29歳で世を去った新人監督の奇跡の映画、主演は中国映画界の期待の星

10月28日(月)10時0分 シネマカフェ

『象は静かに座っている』(C) Ms. CHU Yanhua and Mr. HU Yongzhen

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約14億人という人口を抱える中国。分母が大きいぶん俳優の層も厚く、一言で「イケメン」といってもかわいい系、耽美系、ワイルド系、インテリ系など、様々なタイプが百花繚乱です。日本にはあまり情報が入ってこないけれど、お隣の中国でいま人気の男子たちをご紹介します。

世界が絶賛した新人の遺作
彗星のように現れた新人監督のデビュー作にして遺作。世界で絶賛された注目の中国映画、『象は静かに座っている』が11月2日(土)に公開されます。今回紹介するのは本作の主演の2人。抜群の演技力で将来を嘱望されているチャン・ユーとポン・ユーチャンです。


4時間におよぶこの作品を完成させたあと、監督フー・ボーは29歳の若さで自死。その後、本作は2018年ベルリン国際映画祭で世界初上映され、フォーラム部門国際批評家連盟賞を受賞。アジアのアカデミー賞と位置付けられる台湾の金馬奨でも作品賞などを受賞しました。

友人をかばって不良の同級生に大けがを負わせてしまう少年ブー、町のチンピラを仕切るチェン、母親と不仲で教師と関係を持つ女子高生リン、老人ホームへの入所を迫られている老人ジン——『象は静かに座っている』は、この4人の1日を至近距離で追い続けます。

急速な経済発展を遂げた中国。その“副作用”のような、利己主義的で殺伐とした社会に居場所を見つけられない人の孤独を、没入感を観客に与えることで長尺を感じさせずに見せ切ります。

頑固一徹、遅咲きの実力派
まずはチンピラたちの兄貴分チェンを演じているチャン・ユーから紹介します。1982年生まれの37歳。本作のあとに出演した大ヒット映画『ニセ薬じゃない!』(2018)で白血病を患う青年を演じ、観客の涙を絞ってブレイクした遅咲きの実力派です。


ワイルド系の容貌ですが、すだれ前髪からのぞく優しい目が印象的。中国・貴州省の貴州大学芸術学院で演技を学び、しばらく地元の劇団で活動したあと北京に出てきますが、10年近く暮らし向きは厳しかった様子。というのも、頑固一徹、お金がなくても、気に入った作品にしか出演しないスタンスを貫いたためで、弁当の配達などをしながら食いつないでいました。『象は静かに座っている』は、そんなチャン・ユーが脚本を読んで気に入り、契約書にギャラが書かれていなかったにも関わらず出演を決めた作品でした(後に3000元が支払われたらしい)。


『ニセ薬じゃない!』への出演でオファーが増えてからも、こだわりの強さは相変わらず。CMや面白みを感じない仕事は受けず、マイペースな俳優人生を送っています。

国際的大女優が見初めた才能
続いて紹介するポン・ユーチャンは、チャン・ユーとは反対にメインストリームをばく進中。『象は静かに座っている』では、世の中に絶望した表情と、それでも隠しきれない目の輝きで、少年ブーの複雑な内面を見事に体現。金馬奨の主演男優賞にもノミネートされました。


演技の名門・上海戯劇学院の出身ですが、専攻は超マイナーな人形劇でした。2015年、日本でも放送されたネットドラマ「太子妃 狂想曲<ラプソディ>」で俳優デビュー。小さい役ながら、ドラマは社会現象となるヒットを記録し、幸先のいいスタートを切ります。

実は、彼がブレイクしたのは、映画やテレビドラマではなくバラエティ番組。2017年、俳優たちが舞台上で演技力を競う「演員的誕生(原題)」に出場。審査員を務めた中国を代表する女優チャン・ツィイーが、一目で天賦の才を見抜き、「私の大好きなポンポン」と惚れこんで直々に演技指導する様子が印象的でした。

同番組でみせた演技力と、無邪気なリアクションが視聴者にうけ、別のバラエティ番組にも引く手あまたの人気者に。もちろん、俳優業でも大忙し。日本でも公開された青春映画『閃光少女 Our Shining Days』(17)や、兄妹の絆を描いた『快把我哥帯走(原題)』(18)でも高評価を獲得。中国で今年公開された『千と千尋の神隠し』ではカオナシの吹き替えを務めて話題になりました。この夏放送された「テニスの王子様」の中国版リメイクドラマにも主演。日本でも彼の出演作を見る機会が増えそうな予感がします。


そんなポンが無名の頃に出演していたのが、この『象は静かに座っている』。ポン・ユーチャンといい、チャン・ユーといい、フー・ボー監督には天から授かったギフトを持つ俳優を引き当てる先見の明もあったようです。

『象は静かに座っている』は11月2日(土)より、シアター・イメージフォーラムほかにて順次公開。

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