韓国との境界が定まっていない黄海上の「暫定水域」、中国が大型構造物を設置…横100m×縦80m
2025年4月23日(水)21時36分 読売新聞
【ソウル=小池和樹、北京=吉永亜希子】中国が黄海上で、韓国との境界が定まっていない「暫定水域」に大型構造物を設置し、韓国が反発している。強引な海洋進出を進める中国が黄海でも現状変更を試みている可能性があり、韓国は対抗措置を検討している。
聯合ニュースによると、問題の構造物は三つ確認され、2018年、22年、24年に設置された。22年設置の構造物について、韓国紙・朝鮮日報は、海底固定型で衛星写真の分析結果から横100メートル、縦80メートルの大きさだと報じた。ヘリポートも確認したという。形状から石油採掘を目的としている可能性がある。
2月に韓国の調査船が構造物の調査に向かったところ、中国側がゴムボートで接近して調査を妨害した。韓国の海洋警察と中国海警局の船が約2時間にらみ合う事態が発生したという。これを機に韓国政府・議会内で中国への警戒感が高まった。23日に中韓両国がソウル市内で開いた局長級の「中韓海洋協力対話」では、中国の構造物設置が議題となり、韓国側は撤去を求めた模様だ。
中国が構造物を設置した海域は、両国の「排他的経済水域(EEZ)」が重なり、2000年に交わした「中韓漁業協定」で境界未確定として指定された暫定水域だ。韓国側は今回の構造物設置が水域内での漁業の共同管理を定めた協定に違反する可能性があるとみている。中国側は「魚の養殖施設だ。協定違反ではない」(中国外務省の
海上に構造物を造り、自らの権益を主張するのは中国の常とう手段だ。南シナ海に人工島を造って飛行場や居住施設を建設し、実効支配を強めているほか、東シナ海でもガス田開発に関する構造物やブイを設置し、日本と対立する。中国は安全保障上、黄海を重視している。今回の構造物も現状変更の試みの一環で、将来的に管轄権を主張する可能性がある。
韓国の