「教える=分身を作ること」社員を管理しない派VS教えまくる派が激論 フジテレビのガバナンス不足から考える“教育と管理”
2025年5月10日(土)7時30分 ABEMA TIMES

実績のある経営者が日本の課題に挑む全く新しい「実績重視」の政治トーク番組、ABEMA『For JAPAN シーズン3 #6』が5月9日に配信。フジテレビ問題で第三者委員会から指摘された企業ガバナンスをめぐり、「社員への教育と管理」について経営者たちの議論が白熱した。
株式会社新栄建設 代表取締役 阿部将氏は「管理しないことが管理」と主張する。
「教育とか『何か教えなさい』ということを僕はしない。『いいことは教えない』。いいことは十人十色で何色もの色があって成り立つもの。会社もいろいろな色があるからこそ出来上がっていく。悪いことだけを教えて、聞かれても教えず、『見て感じてください』というスタイルをずっと貫いている」
番組MCの古舘伊知郎は「教わるな感じろ? ブルース・リーみたい」と驚き、「『何も教えてくれない』と不平不満は出ない?」と確認した。
これに対して阿部氏は「出ている。でも教える=僕の分身を作ること」と返答し、真意を語った。
「成功は自分で導き出してこそ成功。『こうしなさい』に『パワハラだ』『僕はこうしたいのに』『成功はいっぱいあるのになぜあなたの意見を全部聞き入れてロボットにならないといけないのか』と受け取る人もいる。だから聞かれても『自分の色を出しなさい』『自分で自分を作っていきなさい』『教えている途中で(僕が)死んでしまったら未完成のまま終わってしまう』と」
古舘は「なるほど、これは難しいテーマ。若い人には『染め抜いてくれないとどうしていいか分からない』というタイプもいる。自主性を持っている人には素晴らしいが」としてスタジオの経営者たちに意見を求めた。
株式会社開拓塾 代表取締役 岡田竜馬氏は正反対の立場を表明する。
「僕は教えまくる。ただし、『教えてもらうのは本来お金を払うもの。タダで教えてもらうことを当たり前と思ってはダメ』と何度も言う。(開拓塾は)30人の生徒の中に先生1人。無駄話をしまくる先生や当てずっぽうな授業などをやっても分からないため、サービスを受ける顧客の不利益にならないよう全教室ビデオ管理をしている。最終的に個性はあっても共通項の明確さがなければそれは開拓塾ではない」
これに古舘は「わかる」と同意しつつ、「ただ、阿部氏が言われた『他者の色に染めてしまったらその人のいいところが伸びない』ということはあえて置いておく?」と確認。
岡田氏は「人間はその1個に対して追求するといろいろなものが生まれる」と説明。古舘がさらに「ガーッと押しつけようとしても結果“自分色”は滲んでいく」と意図を汲み取ると岡田氏は首肯した。
個性を発揮させる方法とは?

高圧ガスなどの販売を行う株式会社三光堂 代表取締役会長CEO大野正和氏は「私たちは仕事上、法律に基づいてルールが決まっているので、それはピチッと管理して教える。でも一人前になれば後は自由に自分の考えでやってもらっている」と説明。
ヘッドコンシェルジュ株式会社 代表取締役社長 滝村晃平氏は「方針を言語化することは大事だ。うちも技術職なのでベースは研修レッスンの中で教え、『その後で工夫や個性は出しましょう』と書いてある。そうするだけで気持ちも変わり、空き時間があったら6・7年働いているメンバーでも『ああでもないこうでもない』とやり続けている」と実情を語った。
ここまでの議論を受けて阿部氏は「管理というか『右』と言ったときに『右』を向く。一丸になっているところは間違いなく他の会社よりも強いと実感していて信頼している。だからこそ『管理しない』が生まれる。今の(みなさんの)意見で僕はいい。これが十人十色。みんなが『そう思います』と言うとまた違う話になる」と述べた。
これを受けて古舘は「ベースの色が一色になっているから、そこからは色鉛筆でいい」と確認すると、阿部氏は同意しつつ「個性は活かしてほしい」と話した。
Forbes JAPAN Web編集長の谷本有香氏は「皆さんは同じことをおっしゃっているような気もしている。もちろんどの部分を管理したいかは会社によるとは思うが、大きなビジョンを持って、『HOW』部分でそれぞれの意思を尊重している阿部氏と、他の皆さんも同じだと思う」と述べた。