「初めてのナタデココ」「サウナの後」…斎藤工、映像クリエイターとしても受ける『こどもディレクター』の刺激

2024年3月26日(火)22時0分 マイナビニュース

●VTRを見つめるのは自分と向き合う時間
ビデオカメラを渡された街の人が“こどもディレクター”となって、自分の親に「聞きたいけど聞けない」疑問を取材したVTRを紹介する中京テレビ・日本テレビ系ドキュメントバラエティ番組『こどもディレクター 〜私にしか撮れない家族のハナシ〜』(4月3日スタート、毎週水曜23:59〜)。特番時代からスタジオでVTRを見守り続けてきた斎藤工は「“他人事が我が事になる”不思議な番組」と表現し、自身も映像制作を手がける立場だからこそ、受け取るものが多い様子だ。
そんなこの番組の魅力や向き合う姿勢を、企画・演出の中京テレビ・北山流川氏(『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』)と、監修の元テレビ東京・上出遼平氏(『ハイパーハードボイルドグルメリポート』)へのリスペクトとともに語ってくれた——。
○SNSと対極的なものにカメラを向けている
今回のレギュラー化に際し、「もちろん毎週楽しみに受け止めてほしいんですけど、偶発的に出会うのにふさわしい番組でもあるなと同時に思っているんです」という斎藤。
その真意を、「途中から見て登場人物を一から理解しなくても、自分の“前とこれから”につながってしまう感覚があるんです。この“他人事が我が事になる”タイミングがどこなのか分からないんですけど、そうなっていくんですよね」と述べた上で、「初めてナタデココを食べたときのような、ちょっと類を見ない味わいなので、“1回食べてみて!”と声を大にして言いたいと思います」とアピールする。
特番では、スタジオのシソンヌ長谷川忍が、VTRの親子の物語と自分自身を重ね、両親に思いを馳せて涙していたが、まさに“他人事が我が事になる”を象徴する場面だった。
そうした貴重なVTR素材を撮影してくれる“こどもディレクター”たちに対し、「SNSによって他人と接続できることが簡易的になっていると思うのですが、この番組はSNSとは対極的に最も普段見せなくないようなものにカメラを向けているじゃないですか。それによって次の一歩に進むという大きなメッセージがあるので、襟を正して向き合いたいと思います」と気を引き締めた。
○「僕らが味付けを加えすぎないことが大事」
VTRにナレーションが一切入っていないというのがこの番組の大きな特性だが、「本当に見つめてくれる視聴者の方がたくさんいると思うので、ノイズにならないことのほうを優先すべきだと思います」と、自分が過剰に説明や補足を入れないことを意識。
また、「編集やテロップという部分の演出をテレビのプロフェッショナルの方たちが仕上げているところに、また特性があると思うんです。“こどもディレクター”の皆さんから受け取った言葉を(企画・演出の)流川さんたちが大事に仕上げていると思うので、僕らがスタジオで味付けを加えすぎないことが大事だと思います。バラエティの収録としては、逆説的な運行が成り立つというか、それしか成り立たない番組だと思います」と捉えている。
一方、VTRを受けたゲストとのトークは、それぞれが自身の体験も交えながら、ここでしか明かされない話が出てくることもあるだけに、「普段ならシンプルすぎて聞けないような質問も、このスタジオならできるんです」とのこと。
VTR明けの精神状態を、「体から邪気が出てきたというか、サウナの後みたいな感覚になるんです(笑)」と表現し、「それくらいVTRを見つめる時間というのは、自分と向き合ってる時間なんですよね。鏡を見ているような感じがあるので、それをゲストの方と共有することで、視聴者の方ともつながることになると信じています」と期待した。
●監修&演出が懇願「末永くいていただきたい」
スタジオで見守る自身の役割を、「思いを寄り添わせることしかできない」と謙そんしながら、「上出さんと(北山)流川さんが作ってくださったこの“装置”的なものは、本当に後世に残すべきだと思うんです。だからスタジオに僕がいなくても、むしろVTRを見守る人がいなくても成立するような番組になっていったらいいなと強く思います」と希望する斎藤。
これに対し、北山氏は「僕も特番の最初で“こどもディレクター”になったのですが、それを放送で見たら、スタジオの斎藤さんとYOUさんがすごく優しい表情で見守ってくれ、温かい言葉をかけてくれて安心感がものすごくあったんです。それが自分としても大きくて、“こどもディレクター”の皆さんにとっても心強いと思うので、これからもいてください(笑)」と懇願。
上出氏も「この番組の1つの特異性は、我々スタッフはもちろんディレクターだし、カメラを渡された人もその瞬間からディレクターだし、見守る斎藤さんも映像の監督をされるディレクターなので、こんなにディレクターだらけの番組って相当変で、相当面白いんです(笑)。また、斎藤さんの反応を見て“そこか!”と気付かされることもある。“常にお茶の間のテレビがついているところがリアル”と言ってくれたのですが、今までの番組だったらそのシーンは“これ切っちゃう?”ってなるところなんですよ。そうやって新しい目線を持ってくださることで、僕らもスリリングな経験ができるので、映像をやりたい人の教科書的な役割を担うかもしれないし、斎藤さんには末永くいていただきたいと思います」と願った。
○あふれる才能に溺れそうになる
俳優業に監督業、プロデューサー業と多忙な日々を送る斎藤は、この番組が英気を養う場にもなっている様子。
「切迫してくると、自分の半径だけでしか物事が動いていないような気がしてくると同時に、情報が多すぎて自分の時間のキャパをオーバーしてしまうようなことを、ここ数年ものすごく実感しているんです。でも、この番組で人様の当たり前に動いている時間というものに触れることで、僕自身に色づく何かをもらっているのを感じます。
 それに、上出さんと流川さんのあふれる才能に、たまに溺れそうになるんです(笑)。彼らや番組のディレクターさんたちが“こどもディレクター”と触れ合って全力でサポートして、守るべきものを守りながら一緒に作品を作っていく姿を目撃できるというのは、すごく贅沢だなと思っています」
ちなみに、自身が“こどもディレクター”を務めることになったらどうするかを聞かれた斎藤は「一番カメラを向けたくない場所に向けてみるところから始めると思います」と回答。
「誰かの言っていた言葉で“あなたが求めているものは、あなたが避けているものの中にある”というのがあって、そこにつながると思っているんです。この仕事をしていると、どこかで擦りむいて、そのかさぶたみたいなところが唯一の成長の伸びしろなのかなと思っていて。上出さんや流川さんというそれを背中で見せてくれる人たちと、この番組で一緒に“乗組員”になれていることで大きな影響を受けています」と、映像クリエイターとして刺激になる番組になっているようだ。

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