【レビュー】多くのJRPGに影響を与えた不朽の名作が『LUNAR リマスターコレクション』で復活 高解像度化とシステム調整で快適なプレイが実現
2025年4月18日(金)16時0分 クランクイン!
本作に収録される2作は、メガCD用向けに発売されたRPG『LUNAR ザ・シルバースター』(1992年)と『LUNAR エターナルブルー』(1994年)のリメイク作であり、どちらもアニメーター・窪岡俊之氏の描いた魅力的なキャラクターたちが繰り広げる王道な冒険譚と、随所に挿入されたハイクオリティなカットシーンが好評を博した名作JRPGだ。今回の『LUNAR リマスターコレクション』では、『LUNAR』『LUNAR2』ともにPlayStation版のグラフィックを再現した「クラシック版」と、ワイドスクリーン対応や高解像度化、バトルの戦略設定システムに新オプションを追加などの品質向上が施された「リマスター版」がプレイできる。
■世界を守るため旅立つ少年少女たちの色褪せない冒険譚
両作は「青き星」を廻る魔法世界「ルナ」を舞台にしており、それぞれの大まかな物語は以下のようになっている。
●『LUNAR シルバースターストーリー』
かつて世界を救った英雄の一人、ドラゴンマスター・ダインにあこがれる少年・アレスは、幼馴染の女の子・ルーナ、友だちのラムスと探検に出かけた「白竜の洞窟」で白竜と出会う。白竜から出された試練に合格したアレスは、ドラゴンマスターになるため、そして突如現れた世界征服を狙う謎の魔法皇帝の魔の手から世界を守るため、仲間たちと旅立つ。
●『LUNAR 2 エターナルブルー』
舞台は、アレスたちの冒険から長い年月がすぎた世界。考古学者の祖父の影響で竜やドラゴンマスターに興味を持つ、好奇心旺盛な少年・ヒイロは、遺跡で青い星から来た謎の少女・ルーシアと出会う。彼女の目的は、世界を創造した女神・アルテナに会うこと。女神アルテナを探し、ルナの滅亡を企む邪悪な破壊神ゾファーの陰謀を阻止するためヒイロたちは冒険に出る。
ゲームの流れは、訪れる先々で人と会話をして情報を集め、敵やモンスターとのバトルで経験値と所持金を増やし、冒険をしていくオーソドックスな作り。バトルもターン制のコマンド選択式でわかりやすいが、本作独自の要素として、“移動”や“リーチ”という要素がある。
主人公たちが装備できる武器や装備にはリーチがあり、キャラクターによってそのリーチも異なる。武器で通常攻撃を行うときは敵の近くまで自動で移動してから攻撃をする(弓や魔法、技などは移動せずに攻撃可能)。遠くにいる敵を近接武器持ちのキャラで攻撃しようとすると、移動だけでターンを消費してしまい攻撃ができなくなってしまう。このルールは敵にも適用されるため、位置取りによって状況が不利にも有利にもなるのがユニークだ。
■現代でも通用するアニメカットシーンもリマスターで超美麗に
ここまでに掲載した画面写真を見てもらえたら一目瞭然だと思うが、今回のリマスターはとにかく画面が綺麗だ。丁寧に書き込まれたドット絵はPlayStation版から改良がされより繊細に。随所で流れるアニメカットシーンも高解像度化で美しくなっており、筆者はゲームを起動するたびオープニングアニメを眺めてしまった。
また、本作は「クラシック版」と「リマスター版」でセーブデータを共有しているため、途中からどちらかのバージョンに切り替えたくなっても、同じセーブデータから冒険を再開できる(切り替えはタイトル画面から可能)。これを利用すればカットシーンをリマスター前後で比較して鑑賞するといった遊びも可能だ。
■気になったところと総評
JRPGの草分け的存在として名作と語られてきた2本だけにストーリーの面白さは間違いないし、Nintendo Switch版でもロードが早く快適にプレイができた。気になるところがあるとすれば、元が昔のゲームゆえにわかりやすいチュートリアルが存在しないところだろうか。それほど複雑なシステムがない作品なので普段からゲームを遊ぶ人なら迷わないと思うが、バトルやメニュー画面など細かなところで説明がないのが少し不便に感じた。ここはせめてPlayStation版の説明書がゲーム内で見られると資料的な意味でも嬉しかった。
今回のレビューで初めて「LUNAR」シリーズに触れたが、なぜこの作品が長年多くのゲーマーに支持されるかを知ることができた。ひとつひとつのキャラクターやイベントが丁寧に描かれ、遊ぶ者をワクワクさせる王道の冒険物語は、現代のRPGにも決して負けない魅力にあふれている。往年のファンはもちろん、本作で「LUNAR」を知った新規ユーザーは、ぜひこの機会にJRPGの未来に影響を与えた不朽の名作を遊んでほしい。
『LUNAR リマスターコレクション』は、PS4(PS5互換)/Xbox One(Xbox Series X|S互換)/Nintendo Switch/PC(Steam)向けに発売中(※ダウンロード版のみ)。