「甘く見たらやられる」北朝鮮で女性の犯罪が急増

2018年7月20日(金)12時28分 デイリーNKジャパン


米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は17日、北朝鮮で各種の強行犯が増えていると伝えた。


平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋がRFAに語ったところでは、「最近、社会全体で殺人、強盗、強姦などの犯罪行為が増えており、犯罪形態と手法も多様で巧みになっている」という。


情報筋はまた、最近の犯罪の特徴について「男性よりも女性による犯罪が急激に増えてきた。相手が女性だと思って甘く見ていたら、いきなりやられてしまう例が多い」と指摘した。


しかしこれまでにも、女性の犯罪増加が指摘されたことはあった。2015年の8月15日、北朝鮮北部の清津(チョンジン)市で、1日に3件も殺人事件が発生したが、北朝鮮捜査当局は、「女性犯罪組織」が緻密な計画に基づいて犯行に及んだと見ているという。背後に見え隠れする「女性犯罪組織」は、麻薬、宿泊、運送、貿易、港湾業務など「ウラ事情」に精通しているとされた。


良く知られた「喜び組」の存在が象徴するように、北朝鮮社会には伝統的に男尊女卑が根強く残っている。それにも関わらず女性犯罪が急増している背景には、今や「北朝鮮経済の主役は女性」という事情がある。


1990年代後半から北朝鮮を襲った大飢饉は、社会主義経済を粉砕したが、その後、実質的な市場経済に移行するなか、女性達は家族を養うために、商売をはじめた。当初は生活を支えるために、やむをえず「売春」に走る女性も多かった。


しかし現在では、資本を蓄え、市場経済の「トンジュ(金主)」として振る舞う女性も少なからず出てきている。北朝鮮の男性は、国営企業などの職場に縛り付けられ、自由に商売をすることができない。それに比べ、行動の自由度の高い女性らは、才覚次第でいくらでも成功を手にできるのだ。


最近になって女性による犯罪が増えているというのも、それだけ北朝鮮女性の自我が強まっているためだろう。


あるいは、まだまだ女性に不利な要素が社会に多く残っていることがストレスとなり、犯罪を誘発しているのかもしれない。


いずれにせよ、女性に対する待遇を改めない限り、北朝鮮社会の発展はないのではないか。

デイリーNKジャパン

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