携帯値下げのせいで、「安いだけの国になり、開発力が落ちる」 ソフトバンク宮川社長が危惧すること
2025年2月10日(月)17時32分 ITmedia Mobile
ソフトバンク
携帯電話料金をめぐっては、菅義偉首相が官房長官だった2018年夏頃から「日本の携帯電話料金は世界に比べて高すぎる」と指摘し、「通信料金を4割値下げできる余地がある」と主張してきた。
2020年には楽天モバイルが新規参入し、3社による寡占市場に変化をもたらした。ワンプランを貫き、どれだけ使っても月額最大3278円という「Rakuten最強プラン」を提供している。さらに、2021年3月にはNTTドコモが「ahamo」を開始し、高額と指摘されていた20GBの料金プランが値下げされた。
近年の動きを見ると、2024年10月1日にドコモがahamoの月額料金を据え置いたまま、データ容量を20GBから30GBに増量したのを皮切りに、KDDIは「UQ mobile」で33GBプランを導入し、「povo」では実質的に毎月のデータ容量が30GBになる1年トッピングを提供するようになった。
ソフトバンクも、20GB超〜30GBが月額3960円で利用できる2段階制だった「LINEMOベストプランV」を、11月1日以降は契約の翌月から月額2970円で30GBまで利用できるように変更した。
こうした値下げの流れに対し、宮川氏は「常に値下げの先の一辺倒の議論だけでは、(従業員さんの給料などを支える)構造にならない」とし、「5Gなんてこんなものだろうというようないいわけをしていることが僕は本当に悲しくて仕方がない」と悔やむ。
宮川氏は「であれば健全な形でものの値上げ(物価高騰)に合わせたぐらいの値上げを、どこかでやらなければならない」としつつも、「4社のうちの1社が最初にスタートを切るのは、相当勇気がいるところ」とし、「いまは動くつもりはない」と具体的な動きを現状しない姿勢を示した。
「もう1度健全な形に戻さなければ」と強調した宮川氏は、「せっかく世界で一番強かった(日本が)通信が安いだけの国になってしまった」ことと、「開発力で落ちてしまった」ことを危惧した。