消毒薬が不足する北朝鮮、庶民の「裏ワザ」は有効か

2020年3月19日(木)8時47分 デイリーNKジャパン

北朝鮮は先月30日、中国を中心に新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受けて国家非常防疫体制を宣言した。それに伴い、全国的に大々的な防疫事業が展開されている。


両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋からの情報によると、通りでは消毒作業を行う人員を乗せた車が頻繁に行き交い、商業施設、交通機関などでの作業に当たっている。当局は消毒薬、マスク、防護服などの国内生産にも力を入れている。


マスクに関してはさほど不足していないようだが、消毒薬の不足は深刻なようで、増産してもなお行き渡っていないようだ。


職場や人民班(町内会)の総和(総括)では、「防疫も自力更生」とのスローガンのもとに、各自が工夫して消毒を行うように指示が出された。まさに「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」だ。


個人宅では、アフリカ豚コレラが流行したときに市場で購入した消毒薬を使ったり、それがなければ酢を使って消毒を行っている。それすらなければ塩水を使う。


機関では、消毒薬の代わりに熱湯で家具を拭いたり、床に焚き火の灰を撒くことが多いが、それすらなければこんな方法を動員する。


「硫黄を燃やして煙で消毒する」


世界保健機関(WHO)は、石鹸、水、アルコールを使って手を洗う、咳やくしゃみをしている人とは1メートルの距離を置く、目、鼻、口を触らない、咳やくしゃみをするときはティッシュや肘で口と鼻を覆うと言った方法を推奨しているが、硫黄燻煙による消毒は推奨していない。


硫黄燻蒸は、野菜や果物の病害であるうどんこ病や白さび病の原因となるカビを除去するためのもので、ウイルスとは全く関係ないが、「科学的な根拠があろうがなかろうが、住民は伝染病を防ぐための方法を自らが編み出している」(情報筋)ということだ。



一方で当局は、マスクの未着用に対する取り締まりを行っていると、両江道の別の情報筋が伝えている。


恵山(ヘサン)市内では、動員された両江道医学大学と医学専門学校の学生からなる糾察隊が、通りを行き交う市民がマスクをしているかを1日2時間チェックを行っている。そのため、マスクなしには外出ができないほどの雰囲気だ。


恵山はようやく氷が溶け始めたころで、マスクをしていると息で湿ってしまい、重くなってずれ落ちたりするが、それも取り締まりの対象だ。


摘発されれば、名前、職場、連絡先を提示しなければならない。糾察隊は、そのリストを元に、職場に対して批判事業を行うように通報する。

デイリーNKジャパン

「北朝鮮」をもっと詳しく

「北朝鮮」のニュース

「北朝鮮」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