トランプ氏、ネブラスカ州の大統領選「勝者総取り」への変更を要求…共和党多数の州議会が判断

2024年9月23日(月)17時36分 読売新聞

トランプ氏=AP

写真を拡大

 【ワシントン=淵上隆悠】11月の米大統領選で、共和党のトランプ前大統領がネブラスカ州の選挙人5人の配分を巡り、一部を下院選挙区ごとに割り当てる現行方式から州全体の勝者総取りに変えるよう求めている。同州は共和党支持層が厚く、実現すれば全体の勝敗を左右する可能性があるため、民主党のハリス副大統領には痛手となる。

 「ネブラスカの選挙人1人が(勝敗の)分け目となり、ハリスが大統領になってしまうかもしれない」。共和党のリンゼー・グラハム上院議員は22日、米NBCニュースの番組で、トランプ氏勝利のためネブラスカ州は勝者総取りに変更すべきだと訴えた。

 大統領選で48州と首都ワシントンは1票でも多かった候補が全選挙人を得る勝者総取りを採用している。ネブラスカ州と選挙人4人のメーン州は例外で、州全体の最多得票候補が選挙人2人を獲得するが、残りは下院選挙区ごとに票を数え、それぞれ最多得票の候補が選挙人1人ずつを得る。

 ネブラスカ州全体では共和党が強いが、最大都市オマハを抱える選挙区は民主党支持者も多く、最近では2008年と20年の大統領選で民主党候補が選挙人を獲得した。今回も選挙人1人の行方について、米政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)」は激戦と予想している。

 方式を変更できるのは州議会(定数49)だ。全議員の3分の2にあたる33人以上が賛成すれば実現する。地元メディアによると、実質的な議会構成は共和党33人、民主党15人、中立1人だが、共和党には4月に民主党から所属政党を変更した穏健派が含まれている。グラハム氏は18日、共和党のジム・ピレン州知事や有力議員と対応を協議した。米紙ワシントン・ポストによると、トランプ氏も電話で参加した。

 RCPの足元の分析では、ハリス氏が優勢な州・首都の選挙人は225人。激戦7州のうちペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシン各州の計44人を押さえ、ネブラスカ州の1人を獲得すれば、ちょうど勝利に必要となる270人に達する。

 しかし、ネブラスカ州が勝者総取りになれば、この数字に届かない。もう一つ激戦州での勝利が求められ、陣営の戦略にも影響しそうだ。民主党の議会上院トップ、チャック・シューマー院内総務は「共和党は合法的に勝てないから土壇場でルールを変えようとしている」と反発している。

 ◆選挙人=11月の米大統領選の結果に基づき、12月に大統領と副大統領を選出する投票手続きを行う全米50州と首都ワシントンの代表者。米大統領選は50州と首都に割り振られた選挙人計538人の数を競う間接選挙で、過半数の270人以上を得た候補が勝利する。各州と首都の選挙人の数は人口に基づき配分される下院議員数と上院議員2人の合計で、カリフォルニア州の54人が最多だ。最少はアラスカなど6州と首都で各3人となっている。

ヨミドクター 中学受験サポート 読売新聞購読ボタン 読売新聞

「大統領」をもっと詳しく

「大統領」のニュース

「大統領」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