長澤まさみ、実はラブストーリーは苦手 でも新作は「自分が演じるためにある感じがした」

2024年3月26日(火)7時0分 クランクイン!

俳優の佐藤健が主演を務め、川村元気の恋愛小説を映画化する『四月になれば彼女は』。“心に刺さる”ラブストーリーとして注目を集める本作で、佐藤演じる主人公の婚約者で、結婚式の準備が進む中、『愛を終わらせない方法、それはなんでしょう』という謎掛けを残して突如失踪してしまう獣医・坂本弥生を長澤まさみが演じる。謎めきながらも等身大な悩みを抱える女性を説得力たっぷりに体現した長澤に、本作出演への思いを聞いた。

◆弥生役にあてがきのような印象「自分が演じるためにある感じがした」



 精神科医の藤代俊(佐藤)のもとに、かつての恋人・伊予田春(森)から手紙が届く。“天空の鏡”と呼ばれるウユニ塩湖からの手紙には、10年前の初恋の記憶が書かれていた。ウユニ、プラハ、アイスランド。その後も世界各地から届く、春の手紙。

 時を同じくして藤代は、婚約者の坂本弥生(長澤)と結婚の準備を進めていた。けれども弥生は突然、姿を消す。「愛を終わらせない方法、それはなんでしょう」。その謎掛けだけを残して。春はなぜ手紙を書いてきたのか? 弥生はどこへ消えたのか? 2つの謎はやがてつながっていく。「あれほど永遠だと思っていた愛や恋も、なぜ、やがては消えていってしまうのだろう」。現在と過去、日本と海外が交錯しながら、愛する人の真実の姿をさがし求める“四月”が始まる。

——今回演じられた弥生はどこか謎めいた女性でありながら、多くの女性が共感できるような繊細さや心の揺らぎを抱えるキャラクターでした。



長澤:弥生という役には、あてがきで書いていただいているのではないかと感じる部分が多くありました。原作者の川村元気さんにはプロデューサーとして何作もお世話になっているので、「こういうふうに思っているのかな?」って(笑)。うまく私の人間性みたいなものを役に反映している感じがして、すごく演じやすそうだなと思いました。

弥生はちょっと行動が突拍子もないというか、大胆な行動をするところがあるので、共感というよりも驚くところもありました。恋愛をしている人たちの本質みたいな部分を突いているのかなと思いながら、理解を深めていきました。

——あてがきと感じられたということは、弥生という女性は長澤さんの中にすんなり入ってきたのでしょうか?



長澤:すんなりではないですね。嫌だなというか…(笑)。私はこういう人じゃないけど、弥生のあやうさというか、そういったものを求められているように感じました。そんなに似ているわけではないのですが、でも確実に弥生は自分が演じるためにある感じがしたんですよね。理解できないことのほうが多いけれど、弥生を演じられたらとても深いところに行ける気がしたというのはありました。

◆実はラブストーリーは苦手


——弥生は、胸の中にある言いたいことを言えず、抱え込んでしまうようなところがある女性です。長澤さんご自身はいかがですか?



長澤:私は、はっきり言う時は言うんですけど、我慢をしちゃうタイプなんです。言いたいことを我慢して、そのまま言わずに終わっちゃうかな。そこは自分の改善したい部分かもしれないです。言わないまま、そのままにしちゃいがちですね。後悔はしないけど、もうちょっと向き合ってもよかったかなと思う時もありますが、過去に戻ってやり直したいとかはないですね。その時の自分がそれだったと受け入れて、今後に生かしていきたいタイプなんで(笑)。

今回この作品を観て、きちんとその都度お話するというか、会話をすることって大事だなと改めて思ったんですよね。恋愛だけにかかわらず、人と関係性を築く上ではやっぱり会話というか、意思の疎通というのはとても重要だと思うし、それは相手に対しての思いやりでもある。そういうところを自分も見直したいなという気持ちにさせられたので、本作には恋愛だけじゃないメッセージ性があるんだなと感じました。

——婚約者である俊を演じた佐藤健さんとは今回が初共演というのが驚きでした。



長澤:CMでの共演はあるのですが、一緒にお芝居するのは初めてだったので、意外な発見がたくさんあって面白かったです。佐藤さんはサービス精神が旺盛だなと思いました。いい作品を作って楽しんでもらいたいという思いで芝居をしている感じがしました。

