「私から結婚したいと言って、プロポーズは大晦日に…」体操メダリスト・村上茉愛(28)が初めて明かす、夫との“馴れ初め”と結婚生活

2025年5月18日(日)12時10分 文春オンライン

〈 性的なコメントに「自分がすり減るような感覚が…」体操・村上茉愛(28)がアスリートへのハラスメント問題に思うこと 〉から続く


 東京五輪で日本の女子選手として初めて個人種目でメダルを獲得した、体操の村上茉愛(まい)さん(28)。2021年に現役を引退、2023年には体操男子日本代表のトレーナーを務める森田敦士さんとの結婚を発表した。


 大学での出会い、そして結婚を決めるまでの背景とは……? 「こんなに彼について話すのは初めて」とはにかみながら、2人の関係性について赤裸々に明かしてくれた。(全3回の3回目/ 最初 から読む)



村上茉愛さん。2021年の東京五輪では種目別ゆかで銅メダルを獲得し、同年10月に現役引退。母校日本体育大学のコーチを経て、2024年11月、日本体操協会の体操女子強化本部長に最年少で就任した ©松本輝一/文藝春秋


◆◆◆


出会った当時はお互い18歳だった


——2023年にトレーナーの森田敦士さんとご結婚されました。指導者としての悩みなどを夫婦で話したりされますか?


村上茉愛さん(以下、村上) もちろんです。頭に浮かんだことは何でも口にしますね。悩みを相談したりすると、「分かるけど、でも頑張りな」っていつも背中を押してくれます。


 夫は体操男子ナショナルチームのトレーナーなんです。だから体操界のことをよく知っているし、私の性格も熟知している。何よりトレーナーなので体の仕組みを知り尽くしていて、「それはトレーニングの問題ではなく、そもそも体の動きが違っているんじゃないの」などと、具体的なアドバイスももらったりしますね。


——そもそも、どこで知り合ったんですか?


村上 大学の同期なんです。知り合った当時はお互い18歳でした。彼は体操選手でありながら学生トレーナーもやっていたんです。でも同期の仲間以上の感情は全然なくて、私が練習後に体のケアをしてもらったり、また彼がケアの方法で悩んでいる時に、「私の体で試してみなよ」とか言ったりする普通の友達。


 一緒に学食に行ったり、お互いに寮生活だったので、時間が合えばラーメンを食べに行ったりもしたかな。


性格は正反対で、はじめは恋愛感情ゼロだった


ーー仲の良い同期、だったんですね。


村上 彼は真面目で口数も少ない方なんですが、私は思ったことはすぐに口にするし、行動もするタイプ。静と動でウマが合ったんですよ。私が感覚的なことを喋ったりすると「それは、こういうことね」とロジカルにまとめてくれて「なるほど、そう表現すればいいんだ」と感心したり(笑)。でも、恋愛感情はゼロでした。


ーーそこからどのように恋愛関係に?


村上 色々と競技での悩み事などを相談していましたが、まだ恋愛関係に発展することはありませんでしたね。ですが、かなりメンタルヘルスを整えてくれていたなと思います。


——話を聞いてくれたということですか。


村上 はい。心の中にある棘みたいなものを抜いてくれるのが上手いんですよ。聞き上手というか。元々口下手な人だったけど、選手のケアをしているうちに、相手の本音を引き出すのが上手くなったんだと思いますね。その選手がどこに問題を抱えているか的確に判断するには、その人の言葉を一言も漏らさずにキャッチしなければならないと思うので。


 私も彼と話しているうちに、前を向けるようになったんですよね。


「結婚したいと言ったのは私の方から」


——結婚を決意したのはいつ頃だったのでしょうか。


村上 結婚したいと言ったのは私の方からですね。私は25歳で引退するまでずっと大学の寮生活だったんです。プライベートな部分を優先してこなかったし、周りに話もしてなかったから、それが結構きつくて……。だから引退を機に、一緒に暮らし始めました。


 ただ……私は引退して一区切り、という感覚でしたが、彼は卒業と同時に専門学校に通っていたこともあって、トレーナーとして経験を積みたい時期だった。私はすぐにでも結婚したかったけど、式を挙げるならお金も必要ですし、彼はまだ無理だと。「じゃあ、いつ?」と聞くと「来年かな」と言われたので「じゃあ、1月1日ってこと?」って。


——村上さんがリズムを作っていたんですね(笑)。


村上 そういう性格なんですよ(笑)。でも当時、彼は彼で悩んでいたようでした。


ーーどういったことを?


村上 村上茉愛の相手が自分でいいのか、今の自分が受け止められるのかどうか、と。そんなことをお義兄さんに相談したところ「茉愛さんが今の君を好きでいてくれるならそれでいいんじゃない」と、背中を押されて、覚悟を固めてくれたみたいです。それが2022年の秋ぐらいの話ですかね。


 私は早く結婚したかったので引退から1年後ぐらいは、「結婚したい」「まだ、無理」「じゃあ、いつ」「生活が安定したら」「婚約指輪なんていらないから」……。なんてよく言い合いになっていましたね。


プロポーズは青いバラを差し出しながら……


——プロポーズはどちらから?


