足立レイが歌い上げた9分間の奇跡『鳴り止まない喜びと共に!』 展開の読めなさがクセになる音楽ドラマに「この長さでコメントが尽きないの凄い」「終わらないで」の声
2025年4月19日(土)17時0分 ニコニコニュース
大勢のボカロPたちによる、いわば「渾身の一作」が集う場ともなるシーンの一大祭典「The VOCALOID Collection」。
各部門ランキング制となるがゆえの順位付けが生まれる一方で、そんな数字を度外視した場所でたくさんのリスナーを感動させ支持を得る、“記憶に残る”楽曲も多数生まれる。
それもまた、ボカコレというイベントの醍醐味のひとつだろう。
今年2月に開催されたボカコレ2025冬でも、そういった貴重な評価を得た名曲が複数登場していた。
ボカロP・Mealerrandによる足立レイ歌唱曲「鳴り止まない喜びと共に!」もまた、そんな大勢の“記憶に残る”1曲となったのではないだろうか。
文/曽我美なつめ
MVを再生して、大半の人がまずその楽曲の再生時間の長さに驚いたに違いない。
動画の時間は8分50秒。近年多くの音楽シーン・ジャンルでどんどん楽曲が短縮される傾向にある中で、この曲の長さは大作と呼んで差し支えないボリューム感だ。
だがその中でも「聴き手を飽きさせない」要素として、いわばこの曲は終始「次にどんな展開が来るかわからない」作品ともなっている。
そしてそれこそが、今曲が約9分もの大作でありつつも、ボカコレ2025冬にてTOP100部門19位という好成績を残した理由のひとつなのだろう。
楽曲は足立レイの歌声とピアノの伴走から静謐に始まったかと思えば、その印象を覆すように華やかなブラスサウンドがすぐさまメロディを彩り出す。
その後もミニマルな構成と壮大で煌びやかなオケが入れ変わるように展開し、ギターソロのパートや8分の6拍子などといった、音色・ビートを問わずバラエティに富んだサウンドで楽曲は進行していく。
その構成は否が応でも大勢のリスナーの興味を惹きつけて離さないと言えるが、当然楽曲内の表現レパートリーは増えれば増えるほど、それを巧みにひとつにまとめ上げるハードルは上がっていく。
それを絶妙なバランス感で両立させた点も、今曲の高い評価に繋がっているはずだ。
重ねて大勢の聴き手を感動させたのは、やはり純度100%の機械音声・足立レイの歌う「音楽讃歌」とも言うべき歌詞となる。
従来のVOCALOIDほか合成音声ソフトとは明確に出自が異なる、純粋なメカニックヒューマン・足立レイ。
機械が本来持ち得ないはずの感情、「音楽を愛する心」「歌う事の喜び」を鮮烈に描いた矛盾点もこの曲の大きな物語性であり、強い魅力として多くのリスナーを魅了していると言える。
他のどんな音声合成ソフトが歌うより力強い説得力にあふれた、機械の歌う音楽讃歌。
どんな曲にも、音楽を聴く時間そのものにも必ず終わりはある。
だが音楽を聴く人がこの世からいなくなることはない。歌を歌う人が、この世からいなくなることもない。音楽の相反性と恒久性、その喜びを高らかに歌い上げた曲として、今作はこれからも多くの人の心に感動を残していくことだろう。
「The VOCALOID Collection」 公式サイト
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