富士通ら、太陽高エネルギー粒子の増加をもたらす太陽フレアの条件を発見

2024年3月14日(木)11時55分 マイナビニュース

東海国立大学機構と富士通は3月14日、月・火星・惑星間空間での人類活動の安全確保を目指す、宇宙放射線の発生予測に関する共同研究において、富士通のAIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi」に搭載された「Wide Learning」を適用し、宇宙天気に影響を与える太陽高エネルギー粒子の増加要因となる太陽フレアの発生条件を見出す成果を得たと発表した。
○研究の背景
両者は2023年2月24日に包括協定を締結し、名古屋大学 宇宙地球環境研究所と人類の活動圏が宇宙に広がる近未来を見据えた宇宙天気予報の高度化に関する共同研究を実施してきた。宇宙天気は宇宙での活動だけでなく、生活に関わる通信障害や衛星測位の乱れ、航空路決定などにも影響を及ぼすため、国内外で宇宙天気の観測や高度化に向けた研究が進められている。
宇宙天気現象の中でも特に人工衛星や宇宙飛行士の活動に影響する要因として、太陽光エネルギー粒子が挙げられる。太陽高エネルギー粒子は太陽フレアやコロナ質量放出に伴って突発的に形成される、宇宙空間を伝搬する宇宙放射線の一種であり、直接被ばくすると致死線量に達する場合もある。宇宙での安全確保に向けて、太陽高エネルギー粒子の発生とその量の予測が重要となる。
○具体的な手法と成果
今回、太陽高エネルギー粒子の増加をもたらす太陽フレアの発生条件を導きだすために、富士通の説明可能なAIである「Wide Learning」を用いた。太陽フレアの明るさや発生位置、継続時間などの特徴となるデータを活用し、太陽高エネルギー粒子事象の発生につながる条件を分析している。
利用したデータは以下の3つ。米国海洋大気庁(NOAA)の宇宙天気予測センターが提供する過去の太陽高エネルギー粒子の増加事象および太陽フレアの明るさや継続時間、位置に関するデータベース。米国航空宇宙局(NASA)のSolar Dynamics Observatory衛星が観測した太陽黒点周辺領域の太陽表面磁場データ。宇宙地球環境研究所が開発したスキームを使って名古屋大学情報基盤センターが2020年に導入した「不老」によって計算された黒点周辺の3次元磁場モデル。
データ分析の結果、太陽高エネルギー粒子の発生において、太陽フレアの規模と継続時間が重要であることに加え、フレア発生数が少ない黒点領域で発生する第一フレアが太陽高エネルギー粒子の増加をもたらしやすいことが発見できた。
今回の研究成果は太陽高エネルギー粒子事象の予測において、前日のフレア活動が比較的弱かった黒点領域で発生する第一フレアの予測が重要であることを示唆しており、今後の宇宙天気予報の研究開発に新たな指針を与えるものだという。

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