「おっぱいは表の文化でお尻は裏の文化」「こっちは和尻」「あっちは洋尻」テレ朝で40年続いた“伝説の番組”の“コンプラ度外視コーナー”誕生秘話
2025年5月20日(火)18時0分 文春オンライン
コンプライアンスが厳しい昨今のテレビ業界だが、昭和は何ともユルかった。例えば、中にはテレビ一面に女性のお尻を映し、さらには大まじめに素人女性のお尻を評論していた番組もあった。制作を担当した「ハウフルス」の菅原正豊氏は「今だったらたぶん放送できない」と振り返るくらいだ。『 「深夜」の美学 『タモリ倶楽部』『アド街』演出家のモノづくりの流儀 』(菅原正豊、戸部田誠著、大和書房)から一部抜粋し、お届けする。(全3回の1回目/ 2回目を読む / 3回目を読む )

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「今だったらたぶん放送できないですよ」
番組の名物にもなった、女性たちがお尻を振るオープニングは最初からです。お尻はね、僕、好きなんですよ。お尻だけは40年間最後まで続いた。そういう意味では、テレビ朝日にはホントに感謝してますね。あれ、今だったらたぶん放送できないですよね。よく40年、何も言われなかったなと思います。
あの時に流れているBGM、THE ROYAL TEENSの『Short Shorts』もずっと同じ。あれは音効さんが探してきてくれました。タイトルも映像にぴったり、一部ではヒットしましたね。
巷ではおっぱい派とお尻派がいますよね。「おっぱいは表の文化でお尻は裏の文化」なんて言われることもありますけど、その通りで。お尻ってかわいいでしょ。秘密っぽいし味わい深いし、エロチックでドキドキしない? おっぱいってなんかそのまんまな感じがするけど、お尻は想像力が働く。そこに惹かれます。
それで、お尻を鑑賞して、真面目に品評・採点をする「今週の五ッ星り」というコーナー(1990年11月〜1992年9月)をつくったんです。
「このお尻はルネッサンス後期の…」大真面目に素人女性のお尻を評論
「お尻を芸術作品として見て品評する」というコンセプトが面白いんじゃないかと考えて。ちょうどTバックが流行り出していた頃でした。それで、お尻を品評する人を考えた時に、タレントにやってもらうと下品になってしまうんで、知的な人がいいと考えていたところに紹介されたのが山田五郎。
彼はお尻を見て「このお尻はルネッサンス後期のフィレンツェの主流ですね」とか「『ゴシック』『バロック』『ポストモダン』、お尻にも時代がある」とかもっともらしいことをスラスラ言うんですよ。
これは「和尻」であっちは「洋尻」とか。まさにこういうことをやりたかったんだというのを体現してくれて、ピタッとハマりましたね。
山田五郎は、まだあの頃、講談社の社員だったんです。『ホットドッグ・プレス』の編集者をやってたのかな。面白い人ですね。このコーナーをもとに『百万人のお尻学』という本を出版して大真面目にお尻をアカデミックに論じました。その後、『アド街ック天国』にも出てもらっています。何でも専門家になってしまうんですよ。頭の中、知識の宝庫ですからね。
〈 「偽善っぽいチャリティは嫌い」歴代最低視聴率だった“24時間テレビ”をわずか1年で「V字回復」させた“立役者”《24時間マラソンとサライはこうして生まれた》 〉へ続く
(菅原 正豊,戸部田 誠/Webオリジナル(外部転載))
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