【インタビュー】姫らしさ皆無のプリンセス、アンバー・ハード「“彼女の物語”を作りたい」

2019年2月8日(金)17時0分 シネマカフェ

アンバー・ハード『アクアマン』/photo:You Ishii

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マニッシュなファッションがとてつもなく格好よく、それでいて笑顔がとてつもなくキュート。『アクアマン』で演じた女性ヒーロー、メラの強さ、思慮深さに触れ、「彼女が物語を動かしているようなものよね!(笑)」と茶目っ気たっぷりに言い放つ姿もまたとんでもなくチャーミングだが、実のところ、その言い分は正しい。アンバー・ハード演じるメラなくして、海底最強の男・アクアマンのヒーロー誕生譚は成り立たないのだから。

「ずっと望んできた」憧れの女性ヒーロー
海底の王女に生まれ、水を自在に操る力を持つメラ。彼女は海を支配するアトランティス帝国が地上の征服を目論んでいると知り、アクアマンの前に現れる。アクアマンは人間の男とアトランティスの元女王の禁断の愛の結晶であり、異父弟にあたる現王の凶行を止められるのは彼だけだからだ。だが、人間として地上で暮らすアクアマンは海底の事情にかかわりたがらず、メラが彼の“尻を叩く”。


「それ、すごくいい表現(笑)。メラは確かにプリンセスだけど、いわゆるお姫様らしさは皆無。戦士として育てられたし、行動力や推進力に優れている。ある意味、政治家にも似ていると思う。内面の強さを持つリーダーであり、ヒーローに必要な資質をすべて備えている。ただ、たまたま女性であるだけなの。こんな役を私はずっと望んできたの。映画の世界では珍しい役だから」。


「美しいだけで、騎士、ヒーロー、王子様に助けられるのがプリンセス。子どものころから、そんな物語にばかり触れてきたの。すっごくつまらなかった(笑)。だから、私はずっと王子様になりたかった。男の子になりたかったわけじゃなくて。ただ、王子様の方が面白いことができそうだと思ったの」とも語るアンバー。だからこそ、「憧れの女性ヒーローも、物語の世界にはいなかった」と言い切る。


ゆくゆくは現実世界の“強い女性”を表現したい
「身近な存在で言えば、ママが私のヒーローかな。なのに、物語の世界に強い女性がいないなんて変よ。そんな状況が、最近になってようやく変わってきたと思う。いまの時代、物語を語ることは、変革を起こすことでもある。そこには力があるの。だから、私も声を上げる必要があれば上げる。でも、望む声に応えてこなかったのが私たちの業界。女性を平等に描いてこなかったことも、賃金の問題もね。まだまだ世の中から遅れていると思う。いま始まったばかりなの」。


「私は『アクアマン』が本当に大好き。アドベンチャー大作として、作品の世界に逃避させてくれる素晴らしさがあるもの。想像力をかき立てられるし、映像も素晴らしい。その世界に生きるメラは、理想的な女性キャラクターだと思う」と前置きしつつ、「ゆくゆくは、彼女の強さを生身の女性の中で表現してみたい。スーパーヒーローではなく」とも。こう語る瞳の輝きは、ますます強さを増している。

「“彼の物語”はたくさんあるけど、“彼女の物語”はあまりないでしょう? 変革をもたらした強い女性たちはたくさんいるのに。語られてこなかった物語はたくさんある。私は現実世界で活躍した“彼女たち”の映画をたくさん作っていきたいの」。


物語の中と一緒!? アンバーとジェイソンの関係性
もちろん、アンバーは“彼の物語”に背を向けているわけではない。そのバランス感覚は格好よくもキュートな彼女自身から見てとれるものであり、大好きな共演俳優を「すごく乱暴で、すごく醜い人。嘘よ(笑)」と愛情たっぷりに評する姿からもわかる。アクアマン役のジェイソン・モモアは、物語を共に語る最高のバディだったようだ。


「ジェイソンは常に注目を集めていたい人。これは本当よ! 私はその逆で、そっとしておいてほしいタイプ。静かに本を読んでいたいの。でも、彼は私みたいな読書好きのオタクを憎んでいる(笑)。本を隠されたり、ページを破られたこともあった。本を奪われた私は結局、撮影の待ち時間を彼とおしゃべりしながら過ごさなくちゃいけないわけ。満足そうだったわよ。一度なんて、すごく厚い本の最後の15ページを破られた。結末をとっても楽しみにしていたのに。あのときは殺意を覚えたわ(笑)」。


アンバーとジェイソンの“攻防”は、生真面目なメラと一見いい加減で雑なアクアマンの関係にも重なる。アクアマンと時間を共にすることで、ちょっとだけ肩の力が抜けていくメラが可愛い。そのささやかな変化は、アンバー自身の人生にもたびたびあった。

「人生を歩んできて、転んだり、倒れたりしたことは何度もある。そのたびに、起き上がって前進してきた。でも、1人でそうしてきたわけじゃない。いろんな出会いが私をそうさせてくれたの。いいときもあったし、悪いときもあったけど、私にとってはすべてが学べる機会であり、チャレンジ。それって、いいことよね。いまの私は前に進めているもの」。

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