いつ大地震が起きてもおかしくない日本。玄関、キッチン、リビング…<リスクを減らす片づけ>で「体」だけでなく「心」も守ろう

2024年3月8日(金)12時30分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

着なくなった服が押し込まれたクローゼット、本がぎっしり詰まった本棚、使わないお皿だらけの食器棚……。モノで溢れた家にうんざり、という読者も多いのでは。一方、これまでに7000人以上の受講生へアドバイスをしてきた人気整理収納アドバイザー・阿部静子さんは「何があるかわからない時代だからこそ、人生の折り返し地点を過ぎたら片づけたもの勝ち」と断言します。その阿部さんが50代以上に向けて、お手軽片づけ術を伝授。今回は「震災への備え」です。

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大地震はいつどこでやってきてもおかしくない


間もなく3月11日。東日本大震災から13年の月日が経とうとしています。

今年1月1日にも能登半島で大きな地震がおきましたが、大きな地震は日本のいつどこで起きてもおかしくありません。

著者は仙台で東日本大震災を経験したことから、この連載ではこれまでも地震の多い日本だからこその片づけの大切さ、震災を体験して痛感した備蓄や非常袋の重要性、さらには外出時や車中の備えについてお伝えしてきました。

実際、震災は経験したことではじめて気付かされることが多いもの。

たとえば、大地震が来た後に家の中がどうなるかを知っていたら、整理整頓はもちろん、家具の固定などの対策を必須だと考えるのではないでしょうか。地震では、当たり前のように目の前にあるものが突然、凶器へと変わります。

そこで今回はそうしたリスクを減らす片づけについて、場所別にお伝えしたいと思います。

とにかく逃げ道にモノを置かない


まず玄関。逃げ道になる重要な場所ですから、日頃から段ボール箱などを積み上げておく、ということがないようにしましょう。

大きな家具があれば、倒れて玄関が塞がれる恐れがあるので注意が必要。わが家は東日本大震災のとき、下駄箱の上のスペースに置いていた鏡が倒れ、玄関のたたきにガラス片が散らばって、とても危険でした。その経験を踏まえ、今は割れやすいものは玄関に置かないようにしています。花瓶も要注意。

また廊下に本棚を置いているお宅も見かけます。倒れて本が散らばれば、やはり逃げ場を失います。

廊下も逃げ道として大事な場所ですから、出来る限り、モノを置かない方がいいでしょう。

キッチンまわりでの対策


続いてキッチン。震災で、わが家の食器はおよそ半分が割れましたが、持っている食器が多ければ多いだけ、キッチンに散乱して足の踏み場が無くなり、危険です。

被害を少なくするためにも、何年も使っていない食器類は常日頃から減らすことを考えるのが大切です。

また食器棚での収納は、重いものは下、軽いものを上へ入れるのが基本です。地震対策だけでなく、普段の生活でも使いやすくなるはず。

キッチンで見過ごしがちなのが家電。たとえば電子レンジは、高さのある所に置いてあることが多いですが、皆さんのお宅はいかがでしょうか。

震災の時、わが家の電子レンジが落ちてきた話しをすると、「あんな重い物が?」と多くの方が驚かれます。いやいや、電子レンジどころか、家の中では洗濯機が倒れました。もしもの時は「これがまさか?」というものが落下したり、倒れたりする、という視点で家の中を点検してみてください。

寝室に置いておきたくないもの・置いておきたいもの


さらにリビング。今では液晶化して薄くなったテレビ、さらに部屋の棚も容易に倒れ、中のものが飛び出し、収めていた紙類なども散らばります。

モノが散らばるのはやむを得ないとして、地震のときにとっさにどこに身を置くか、という安全な場所は家族で考えておきたいところです。

最後は寝室です。寝室はとにかくモノを最小限に、ベッドの近くに大きな家具を置かない、といったことは当然大事です。

もし寝る場所の周囲にたんすがあるなら、はたして本当にそれが必要か、中に不要な服が入ったままになっていないかといったことを、この機会に確認してはいかがでしょう。また置く以上は、配置にも注意。万が一倒れても、扉を塞ぐ位置にならないようにしましょう。

それから枕元に懐中電灯を置いたり、万が一閉じ込められた時のために、近くにホイッスルを用意しておくのもおすすめです。

体も心も守るために


以上、場所別にお伝えしました。予め起こりうる危険を知っておくことで、防災の意識はより高まります。

皆さんのお宅でも非常用として、懐中電灯や電池を常備されている方は多いと思います。しかしながら、そもそも地震でモノが散乱した結果、懐中電灯も電池も探せない状況に陥った、という話がしばしば。

非常時に使いたいモノをすぐに見つけて取り出せるようにする意味でも、やはり日頃から不要なモノを減らし、定位置を決めておくことが大事です。


体はもちろん、心も守るために”片づけ”を(写真提供:Photo AC)

なお、幸いにも自分や家族に被害がなかったとしても、モノが倒れて散乱した後の家を元通りに片づけるのは非常に大変です。その作業で「心がすっかり折れてしまった」という声もよく聞きます。

日頃から防災を意識した片づけや整理整頓をして、体はもちろん、心も守る対策を行うのをおすすめします。

婦人公論.jp

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