Microsoft設立50周年、ビル・ゲイツ氏 PC革命の”始まりのコード”を公開

2025年4月4日(金)14時46分 マイナビニュース


米Microsoftが4月4日、設立50周年を迎えた。この節目に合わせて、共同創業者のビル・ゲイツ氏は、自身が50年前に書いた「最初のコード」をブログ「Gates Notes」で公開した。「Altair BASIC」と呼ばれるこのプログラムは、パーソナルコンピュータの歴史を動かし、Microsoftの礎となったソフトウェアである。
Microsoftの物語は、1975年1月「Popular Electronics」誌に掲載された1本の記事から始まった。当時、ハーバード大学の学生だったゲイツ氏と、後に共同創業者となるポール・アレン氏(故人)は、同誌の表紙を飾ったコンピュータキット「Altair 8800」に強い衝撃を受けた。MITSが開発したこのAltair 8800は、Intel製のマイクロプロセッサを搭載し、ホビイストにも手が届くコンピューティングパワーを提供する画期的なマシンであった。
この記事を見たゲイツ氏とアレン氏は、「パーソナルコンピュータ革命が目前に迫っている」と直感し、Altairを誰もがプログラム可能にするソフトウェアの開発が、人とコンピュータの関係を根本的に変えると考えた。
2人は直ちに、MITSの創業者エド・ロバーツ氏に連絡を取り、「Altair 8800で動作するチップ向けに、プログラミング言語BASICのバージョンを開発した」と申し出た。もっとも、この時点ではソフトウェアはまだ存在しておらず、そこから後にMicrosoftの最初の製品となるプログラムの開発が、急ピッチで始まることとなった。
開発にあたり、二人は役割を分担した。Altair 8800に搭載されていたIntel 8080チップの実物が手元になかったため、アレン氏はハーバード大学の大型コンピュータ「PDP-10」上で、そのチップの動作を模倣するソフトウェア(エミュレータ)の開発に取り組んだ。これにより、実機なしでもソフトウェアの動作検証が可能となった。一方、ゲイツ氏はメインコードの記述に集中し、また友人のモンティ・ダヴィドフ氏が数値計算処理部分の実装を担当した。彼らは、存在すると述べてしまったソフトウェアを完成させるため、およそ2カ月間にわたり、昼夜を問わずコーディングに没頭した。
多くの困難と寝不足の末、ついにAltair BASICインタプリタは完成した。MITSのロバーツ氏へのデモンストレーションも成功し、同社はソフトウェアのライセンス契約に合意した。これは、ソフトウェアをコンピュータ・メーカーに販売し、ライセンス料を受け取るというビジネスモデルの誕生でもあった。そして、Altair BASICは「Micro-Soft」(後にハイフンを削除)と名付けられた新会社の最初の製品となった。
ゲイツ氏はブログで、「このたった1つのコードが、Microsoftによる半世紀にわたるイノベーションの出発点だったと考えると、本当に驚くべきことである」と述べている。当初掲げた「すべてのデスクとすべての家庭にコンピュータを」というビジョンはすでに現実のものとなり、同社はその後もWindowsやOfficeなどのソフトウェア、家庭用ゲーム機Xbox、さらには近年のAI技術まで、さまざまな分野で革新を続けてきた。
今回公開されたAltair BASICのソースコードは、50年前のコンピュータ技術を知る貴重な歴史資料であると同時に、現代テクノロジーの基盤を築いた情熱と創造性の象徴ともいえる。ゲイツ氏が「最もクールなコード」と称したこのプログラムは、まさにパーソナルコンピューティングの夜明けを告げる革命であった。

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