私は躊躇した。隣人がそこまで踏み込んでいいものだろうか。

シズちゃんは小さな声で「これは運命なんだね」と言い、さびしげな表情のまま車で去っていく。私は黙って見送るばかりだった。

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