村上 彼がしてくれましたね。2022年の大晦日です。2023年に日付が変わるときに。


——話していた通りに!


村上 はい(笑)。沖縄に旅行に行ったんです。年が変わる少し前に手紙を手渡され、読んでいました。そして最後の方に「これからもずっと一緒にいてください」と書かれていた。当たり前でしょ、と思って振り向くと、彼が青いバラを差し出しながら「結婚してください」と。「わ、来た!」って嬉しかったですね〜。


——ご両親にはいつ報告されたんですか。


村上 2月に婚姻届けを出すことになったので、両親に「大事な話がある」というと、母は悟ったのか急にテンションが上がっちゃってました(笑)。


 付き合った当初から彼は我が家に遊びに来ていて、父も母も彼のことは大のお気に入り。一緒にご飯を食べたり、父とはよく飲みに行ったりしていますね。なので、私にプロポーズする前から結婚の話もしていたみたいです。


——相手のご両親の反応はどうでしたか?


村上 彼のご両親も凄く喜んでくれました。お義母さんは私の試合をよく見に来てくれていたし、お義父さんもスポーツ好きなので、仕事面も含めて私たち夫婦のことを応援してくれています。


アスリート同士の結婚で良かったことと困ったこと


——あらためて、アスリート同士の結婚の良さって何ですか。


村上 お互いに分かり合っているからこそ、あまり干渉しないということですかね。でも、何かあった時に、同じ経験をしているので引き出したり引き出してもらったりすることが自然にできる。同じポイントで喜んだり悲しんだりできるのも心地いいですね。


 だから家事の分担を決める必要もない。お互いに手の空いている方がやるという感じですね。ただ私の方が留守がちなので、彼にしわ寄せがいっているかもしれません。だから「ありがとう」と言う回数は私の方が多いですね。料理に関しては私が作る方が多いかな。もちろん、彼も普通にやりますけど。私は車の運転が好きなので、彼の職場への送り迎えをすることもあります。


 特に、強化本部長*になった今、身体について相談できる相手が身近にいるというのは本当に心強いです。
*2024年11月に日本体操協会の体操女子強化本部長に最年少で就任


——反対に、アスリートならではの困ることはありますか。


村上 お互いに意志を曲げないことですかね。アスリートって信念があるじゃないですか。だからそれを貫こうとしてしまうんです。結婚前は、何か問題があった時、彼はちゃんと話し合って解決したい、私は一晩寝れば忘れるという感じで、問題の本質というより解決方法でよくケンカをしていました。


 でも今は、まったくしなくなりましたね。私は仕事のことでよくイライラするのですが、彼がしっかり耳を傾けてくれるので、話しているうちにスッキリするというか(笑)。


「今、ようやくちゃんと恋愛が出来ている」


——出会ってからはもう10年以上経っているということですが、よりいい関係を築けているんですね。


村上 どんどん好きになっています。今、ようやくちゃんと恋愛が出来ているなって思いますね。現役時代はスケジュールも頭の中も、どうしても競技優先だったので。


——結婚後の変化はありますか?


村上 彼は、話の整理の仕方とか、表現方法がとても豊かなんですよ。私は指導者になってから言語化の難しさを感じることがとっても多くて。彼の言葉の使い方を参考にしていますね。「今、いいこと言ったね。メモメモ」と、スマホに「いいこと言ったメモ」をつけるようになりました。


共通の夢は、ナショナルチームを今以上に輝かせること


——今年から2人とも、ナショナルチームで本格的にスタートですね。


村上 はい。彼はこれまで代表選手の個人トレーナーとしての関わりでしたが、今年からは男子ナショナルチーム全体のトレーナーとして本格的に活動を始めます。私は今年初めから海外遠征続きで、彼に「さすがに寂しいな」と言われましたけど、今後は男女同時開催の国際大会では一緒になることが多くなります。


——「寂しい」と言われるんですね。


村上 言われますね。えっ、もしかしてあまり言わないんですか? 私も言いますよ(笑)。


——いえ、ほほえましいです。


村上 それならよかったです(笑)。


 私たち2人の共通の夢は、ナショナルチームを今以上に輝かせること。仕事の内容は違うけど、選手たちを輝かせたい思いは一緒。彼もそうだと思いますが、自分が学んだことを実践し、選手が成長している姿を見ることができるのはこんなに楽しいのかと、やる気に満ちています。ただ、新婚旅行をまだしていないので、落ち着いたら2人でヨーロッパを旅行してみたいですね。


 あ、プライベートなことを随分喋ってしまいました。こんなに彼について語ったのは初めてかも。隠すことでもないけど、でもやっぱり照れちゃいますね。


撮影=松本輝一/文藝春秋


(吉井 妙子)

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