最高峰マジシャンの対決に苦渋の審査…『ぽかぽか』でも活躍の天才・KiLaが語る日本マジック業界の展望
2025年3月22日(土)7時0分 マイナビニュース
●お笑い賞レースに比べて厳しくも的確なコメント
ジャンルの垣根を越えたマジシャンの賞レース『国民的マジックの祭典! 世界が認めた日本人マジシャンNo.1決定戦SP』(フジテレビ系、23日21:00〜)。出場者は日本最高峰のマジシャンとあって、約5時間にも及んだ収録のスタジオには驚きの声がとどろき続け、時には悲鳴が上がる場面もあった。
10人のマジシャンを審査するのは、マジック界のオリンピック「FISM」で日本人プロ初の審査を務めたDr.レオン、「FISM」日本人唯一の優勝経験者・緒川集人、「FISM」現役審査員の桂川新平、2014年ベスト・クロースアップ・マジシャン受賞のKiLa、そしてマジック界の生ける伝説・プリンセス天功の5人。
お笑い賞レースに比べて厳しくも的確なコメントで大会に緊張感を生み出し、最近はフジテレビ系お昼の生バラエティ『ぽかぽか』でも活躍する天才マジシャン・KiLaに話を聞いた——。
○違うジャンルのマジシャンを公平に競わせるために
——収録が終わったところですが、まずは今回のご感想からお聞かせください。
今回の10人の出場者は完全なるプロなんですよ。まずこれが珍しいなと思いました。こういう大会って、どうしてもコンテストを主に活動の拠点にされて、マジックでお金を稼いでいるわけではないという方も混じってくるんですけど、今回は全員がプロというレベルの人で、それをマジシャンが審査をするという形が非常に画期的だなと思いました。
——収録では、審査することについて、「自分がパフォーマンスするより酷でした」とおっしゃっていました。
使うテクニックもみんな違いますし、使わないテクニックがあると点数が低くなっちゃうこともあるので基準を自分で設定するしかなくて。そこが本当に難しかったですね。
——ご自分で基準を設定されていたのですか?
全然違うジャンルのマジシャンを公平に競わせるためですね。今回は、「テクニック」「演技構成」「オリジナリティ」「インパクト」という4つの採点項目がありましたが、「テクニック」の中でも指先の技術や、言葉での相手のコントロールなど細分化して、どの出場者もどこかでちゃんと点数を稼げるようにしたんです。これが理想的なジャッジの仕方かは分かりませんが。
——それでも責任を持って審査をするにあたって、できる限りの準備をされたということですね。
はい、自分なりにやってみたつもりです。
○一般視聴者との乖離を回避「非常に気をつかいました」
——審査員同士で会話されているシーンもお見かけしたのですが、どんなことをお話しされていたのですか?
「あれって、こういうことだよね」とか「あそこって評価していいのかな」といった、僕らにしか分からない裏側の確認作業ですね。それを聞いて点数をすり合わせるということは、一切なかったです。
——ということは、基本的に仕掛けを理解した上で見られているんですね。
もちろんそうです。自分が知らない分野の要素が入ってなければ、出演者によってはどうしても展開が全部追えちゃうから、「もうちょっと騙してほしかったな」という心理が働いたりしちゃうんです。そうすると、一般視聴者の方と僕らとの審査基準、点数の乖離が出てくる可能性があるので、できるだけそれをなくそうと思いながら点数をつけていました。
——そこも含めての審査の難しさだったんですね。
コンテストなんですけどコンテストじゃないんです。正確には「コンテスト番組」なので、視聴者ありきで考えたときに納得感がいかないジャッジをするわけにはいかないので、そこは非常に気をつかいました。
●「お客様の中でプロレスが起こってほしい」
——今回のように、すごい技術を持った若いマジシャンたちを見て、日本のマジック界に期待を感じますか?
今回の10人は、テレビ番組というフィルターを通してもしっかり一般の方々にお届けできる技術、力量を持ったマジシャンだったと思います。そして、30代半ば以下で力量があるマジシャンがこうやって育っているのを皆さんにも見ていただけたというのが、良かったですね。やっぱり若い世代に能力がないと、日本のマジック業界が一般に認知されないですから。
個人的には僕以下の世代で(笑)、一般の方々に知ってもらって、人気のあるマジシャンがどんどん出てきて、「KiLaよりあの人のほうがすごかったよね」とお客様の中でプロレスが起こることを望んでいるので、そのきっかけにこの番組がなればいいなと思いますね。
——逆に課題を挙げるとすると何ですか?
この番組の評判が良くて、また次をやろうとなった時に、それに耐えられるレベルのマジシャンがどれだけ日本にいるか。これが課題です。
——裾野を広げないといけない、ということですね。そういった意味で、今回の番組が全国ネットの日曜日のゴールデンタイムというテレビの一番時間帯で放送されることは、意義があるのではないかと思います。
マジック業界にとってはただただありがたいでしかないですね。「マジックって面白いな」「実際に見に行こうかな」となってくれるきっかけになってくれるんじゃないかと、非常に期待したいところです。
○神田愛花に「気持ち悪ぃ〜」と言われて
——KiLaさんといえば、最近では『ぽかぽか』の「マジックにらめっこ」(※)でも活躍されていますね。
(※)…KiLaが披露するマジックにノーリアクションで乗り切れば勝利という『ぽかぽか』のコーナー
この前スタッフさんに「KiLaさんのところで数字上がってますよ」と言われたので、まだ続けさせてもらえるのかなと思います(笑)
——あのコーナーは結構な頻度でやっていますが、常に新しいネタを見せるのは大変なのではないでしょうか。
ネタが尽きないように頑張らなきゃと思いますよ(笑)。基本的には自分が今までやってきたマジックから引っ張り出して、直して出しているネタが多いんです。
——ハライチの岩井さんにはびっくりさせるネタをぶつけるというお約束もありますよね。
番組側のオーダーにどう応えるかというのが我々の仕事ですから、それに応え続けるのが大事かなと思っています。
——最初に『ぽかぽか』に出演された時に印象深かったのが、マジックに参加された神田愛花さんが「気持ち悪ぃ〜」って言ったじゃないですか。あれってすごく斬新かつ正直なリアクションだなと思ったのですが、言われる側としてはいかがですか?
「気持ち悪い」とか「怖い」は僕らにとっては褒め言葉なので、うれしいですね。
■『国民的マジックの祭典! 世界が認めた日本人マジシャンNo.1決定戦SP』(フジテレビ系、23日21:00〜)
・MC:川島明、チョコレートプラネット
・進行:小室瑛莉子(フジテレビアナウンサー)
・ゲスト:島崎和歌子、藤本美貴、宮舘涼太(Snow Man)
・出場マジシャン:アツシオノ、izuma、佐々木俊一、JONIO、SORA、高重翔、Cherry、MASA MAGIC、RYUHEI、LUNA