年金月5万円・73歳の紫苑が節約生活でむしろ楽になったこととは…「無料サービス」は結局<高くつく>

2024年4月17日(水)6時30分 婦人公論.jp


紫苑さん(写真:『73歳、月5万円でますます快適! 「ちょうどいい」を自分で創る ごきげんプチプラ生活』より)

2024年1月に、年金額が昨年度から2.7%引き上げられましたが、物価高もあり、将来に備えてお金を貯めたくてもなかなか貯まらない…と悩む方も多いことでしょう。そこで今回は、年金月5万円でも楽しく暮らすブロガー・紫苑さんに、節約術やお金との向き合い方を教えていただきました。紫苑さんは「まず千円で買えるものを考えてみてください」と言っていて——。

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千円の偉大さを知る


少し前に『三千円の使いかた』(原田ひ香 中公文庫)というベストセラーがありました。

祖母を含めた年代別、収入別でのそれぞれの節約ぶりを描き、「節約小説」として話題になりました。

「三千円の使いかたでその人がわかる」という切り口が軸で、それぞれが何を選ぶかを知るのも参考になりましたし、三千円で何が買えるかを考えることで、お金の使い方全般を考えさせられたものです。

ではここで、その3分の1の千円で買えるものを考えてみてください。

百均なら消費税込みでも9品、文庫本1冊ならお釣りがきます。

食品でいえば、鶏むね肉ならおよそ1キロ、魚なら刺身パック、旬の野菜なら何種類も、果物だってバナナやリンゴからその季節ならではの梨、イチゴ、ブドウと結構買えることに驚くはずです。

実験


もう一つ試していただきたいのは、千円で買った材料で何が作れるかです。

わたしは百均グッズでキッチンをリメイクし、三段ラックに扉を付け、100円の布でエプロンやブラウス、帯まで作りました。


『73歳、月5万円でますます快適! 「ちょうどいい」を自分で創る ごきげんプチプラ生活』(著:紫苑/廣済堂出版)

料理では焼きサバと味噌汁、副菜に小松菜と豆腐の煮物……。肉料理なら、鶏むね肉に塩で味付けしてレンジで焼き、じゃがいもと人参でポテトサラダ……。それでも余るはずです。

もちろん、食材だけで料理ができるわけではなく、ここに味噌、醤油、塩、味醂、ごま油などの調味料を足していくわけですが、最初の実験は、今ある調味料を使って作ってみてください。それで何日くらいいけるか。

ただし、千円で長い日数を持たせることが目的ではありません。自分の適量がどのくらいで、それがどのくらい持つか、それを知るための「実験」です。

そして千円の威力、偉大さを知ってください。

この千円の偉大さを知ることで、ときには牡蠣、サーモン、エビ、鯛……いつもと違う食材でバラエティを持たせています。

生活に十分なバラエティを加えてくれる額、それが千円なのです。

それがわかってから、余計にムダな千円は使わなくなりました。カフェで使う千円で「より豊かな食材が買える」と思うからです。

無料サービスは高くつく


初月(初回)無料、無料体験、無料窓口相談……今や無料のオンパレードといっていいかもしれません。

わたしも何度か試したことがありますが、これはかなりしっかりした人でないと「逃げ切る」のは難しいと感じました。

わたしの場合、ネットオークションで着物などを買ったとき、「あと何点買っても送料は同じ」という言葉にかなり動かされました。

「それなら、欲しかったあれもついでに落札しちゃおう」と競争に参加、どんどん値が吊り上がっていっても、「送料は無料だから」とつい自分に甘くなっていました。

結局、「送料無料」は高くつきました。

特に、対面の無料サービスが難しい。きっぷのいい人、人前でいいカッコをしたがる人はつい、というケースが多いようです。

わたしもかつては「ええカッコしい」のフシがありましたから、よくこの手のサービスに乗ってしまったものです。

選択の煩わしさ


無料サービスが多くの人の興味を引くのは「無料だから」の魅力以上に「選択の面倒さ」と「好奇心」が作用しているようです。

プチプラ節約生活を実行するなかで楽になったことの一つは、「選択の煩わしさ」がかなり減ったことです。

使う色や質を限定することで、選ぶ手間がかなり少なくなり迷う時間やエネルギーが抑えられました。

一般的には、「無料」という言葉をみると、まずは試してみようかとの心理が働きます。迷いがなくなり、ハードルが低くなるのです。

節約生活を始めて、毎月掛け金を払っていた保険を解約するために「無料相談の窓口」に何回か相談に行きました。

そのときはすでに「絶対解約。ほかの保険にも入らない」と決めていたので、当時の保険を解約して、その解約金で「お得な投資」を勧められたときも、きっぱりと断ることができました。

人が働いている限り「無料奉仕」はあり得ません。どこからかお金が出ているのは当然です。

では、そのお金はどこから出ているのか? それを考えれば、無料の仕組みが見えてきます。

※本稿は、『73歳、月5万円でますます快適! 「ちょうどいい」を自分で創る ごきげんプチプラ生活』(廣済堂出版)の一部を再編集したものです。

婦人公論.jp

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