逆転無罪の韓国最大野党・李在明代表、次期大統領選へ前進…衝撃広がる与党は戦略再考必至

2025年3月27日(木)7時37分 読売新聞

26日、「共に民主党」の李在明代表の控訴審判決で、無罪判決が言い渡され、ソウル高裁近くで喜ぶ支持者ら=依田和彩撮影

 【ソウル=仲川高志、依田和彩】韓国の左派系最大野党「共に民主党」の李在明イジェミョン代表は、公職選挙法違反に問われた26日の控訴審で逆転無罪を勝ち取ったことで次期大統領の座に一歩近づいた。尹政権を支えてきた与党「国民の力」には衝撃が広がっており、尹錫悦ユンソンニョル大統領が罷免ひめんされた場合に行われる次期大統領選に向け、戦略の再考を迫られそうだ。

与党 戦略の再考必至

 控訴審の判決公判が開かれたソウル高裁前には26日午後、「共に民主党」議員や支持者らが大勢集まり、逆転無罪が伝えられると拍手や歓声が湧き起こった。李氏は高裁の玄関を出たところで支持者らに頭を下げ、手を振るなどして応えた。

 「共に民主党」の趙承来チョスンレ首席報道官は判決公判後、「李代表に貼られていた偽りのレッテルがついに剥がされた」と逆転無罪を歓迎するコメントを発表した。

 韓国ギャラップが21日に発表した「将来の政治指導者の好感度」に関する世論調査結果で、李氏の支持率は36%とトップを独走する。しかし、複数の刑事訴訟を抱えるという「司法リスク」がつきまとってきた。今回の逆転無罪によって、早期の大統領選実施でも出馬できる算段が立ち、「共に民主党」は勢いづいている。

弾劾だんがい訴追された尹氏に憲法裁判所が罷免を言い渡した場合、60日以内に大統領選が行われる。検察は26日、大法院(最高裁)に上告すると発表したが、今後、仮に李氏が逆転有罪になる可能性があるとしても、「有罪判決の確定」までは、高裁への審理差し戻しなどで相応の時間がかかる。

 尹氏の罷免が近く宣告されても、李氏には投開票日までに刑が確定する訴訟はないとみられ、「共に民主党」の議員は「大統領選出馬への障害は取り除かれ、環境が整った」と語った。

 早期の大統領選実施が決まれば、「共に民主党」は党内予備選を行い、正式に公認候補を決める運びだ。無罪判決を受けた李氏が勝利する可能性が高まった。

 これに対し「国民の力」は完全に当てが外れた。1審の有罪判決が控訴審でも維持されるとみて、近く大統領選が行われる場合には「李氏は有罪になる可能性がある候補だ」と追及を強め、接戦に持ち込む戦略だったためだ。

 「国民の力」の権性東クォンソンドン院内代表は今回の無罪判決を「高裁の裁判官たちは政治的な性向に従って判決を下した」と批判した。

 李氏はこれまで日本に対する強硬的な発言で知られ、日韓関係を改善した尹政権を批判してきた一方、北朝鮮とは「対話重視」の姿勢を示してきた。政権交代した場合、尹政権の路線を大きく転換する可能性が懸念されている。

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