モモコグミカンパニー、“弱い心”もさらけ出しながら少しずつ強く 執筆業への思いも語る「書くことは生きること」

2024年2月13日(火)13時0分 マイナビニュース

BiSH解散前の葛藤吐露「その頃の自分は汚いと思っていた」
2023年6月29日をもって解散したガールズグループ・BiSHのメンバーで、小説家としても活動しているモモコグミカンパニー。2月14日には、解散宣告された日から東京ドームでのラストライブまでの3年半の日々を赤裸々につづったエッセイ『解散ノート』が発売される。弱い心もさらけ出しながら解散という終わりに向き合い、少しずつ強くなれたというモモコグミカンパニーの変化に迫りつつ、執筆業への思いも聞いた。
——『解散ノート』では、悩みや葛藤を隠さずさらけ出されていて、そこに共感する人も多いだろうなと感じます。
その頃の自分はすごく汚いと思っていたんです。解散が近づくにつれて、ソロ活動がみんな多くなり、「この子はソロの仕事が入っているのに私は全然ないな」「私は需要がないんだ」と、矢印がどんどん悪い方向に向かっていって、そう思っている自分も汚いし、傷ついている自分も汚いなと。その頃の自分に対する評価が真っ黒というか、汚いグレーでしたが、今思うと、その時についた傷跡やあざもすごくきれいに見えるので、不思議だなと思います。
——汚い心は知られたくないと思うものですが、そこを赤裸々に書かれていますよね。
プロデューサーの渡辺(淳之介)さんに「私ソロの仕事がないんですけど、何をしていけばいいですか?」と涙が出そうになりながら話をして「俺は味方だから」と聞いてもらえたことなどがすごく支えになり、本当に周りに支えられているなと感じますし、弱音を人に話すことも大切なのかなと思いました。
——昔から弱音を吐けるタイプでしたか?
全然正直に言えない子供でした。痛くても痛いと言わず、泣きたい時でも泣けない幼少期を過ごしていましたが、世の中そこまで甘くないぞと思うように。子供の頃は、傷ついたら何も言わなくても親が絆創膏を貼ってくれていましたが、大人になってから、何も言わずに傷に気づいてくれというのは傲慢なことだなと。苦しいと言えば何か解決策をもらえると思うし、傷をさらけ出すことによって助けてくれる人はいると思うので、ふさぎ込む前にその一歩を踏み出すのはどうでしょうか、というのはいろんな人に言いたいですし、『解散ノート』が人生に悩んでいる人の背中を少しでも押せたらと思っています。
——SNSやこれまでのエッセイなどでも本音をつづられてきて、勇気をもらったというような反響も多いのでは?
そういうことを言っていただくことはBiSH時代からすごく多くて、最初はびっくりしました。エッセイを発表した時に、私はカッコ悪さをさらけ出している気分でいましたが、「勇気づけられました」という声をもらって、それが人のためになるんだというのは新鮮でしたし、見てくれる人は見てくれるんだと思いました。そして、自分をさらけ出したからこそ出会えたファンの方もいて、そういう人たちは本当にかけがえがないなと思いますし、BiSHという場所があったから自分をさらけ出すことができたなと感じています。
——今後もありのままの自分を出すというのは大事にしていきたいと考えていますか?
ありのままのすべてを出すことがいいのかわかりませんが、心の悲鳴などに蓋をしないで、ちゃんと聞いてあげることは大切にしようと思っています。
○ソロライブも自信に「1人で歌っても来てくれる人がいる」
——SNSの声にショックを受けることもあったようですが、どのようにしてSNSとのいい距離感を見つけてきたのでしょうか。
テレビに出演した時に「歌割りが少ない」「歌ってないじゃん」と書かれたり、今でもネガティブなものもありますが、考えていたら仕方ないなと思うようになりました。自分の心が強くなったといえばそうかもしれませんが、全員に好かれるのは無理だなと思うし、嫌われる部分がある人のほうが魅力的だと思うように。見られていることの裏返しでもありますし、無理に好かれる必要はないんだなと1人になってからより思います。
——そう思えるようになったきっかけがあったのでしょうか。