シャイな方だとも思うし、つかみどころがなくちょっと近寄りがたいかなという印象が若干あったんです。でも、一緒に仕事をしてみたら、とても情深いというか、きちんと仕事に対して真摯に取り組んでいる方だなと。私が思う仕事に対する価値観を理解してくれるような、心の広い人でしたね。かっこよくてシャキっとした人を演じることが多いから、そういう役のイメージがあったせいかもしれないですが、とても穏やかな人だったことが意外でした。

——以前インタビューで、長澤さんもご自身を“サービス精神旺盛”とおっしゃっていました。



長澤:実は私もそうなんです(笑)。取り組み方は違うけれど、俳優としてお客さんに満足してもらえるものを作ろうという気合いはお互いにある気がしますね。

——長澤さんが、本作のような王道のラブストーリー作品にご出演されるのは久しぶりな感覚があります。



長澤:あぁ、そうかもしれないですね。ダー子の時間が長かったので(笑)。ラブストーリーは苦手なんです、私。ラブストーリーのような出来事を実生活で送ったことがないので、“わかんない!”“恥ずかしいじゃん”みたいな感じなんですよね(笑)。でも、特に若い時にはラブストーリーに出演することが多くて、“恥ずかしいな”“いやだな”と思いながら演じていた時もありました、照れちゃって。

年齢と作品を重ねて、今ではお芝居というフィルターがあるからこそ、セリフやシチュエーションを自分の中に受け入れていくことができるようになりましたが、お芝居じゃなかったら、こっぱずかしくって“こんなの絶対ないよ!”って思っているタイプかもしれないです(笑)。

でも叶うのであれば、これからもその年齢に応じた恋愛を演じられたらうれしいですね。

——ストーリーの中で『愛を終わらせない方法』というキーワードが出てきますが、長澤さんは『愛を終わらせない方法』はどんなことだと思いますか?



長澤:“与えること”ですかね。求めるばかりではやっぱりバランスが悪くなるし、どうしても自分が欲する側で相手に求めることばかり想像することが多いから、注ぐほうになってもいいんじゃないかと思う時もあります。そんなふうに向き合えたら、愛を終わらせずに育てていく方法というのを見出せるのかなと思います。

◆念願のカメラを注文中


——本作では、ウユニ塩湖、プラハ、アイスランドの絶景も見どころの1つです。長澤さんがこれまで旅した場所で忘れられない風景はありますか?



長澤:ブラジルですね。CMの仕事で行ったちょうど次の週からリオのカーニバルが始まるというので、これは見るしかないと延泊して。いつか見てみたいと思ってたんですよね。熱気がすごかったです。カーニバルって大きい通りを何時間もかけて練り歩くんですけど、街中でもみんなが踊り始めて、その踊り始めたところが輪になって、いたるところで“プチカーニバル”が始まるんです。

踊るってことに対しての情熱と生命力みたいなものを感じて、うれしいとか楽しいを言葉と同じように踊りで表現して、踊ることが自分のアイデンティティみたいになっていることにびっくりしました。「こんな情熱、私にはあったっけ!?」と思うくらい、いい経験でした。

——本作では、“カメラ”も重要なモチーフとして登場します。



長澤:実は今年始めようと思っていて、カメラを頼んでいるんです(笑)。前々からカメラはどこかのタイミングで買うとは決めていて。

きっかけは、昨年京都でお寺巡りをしていた時に、カップルの女性が写真を撮っていたんですね。彼のほうはベンチに座って、急かすわけでもなくただ待って、その時間を楽しんでいて。その2人を見た時に、「ああ、いいな。いい時間の使い方だな」と思ったんですよね。その時その時を大切にしようとシャッターを切っている彼女もステキに見えたし、その時間をいい時間だなと待ってあげて共有している男性の佇まいもステキで。そうやって時間を堪能する2人の姿を見たときに、“これは私もカメラで何かを収める時がきた!”と思って(笑)。

スマホで動画を撮るのも結構好きなんです。周囲の人のおかしな瞬間を撮るのが好きで、後で見返してププって笑ったりしています(笑)。

(取材・文:田中ハルマ 写真:高野広美)

 映画『四月になれば彼女は』は、公開中。

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