『カムフロムアウェイ』はミュージカル界の“アベンジャーズ” “ポンコツスターたち” 初日前に意気込み

2024年3月6日(水)22時4分 マイナビニュース

ミュージカル『カムフロムアウェイ』の公開ゲネプロが6日に東京・日生劇場で行われ、安蘭けい、石川禅、浦井健治、加藤和樹、咲妃みゆ、シルビア・グラブ、田代万里生、橋本さとし、濱田めぐみ、森公美子柚希礼音、吉原光夫、演出のクリストファー・アシュリーが取材に応じた。
同作は、2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件(9.11)で行き場を失った飛行機のうち38機が、カナダのニューファンドランド島にある小さな町・ガンダーに不時着した実話から、人種、国、宗教、すべてを越えて繋がる人と人との心の物語をミュージカル化した。トニー賞、ローレンス・オリヴィエ賞、ニューヨーク・タイムズ紙の批評家賞をはじめ、数々の演劇賞を受賞し、この度日本初演を迎える。
○■ミュージカル『カムフロムアウェイ』の公開ゲネプロにキャスト陣集合
演出のクリスは「この作品を作ってから9年間、世界には大きな分断、たくさんの紛争が起こっています。戦争やパンデミックがある中で、優しさ、他人に対して寛容になることがテーマの作品手がけることができて幸せな思いです。しかもこの作品は実在の人間、今も生きている方々をモデルにしている作品で、そういう作品を手がけるのは僕も初めてでした。作品のメイキングの段階からとても協力してくださって、今ではこの作品のファンとして崎中追っかけ回してくれています」と作品について説明する。
日本人キャストの印象を聞かれると、「この作品については何もかも知り尽くしていたつもりですが、このキャストから作品、人物についてたくさんのことを学んでいます。この人たちが好きすぎて、今後キャリアの中でこの人たち以外とは仕事をしないと決めたところです」とジョークを飛ばし、シルビアからは「絶対ですね?」とツッコまれていた。
また、稽古でのエピソードを聞かれると、咲妃は「スタンバイキャスト(上條駿、栗山絵美、湊陽奈、安福毅)の皆様が通し稽古をなさったんですけど、本当にすごいものを目撃させていただきましたし、そんなスタンバイキャストの方たちの底力に支えていただいていて、お届けできることが大変心強い」と感謝する。シルビアも「他の作品と比べても、(役として)入り込むことが難しいんです。位置関係がパズルのようで。覚えただけで入れるわけでないから、感動しました」と語り、周囲も「すごかったね」と感心していた。
最後には町長役の橋本が前に出て「今悩んでいる方、壁にぶつかっている方、前に進もうと思って不安になっている方々にエールを送りたいと思います。三三七拍子!」と宣言し、キャスト陣は戸惑いながらもついていく。「せーの、Welcome to the Rock!」と掛け声で締めたもののうまく締まらず、テイク2に。橋本は「村長役の……」と間違えてツッコまれつつ、最後は全員で決めていた。
また、キャストコメントは以下の通り。
○■キャストコメント
安蘭けい「足かけ約6カ月稽古で準備してきました。今振り返ってもあっという間すぎて明日が初日なんて信じられなくて。本当にすごく密度の高いお稽古をさせてもらってきたので、明日は素晴らしい初日になるだろうなと思ってます」
石川禅「半年間私たちは高い高いハードルをいくつもいくつもみんなで乗り越えてやってきて。実在した人物を演じることはたくさんあったんですけど、今もお元気で実在していらっしゃる人物を演じること本当にないんです。最後の高いハードルというのは、限りなくドキュメントに近づけたフィクションで、嘘をつかないで気持ちになり変わって演技すること。そのハードルを飛び越えて行こうと思ってるんですけど、楽しいキャスト人たちが揃ってるので、毎日毎日爆笑しながらやっています」
浦井健治「昨日お稽古をしてまして、袖中で安蘭さんがちえちゃん(柚希)と『始まるってことは終わっちゃうんだね、寂しいね』と話してたんです。6カ月毎日8時間くらいいて、舞台稽古ではスウィングの4名も見守ってくれているんですけど、半ば寂しい顔をしていて、この16人でちゃんと5月まで完走できることを目標にやってこれたんだなという部分が幸せなのと、この作品から人と人ってあったかいんだなということを感じさせていただいているので、大切にしていきたいと思います」
加藤和樹「稽古が始まる間からミュージカル界のアベンジャーズたちと共演するということでドキドキしていたんですけども、稽古を重ねていく中でみんなが同じ時間を共有して、失敗も笑いに変えながら前に進んでいく感覚が、一つのカンパニーというよりファミリーの感じがすごくするんです。不安ももちろんありますけど、長い稽古期間で培ってきたものを舞台上で出して、日比谷界隈で1番エネルギーのある作品に仕上がっていると思います」
