技術職から営業へ、そして社長になるまで - アジレント石川社長インタビュー(前編)
2025年1月7日(火)7時3分 マイナビニュース
さまざまなテクノロジーを活用した分析装置の開発・提供などを行うアジレント・テクノロジーは、科学技術の進歩が急速に進む現代のラボを支えている。そんな同社では2024年6月、新たな代表取締役社長に石川隆一氏が就任した。
今回は、1988年に新人技術者として横河電機に入社してから、営業部門の数々の部署を歴任し、そして社長という立場に就くまでの日々、そしてアジレントのトップとして見る将来の分析市場について、石川氏にインタビューを実施。前編では、入社から社長就任に至るまでのターニングポイントや、社長として歩みだした中で掲げる信条などについて話を伺った。
○技術者から営業担当への異動は「クビになったのかと」
慶應義塾大学大学院の理工学研究科 計測工学専攻を修了した石川氏は、1988年に横河電機へと入社。いわば自然な流れで、新人技術者として製品の設計開発を担当する部署の一員となった。そこではICP質量分析計の設計チームに配属され、トラブルシューティングを学ぶところから始まり、入社から1年を経過したころには装置を構成するうちの検出器の設計に従事することとなった。
そしてある検出器の開発に一区切りがついたころ、石川氏に1つの辞令が下される。それが“営業部門への異動”だった。技術職として入社して2年3カ月ほどで訪れた突然の転機に、一人の会社員として受け入れる以外の選択肢はなかったという石川氏だが、「当時の心中はもちろん穏やかではなかった」と回想する。「異動の話を聞いた時、私は本気で“技術部門をクビになった”と思いました。2年と少しで見限られ、営業部へと出されたんだと推測していた」と、とても前向きに捉えることはできず、当時同居していた両親にもなかなか打ち明けられなかったという。
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