今は1人で、自分が傷ついていたら仕事にならないので、メンタルも自分でちゃんと管理しようと思うようになったことが大きいのかなと思います。あと、1月に(momo)という名前でソロライブをやらせていただき、それも自分の中で自信に。自分1人で歌っても来てくれる人がいるというのが衝撃で、BiSH時代に歌パートが1行とかしかなかった人間が全部歌っているってすごいなと思っています。
——自己評価がすごく低かったところから、少しずつ自分に自信を持てるように。
1人でテレビに出る時など、「私のことなんて見たくないだろうな」と思うこともありましたが、私のことを見てくれている人もいて、そういう人たちがいると思うと自信を持って画面に映れるようになったので、日々感謝の気持ちでいっぱいです。モモコグミカンパニーを無下にすることは、好きでいてくれるファンの人のことも無下にするのと一緒なので、自信を持って画面に映ろうと思うようになりました。
●BiSHと重ねて“書けない時期”を乗り越える
——執筆業への思いも伺いたいのですが、2022年3月に『御伽の国のみくる』で小説家デビューしたときの思いをお聞かせください。
作詞をさせていただくことはありましたが、小説は私の中ですごくハードルが高くて、私ごときがやることではないだろうという思いがすごくありました。書かなかったらずっと「書こうと思っています」と言えるけど、書こうとして書けなかったらその夢を語ることすらできないんだなと、その怖さもあって手が出せなかったのですが、解散もあるということで、書けなかったら別の生き方を探そうと心に決めて夢に飛び込みました。
——デビュー小説を書いてから、良いものを書かないといけないというプレッシャーも感じるようになったそうですね。
「BiSHのモモコグミカンパニーだから書く仕事をもらっているだけで、自分の力じゃないんだ」「一歩間違えたらこの道は断たれるんだ」とか、自分の中でハードルをどんどん上げてしまい、書けない時期もありました。
——どうやって乗り越えたのでしょうか。
書くしかないというところですね。BiSHも、最後は東京ドームという大きなステージで満員の中でやることができましたが、その過程では、幕張メッセなど今のBiSHには大きすぎるかもしれないけどやりなさいと言われてライブをすることもあって、それと一緒だと思ったんです。自分はまだ書き手として完璧ではないけど、書きながら成長していけばいいじゃんって。完璧になるのを待つのではなく、BiSHがそうだったように、自分も書きながら力をつけていけばいいという考えにシフトしてから手が動くようになりました。
——BiSH時代は不安や悲しみを原動力に歌っていたとおっしゃっていましたが、書く原動力は何でしょうか?
BiSH時代に当たり前のように感じていた人からの愛が当たり前ではないということに、1人になってからより気づくようになりましたし、今でもメンバーと連絡を取っていて、そういうところでも愛を感じていて、BiSH時代に関わった人をがっかりさせないようにしたいとか、まだ会ってない人に会いたいとか、そういう思いが原動力になっているのかなと。悲しみや怒りばかりではないなと思います。
——改めて、書くことはご自身にとってどういうものになっていますか?
私にとって書くことは生きることです。小説でもエッセイでも、どういう形でもいいから、書くことは辞めたくないなと。書き続けるってすごく大変ですが、止めないように何かしら書いていこうと思っています。
■モモコグミカンパニー
9月4日生まれ、東京都出身。ICU(国際基督教大学)卒業。2015年3月に結成され、高い人気を誇りながら2023年6月の東京ドームライブを最後に解散したガールズグループ・BiSHの初期からのメンバーとして活躍。メンバー最多の17曲を作詞。2022年に『御伽の国のみくる』で小説家デビューし、2023年7月に2冊目の小説『悪魔のコーラス』を発売。これまでにエッセイ2冊も上梓。2023年9月から音楽プロジェクト(momo)を始動するなど、幅広く活動している。

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