咲妃みゆ「お稽古場を振り返ると本当に壮絶だったんですけど、本当に愛おしい日々でした。1人の人間として今後の人生でこことにずっと持っておきたい大切な考え方などを、私自身この作品からたくさん学ばせていただいていることにとても感謝しています。モデルとなったこの作品の方々への敬意を胸に一回一回お届けしたいと思います。見どころは美しい舞台セット、必見です」
シルビア・グラブ「先ほど初めて舞台上で照明とセットと全部合わせて通させていただきまして。M13『Somewhere in the Middle of Nowher』でみんな1列になって上を向いて窓の外を向いた瞬間に涙が出てきちゃって。めっちゃ感動しちゃった。すごいです。これで最後のピースのお客様が入った時にどれだけ冷静でいられるかわからないくらい最高でした」
田代万里生「衣装もナチュラルというかカラフルというか、楽屋でも普段着なのか衣装なのかわからないくらいですし、男性陣は全くメイクをしていません。僕は帽子をかぶるので整髪料すら付けていない。女性もされているけどされていないような方もいて。ガンダーでも突然の出来事なので、綺麗に着飾ったりしてませんが、こんなに日常と非日常のカテゴライズがない作品は初めてです。全部で50公演以上地方を回ります。約100分なので、5,000分くらいこれから僕らは一緒に歩んでいくといことで、ぜひたくさんの方に届けていきたいなと思っております」
橋本さとし「役者のキャリアは中くらいですけど、最も過酷な稽古だった気がします。僕そんなミスらないんですけども、めちゃくちゃミスって。ミスしてもみんなが笑い飛ばしながらやっていますので、稽古は恥のかき捨てと言いますか。いっぱい稽古でミスしながらやっとここまで辿り着いた。北東の果てのニューファンドランド人になりました」
濱田めぐみ「お稽古場にいる時からこのメンバーは1m以上離れずにぴたっと、1日8時間ずっと一緒にいたので、他人じゃなくファミリーで。親族の寄り集まりみたいなニュアンスがあって、そのままステージに上がって、舞台上でも近くでお芝居するんですけど、舞台上にいて不安かなと思って見回すと家族がいる。我々がお稽古場で過ごしてきた半年の中で、積み上げてきたチームワークが垣間見えると思いますし、観客の皆様も毎回一員にになってくださるのだと楽しみで仕方ないです」
森公美子「ハンナという役をやっておりまして、メガネをかけた時はハンナでございます。メガネを取った時は島民ということでございまして、これで皆さん『今は〇〇だな』というのがわかると思います。楽しい稽古場で7kg痩せました。『カムフロムアウェイダイエット』というくらい頑張ってますので、ぜひ観に来てください」
柚希礼音「『全く演じずにやる』ということがテーマで、お稽古中から何度も何度も『演じない』と言われてめちゃめちゃ難しかったんですけど、その度にキャストの皆様が家族のように『こうしたらいいんじゃない』『ああしたらいいんじゃない』と自分のことのように教えてくれるんですよね。作品があたたかいんですけど、キャストのみんなもあったかくて、あたたかさでどうにかなるんじゃないかというくらいぽかぽかとしながら、お客様にあたたかい物語を心から届けたいと思っています」
吉原光夫「あいうえお順なんで、いつも最後で。僕は人の言うことを聞きたくなくて役者やってますけど、この稽古期間中は番号とか位置とか、言うことを聞かなくちゃいけなかったので、地獄すぎて、稽古が早く終わればいいと思いました。でもこの穏やかで誇り高い作品がどう日本の客さんに届くのか。この作品を商業演劇に上げるときにノイズが走るんです。それをどうホリプロさん始め、ミュージカル界のポンコツスターたちがどう穏やかに優しく人に穏やかに思いを寄せてお客さんに向けるかは、まだ始まってないので、初日まで気持ちを緩めずに人の言うことを聞いて頑張りたいなと思います。3.11がある日本、まだ地震が起きたり不安な状態で、人が人を傷つけあう時代に、この作品は穏やかな風を与えると思いますので、心して劇場に来て、楽しんでください」
東京公演は日生劇場にて3月7日〜29日、大阪公演はSkyシアターMBSにて4月4日〜14日、愛知公演は愛知県芸術劇場 大ホールにて4月19日〜21日、福岡公演は久留米シティプラザ ザ・グランドホールにて4月26日〜28日、熊本公演は熊本城ホール メインホールにて5月3日〜4日、群馬公演は高崎芸術劇場 大劇場にて5月11日〜12日。

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